【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】:安倍元首相銃撃は日本版「ケネディ事件」なのか…週刊文春が投げかけた“疑惑の銃弾”
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】:安倍元首相銃撃は日本版「ケネディ事件」なのか…週刊文春が投げかけた“疑惑の銃弾”
奈良県警は2月13日、安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人罪などで起訴された山上徹也被告(42)を建造物損壊などの容疑で追送検したことで、一連の捜査を終結したと発表した。
だが週刊文春(2月16日号)は、「このテロ事件の全容は解明されていない。疑惑の銃弾問題があるではないか」と報じたのである。
<picture></picture>
山上徹也被告(C)日刊ゲンダイ
文春によれば、昨年9月30日、奈良県議会の総務警察委員会で、自民党県議の質問に対して、奈良県警の安枝亮本部長が、司法解剖の結果、安倍元首相の体に当たった弾のうちの1発について、こう明かしたという。
だが、3度にわたって事件現場に足を運び独自の検証を続けてきた銃器評論家の高倉総一郎は、「被害者の体勢では、首の右側に弾が当たるとは考えられない」と言っている。
自身も狩猟免許を持っている自民党の高鳥修一元農水副大臣も、「結局、警察庁幹部から右前頚部の銃創について納得のいく説明はありませんでした。彼らは1度目には、私の疑問に対し『(山上は、安倍氏の真後ろよりも)もっと左から撃った』と、その場を取り繕う言い方をした。2度目の説明の場ではそうした発言はなく、ただ『大きく振り返ったからだ』と」
警察庁幹部ですら合理的な説明ができない。
そこで文春は専門家の助言のもとに実証実験を行った。
安倍元首相とほぼ同じ身長の記者が、当日と同じ高さの台の上に乗る。3発の銃弾が当たっているから、致命傷となった左上腕部、問題の右前頚部、喉仏のやや下にできた擦過傷のところにシールを貼り、真後ろ5.3メートルから撮影して、右前頚部のシールが見えるかどうかを検証したという。
当時の映像を確認すると、安倍元首相は足の位置を変えずに、ごく自然に後ろを振り向いている。しかし、被害者役の記者が悲鳴を上げるほど大きく左へ振り返れば、弾が右前頚部に当たる可能性もなくはない。だが、この姿勢だと大きな矛盾が生じてくるという。左上腕部から入って左右の鎖骨下動脈を傷つけた弾は、当たった後、体内で大きく角度が変わる必要がある。また喉仏の下の弾痕は「擦過傷」どころではなく、体内に入っていないとおかしい角度になってしまうというのである。
したがって、山上の位置からでは、安倍元首相の右前頚部に弾が当たる可能性は極めて低いという結論に達した。疑問はまだある。
それ以外にも、救命にあたった医師の会見内容と、司法解剖の結果が大きく食い違っているという疑問もある。そのために「山上以外のスナイパーがいたのではないか」という陰謀論までSNSや一部メディアで流布されている。
まるで日本版「ケネディ暗殺事件」のようだが、その可能性はあるのだろうか。文春が実証実験までして、安倍元首相を死に至らしめた銃弾が警察発表と大きく食い違うという重大な疑惑に、警察庁は速やかに国民に「合理的」な説明をすべきである。 (文中敬称略)
(「週刊現代」「フライデー」元編集長・元木昌彦)
元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・事件・安倍元首相銃撃事件】 2023年02月19日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます