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『渇きの海』

2006年04月15日 | SF
近年はラジオドラマなんてのは流行らないのでしょうか。
20年くらい前にNHKFMで放送されていたラジオドラマの一つが、この『渇きの海』というSFドラマです。原作はアーサー・C・クラーク。映画『2001年』の原作者としてあまりにも有名ですが、SF史上に残る小説作品も多く執筆しています。

この物語の舞台は近未来の月面、月の海といわれる場所で月観光船が砂に飲み込まれる事件から始まります。この月面の砂は流体と固体の両方の性質をもったやっかいな物質。その性質が後々登場人物たちを苦しめます。月観光船が遭難したことを知った月面基地はすぐに捜索隊を派遣しますが、月の砂に飲み込まれた観光船を救助するのは不可能に近いことがわかります。しかし船内では刻一刻と酸素の量が減っていきます。間一髪、酸素だけは補給に成功しますが、そのあと次から次へと月の砂による障害がたちふさがります。船内の乗客たちの生への努力と、救助隊の必死の活動は実を結ぶのか。観光船の動力炉が臨界に達するのも間近なのに...、というお話です。

クラークの筆は登場人物たちをぼくたちと等身大の人間に描き、派手なヒーローなどは登場しません。しいて言えばすべてのキャラクターが善人で、とにかく一致団結して苦難を乗り越えようとしてするところに「いまどきそんなのねえよ」とつっこみを入れたくなるでしょうが、そこは60年代という時代を考えればさもありなんです。

ラジオドラマでは、責任感の強い観光船の船長に中尾隆聖、そのひたむきなアテンダントに鵜飼るみ子、乗客で元宇宙軍提督に故高木均、同じく乗客のオールドミスに故高橋和枝、救助隊隊長に矢島正明、小林勝彦のどちらかだったですね。とにかく面白かった記憶があります。

じつはテープが残っている(1回抜け)ので、そのうちCDにしてみようと思っています。
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