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チラシの裏

サンリオSF文庫

2013年09月17日 | SF
1978年から87年の9年間、サンリオSF文庫が存在していた期間に
新刊で買っていた世代には、やはり特別な思い入れがあるのではないでしょうか。

SFに限らず、「読みどき」をもつ作品があるもので、
たとえばブラッドベリの作品はその代表なのでは。
このマイクル・コニイの「ハローサマー、グッドバイ」も「読みどき」のあるSFなのでしょう。
やはり10代、せめて20代に読んでおかないと、主人公の「ぼく」に感情移入できにくくなります(たぶん)。
そして、異星(?)の海を航行する帆船を低い視点から描いたカバーイラスト(小松原英)も、
青春海洋小説にぴったり。でも一番魅力的なのはタイトルの「ハローサマー、グッドバイ」ですかね。
※河出文庫で復刊されましたが、続編の「パラークシの記憶」も10月に河出文庫から出ます。
なんと「ブロントメク!」も同じく河出文庫で復刊予定、だそうです(本の雑誌より)




サンリオSFでは、コワモテ系のジョアンナ・ラスとかケイト・ウィルヘルム、
エンタメ系のジョーン・D・ヴィンジ、ヴォンダ・N・マッキンタイアといった女性SF作家も意識的に紹介されてました。
この「女の千年王国」というアンソロジーは、ヴァージニア・キッドが編纂し、マリリン・ハッカーが序詩を書いてます。


(画:加藤直之)

ヴァージニア・キッドについてはよく知らないのですが、
マリリン・ハッカーならばS・ディレーニイの元奥さんでレズビアン詩人として知られています。
その2人がかかわっているアンソロジーですが、残念ながら途中で投げました(という記憶)。
アンソロジーの最後にル=グゥインの「アオサギの目」が収録されているのですが、
そこにたどりつく前の作品たちがどうもイマイチだったみたいです。
そういえばジョアンナ・ラスとケイト・ウィルヘルムのSF作品は
サンリオでしか出てなかったですね(ケイト・ウィルヘルムのミステリは創元文庫で出てましたが)。


(画:クリス・フォス)

で、「ベストSF1」というアンソロジーも出ていまして(「2」も出るという予告もあったなあ)、
中ではバラードの「下り坂自動車レースとみなしたJ・F・ケネディの暗殺」が衝撃的でした。
SFとは内容だけでなく、形式だけでもSFになるのかと目からウロコ。
そんなに驚いたなら「残虐行為展覧会」(工作舎)も読めばいいのにと思ったのですが、
やっぱりバラードは敷居が高かったんですね。
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