《社説②》:地方議会の女性候補 増やす取り組みが足りぬ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:地方議会の女性候補 増やす取り組みが足りぬ
先週告示された統一地方選の41道府県議選には、過去最多となる489人の女性が立候補した。とはいえ、候補者全体に占める割合は15・6%にとどまる。
有権者の半数は女性であり、代表する議員も同様の比率になるのが、本来あるべき姿だ。
候補者数の男女均等を目指す法律は地方議会も対象にしている。しかし、目標には程遠い。
政党の努力は不十分だ。とりわけ自民党の対応は、お粗末と言わざるを得ない。女性候補者の割合はわずか6・0%だった。
昨年11月時点で、都道府県と市区町村を合わせた全1788議会のうち14%は女性議員がいない。1人だけのところを含めると4割近くに上る。
男性に偏った構成では、議論が硬直化しやすい。地域の課題や住民の身近な問題を解決していくには、多様な視点が不可欠だ。
女性の立候補を阻害する「壁」を取り除かなければならない。
「政治は男性の仕事」という性別役割意識が根強く残る。子育てや介護を担うことが多い女性は、両立を迫られる実態がある。
選挙では、支援者らから理不尽な要求をされる「票ハラスメント」に遭うケースが目に付く。当選後も同僚議員からのセクハラやマタハラが後を絶たない。
大都市部に比べ、地方は女性議員の割合が低い。地域差も解消する必要がある。
選挙制度の問題もある。都道府県議選では近年、当選者1人の選挙区が約4割に上る。候補擁立時に現職の男性が優先されやすい。
改善に向けた動きが進んでいる地域もある。
福岡県議会は昨年、都道府県レベルで初めて、議員の政治活動や選挙運動に関するハラスメントの根絶を目指す条例を制定した。
兵庫県小野市は10年以上前から、他自治体の女性議員を招くなどして、女性リーダーを育成する講座を開催してきた。現在は、市議14人の半数を女性が占める。
女性候補者を支援する若者の団体や、ハラスメントの相談を受ける有識者の団体も生まれている。
こうした取り組みを広げていくべきだ。自治体や議会の垣根を越えて、先進的な事例を共有する仕組みづくりも大切である。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2023年04月06日 02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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