【社説②】:野党の分断 与党との対立軸明確に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:野党の分断 与党との対立軸明確に
参院選は6月22日と想定される公示まで2カ月を切った。
野党が自民、公明両党の巨大与党と対峙(たいじ)するには、連携の強化が欠かせない。
それなのに、各党がバラバラに存在感をアピールし、連携どころか分断が深まるばかりだ。
一部の野党は目先の成果を求めて政府への要求を強める。政策が個別に修正されることがあっても、それは対症療法にすぎない。
その結果、野党各党がどんな国づくりを目指しているかが明確になったとは言い難い。
高齢化と人口減が進む中、国民が安心して暮らし続けるための針路を示し、それを実現する政策を体系的に打ち出してもらいたい。
明確な旗印があってこそ、協力できる部分を探ることができ、野党の連携体制を築く糸口になる。
2016年、19年の参院選では、全国32の1人区すべてで候補を一本化した。
ところが、今回は香川などで交渉が決裂し、野党候補が乱立する選挙区が増えるとみられている。
中でも、立憲民主党と国民民主党の関係悪化は深刻だ。
共産党を含めた共闘を模索する立憲と、それを否定する国民の間で溝が生じていたところに、国民が政府の当初予算に賛成し、亀裂が決定的になった。
国民は見返りにガソリン税を軽減するトリガー条項の凍結解除を求めたが、先送りされた。野党分断の材料として、与党に都合良く利用されたと言うほかない。
立憲も昨秋の衆院選敗北を受け、対決型から提案型への転換を図った。
18歳以下への10万円給付の支給方法など、立憲の要求に沿って修正されたものもある。だが、結局は施策を実施する政府の手柄になった印象は拭えない。
こうした中、両党の支持団体である連合の芳野友子会長が、自民党の会合に出席した。連合のトップとしては異例だ。
賃上げなどの実現に向け、与党とのパイプを太くする狙いがあるのだろうが、非正規雇用の増加など格差を広げる労働政策を進めてきたのが自民党政権である。
連合は参院選の基本方針に「基本政策が大きく異なる政党等と連携・協力する候補は推薦しない」と明記した。芳野氏が協力を否定する共産党が念頭にある。
野党共闘に排除の論理を持ち出す一方、政策の立脚点が異なる自民党にすり寄るのでは、傘下労組の組合員が戸惑うだけだ。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年04月25日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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