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冷たい方程式

2011年11月15日 | SF
ハヤカワSF文庫版の「冷たい方程式」は、
昭和55年に「SFマガジン・ベスト1」として伊藤典夫と浅倉久志によって
SFマガジンに掲載された短編を編んだものでした。




ややこしい話ですが、その前の昭和38年にハヤカワSFシリーズでも「SFマガジンベスト」というタイトルでNo4まで出ていました。
ハヤカワSF文庫版は、銀背のシリーズを継ぐようなものとして出たとのことですが、こちらはNo2で途絶してしまいました。



今回の新版「冷たい方程式」は、伊藤典夫単独編集による(浅倉久志は亡くなっているので)「隠れた名作」を選んだものと思われます。
数編しか書いていない作家はともかく、短編集が何冊も出ている作家でも短編集から漏れているようなレア作品を収録しているので、
作品の完成度というより「レア度」と「編者の好み」が選択するうえに大きく加味されているような気がします。
新版はまだ読んでませんが、
旧版から「冷たい方程式」とアシモフ「信念」以外を外したのは、
ほとんどの作品が賞味期限をすぎて古臭くなってしまっていることを思えば正解でしょう。
ただし個人的には旧版の中ならベスターの「祈り」がダントツに素晴らしいと思います。
SFマガジンで掲載された、という枠ではなく、
伊藤典夫が選ぶ「SF」というコンセプトの短編集が読めるのは願ったりなのではないでしょうか。続編も期待しています。

と書いたうえで、しかし新版収録作品が斬新な作品ばかりかといえばそうでもなく、
懐かしい名前が並んでいるのには首を傾げたくなります。
そこが伊藤典夫セレクトである理由なのでしょうけれど。
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