路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【中山知子の取材備忘録・10.15】:「晩節を汚さなければ…」細田博之氏の衆院議長辞任会見 無念さより意欲ばかりがクローズアップ

2023-10-30 07:30:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【中山知子の取材備忘録・10.15】:「晩節を汚さなければ…」細田博之氏の衆院議長辞任会見 無念さより意欲ばかりがクローズアップ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・10.15】:「晩節を汚さなければ…」細田博之氏の衆院議長辞任会見 無念さより意欲ばかりがクローズアップ 

 細田博之衆院議長(79)が、議長職の辞任を発表した10月13日の記者会見。事前に、時間は30分と示され(実際は50分あまりに延びた)、参加資格も記者クラブ加盟の1社1人などのさまざまな制約が設けられた。日刊スポーツも参加を断られ、出席はできなかった。当初は、質疑応答中の撮影も認められていなかったほどだ。ジャニーズ事務所の記者会見で問題になった「NGリスト」どころか「NGだらけ」。普段から簡単に入ることができない議長公邸が、会見の場所になったことも含めて、「排除の論理」が前提にされた記者会見の場のように感じずにはいられなかった。

細田博之氏(20年10月)
細田博之氏(20年10月)

 記者会見にこうした制約が設けられることは珍しいことではなく、いろいろな制約のために記者会見に出席できなかった経験は何度もある。ただ、細田氏に今回求められていたはずの説明は議長辞任の経緯だけでなく、週刊文春が報じたセクハラ疑惑、そして何より、国民の間に被害も出ている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる、自身との関係など多岐にわたった。

 細田氏はこれまで、質疑が生じる記者会見の場では、説明をしていなかった。きちんと説明してこなかったツケもあり、今回、多方面から追及されるのは分かっていたはずだが、細田氏は、会見の場はあくまで議長辞任に関することが目的で、そのほかのテーマについて話す場では、必ずしもない、という趣旨の発言をしていた。

 それなら「議長」と「議員個人」として会見を分けて行えばよかった。体調の問題からそうした柔軟な対応が取られることは考えにくく、そうなるとあの場で質問が集中することは分かっていたはず。記者クラブ側は少なくとも1時間以上を求めていたという中での「30分」という時間設定には、疑問しかわかない。会見の趣旨は異なるが、かつて鳩山由紀夫氏が首相在任中、政治資金規正法違反で元公設秘書が在宅起訴されたことを受けて会見した際は、議員個人の問題でもあり、首相官邸ではなく国会近くのホテルで会見が行われ私たちも取材ができた。

 衆院議長というポジションは、学生時代に「三権の長」の一角と習ったが、永田町を取材していると、あらためて立場の重さを実感する。国会開会中、議長室の周りの警備は厳重で、その一角は緊張感が漂う。議長室のエリアにも、記者会見を行える応接室のような部屋がある。今回の細田氏の記者会見で思い出したのが、8年前の2015年4月、その場所で行われた町村信孝氏の衆院議長辞任の記者会見だ。町村氏も、体調不良を理由に任期途中での辞任となった。

 この時、町村氏も細田氏と同様、軽度の脳梗塞と診断されたことを理由に挙げた。過去に1度、同じ診断を受けたことに触れながら「二度あることは三度ある。議長の責務の重さを考えて、いささかでも悪影響がある恐れがあることは避けなければならない」として、辞任の意向を表明。議員は辞職しないとして、今後の議員活動についても語っていたが「一定の時間がたって、引き続き十分な活動ができればいいと思うが、私というよりドクターの判断。ある一定の時間がたったところで判断しないといけない」と語っていた。

 町村氏は議長の辞任から2カ月後に亡くなったが、あの時の辞任会見で感じたのは、議長を辞めることへの無念さ。今後の活動にも触れていたが、ガツガツした意欲というより、当面の自身の健康問題との向き合い方を、淡々とした口調で語っていたことを覚えている。

 一方、細田氏の会見では、任期半ばで議長を辞めることへの無念さがあまり伝わってこなかった。議長は辞任するが今後の衆院選出馬に意欲を示し、体調不良を理由に議長は辞めるのに国会議員の職を続けるというのは考えが甘いのではないか、との指摘も多く出ていた。もちろん、進退はご自身の判断というのが大前提で、第三者がとやかく言うべき問題ではないのかもしれないが、細田氏の言葉の節々には、体調不良の問題ではあったとしても、衆院議長を辞任することが「重い決断」であるという思いは、あまり感じられなかった。

 問題や疑惑を抱える中での「引責辞任」ではないのかとの指摘は否定しておられたが、実際は「このまま議長を務めていくには、あまりにも多くの問題を抱えすぎたからではないか」(政界関係者)との分析には、うなずける側面がある。

 細田氏は1990年の初当選から当選11回を数え、官房長官や数々の閣僚、自民党幹事長など要職を歴任してきた重鎮だが、問題や疑惑について誰もが納得できるような説明がないまま、執念のようにも思える今後の活動への意欲ばかりが、クローズアップされた形になった。「晩節を汚されなければよいのだが」。記者会見の後に聞いた、こうした声は少なくない。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)

 

 

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2023年10月15日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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