声をかけてもらえたおかげで
全く浮かばなかった脱出プランから
少しだけ
前に進めそうな案が出てきた。
まず、
自分の所の土地なので
バイクを停めておいてもらって構わないと
言っていただけて
最悪放置して帰ることは可能になった。
なので一旦家に帰って
改めて取りに来る、というプランはまず
使えることになった。
そして、現在位置から交通機関までの大体の距離感を
聞いてみたんだけど
歩いて行ける距離に駅はある、ということだった。
それならば
自分自身が動いて帰ることも
パーツを揃えることも可能かもしれない。
更に、この方の好意で
このあと街へ行く用事があるから
ついでで乗せて行ってあげるよ、とまで
言って貰えた。
そこで浮かんだプランが
レンタカー、(軽トラ)を借りてきて
バイクを積んで帰る、というプラン。
まず、現状として
もう自走は無理なんだ。
これ以上チューブを傷めると修理は不可能になる。
交換するにしても走ってしまうとタイヤも傷めるので
なるべく動かさない方が良い。
俺のベター案としてはチューブを買ってきて
現場で直すっていうのがあるんだけど
そのためには
そもそもチューブが買えないと厳しい
でも、街が一切ないこの場所で
どうやってチューブを手に入れれば・・・
因みにマップで検索をしたら
出てきた店がライコランドだったんだけど
盛岡で現場から2時間以上離れていた。
いやぁ
こんなことを言っては何だが
本当に無いもないところには
何もないんだな・・・
バイク用品店まで車で2時間って
それが最短なのか・・・
凄い場所だ
更に
近所の人たちもやってきてくれて
また一つの提案を貰えた、
自分の軽トラで東京まで送ってやるよ。
とまで言っていただいた。
とてもありがたいとは思ったんだけど
流石に知らない人の軽トラで
東京まで送ってもらうのはキツイかなって思えた。
ただ、
あまり長いこと考えている余裕は無かった。
何かを決断しなければ
日が暮れてしまうし
いくら俺が暇な人生だからと言って
仕事の日はあるから
いつまでもこのままってわけにはいかない。
それに
動かないと出来なくなってしまう事があるのは
わかっていた。
例えばレンタカーを借りるのでも
店にパーツを買いに行くのでも
東京へ帰るのでも
俺以外は時間通りに世の中は動いているわけで
店が閉まったり電車が運行しない時間になれば
何も出来なくなるわけで
どういう方向で動けばいいのか
決めなければならない。
一番の理想は
自分のバイクで帰る。
多分これが一番スマートだと思うし
本来の目的としては
合っているんだと思う。
それに置いて帰って再び来るのも可能ではあるけど
二度手間感は否めない
更に
ここまで深くはあの時点では考えていなかったけど
今になって思えば
貰った試練っていうのは
今後の為もあってのことなんだろう
つまり、
一番最大の懸案だと思った
パンクを無理やりでも経験させて
それをクリアすれば
それを心配しないで今後ツーリングに行けるだろうって
考えれば
ここでこの問題を自分で解決することが
実は一番の成果に成りえるってことなんだなと
そういう意味では
結構間違いない選択を
この時出来たのかもな
俺が選んだ選択は
好意に甘えて
盛岡まで乗せて行ってもらう、だった。
流石に後になってから
調べてみたんだけど
現場から歩いて駅まで行って
レンタカー屋でレンタカーを借りてその車で用品店に行き
パーツを買って
同じような流れにしたとしても
多分時間的にアウトだった。
用品店の閉店に間に合ってない。
更にレンタカーで現場に戻ってバイクを積んで東京まで帰る、も
ワンウェイの料金を考えれば
とてもじゃないが現実的ではなかった。
レンタカーでバイクを積んで
そこそこの距離で修理が可能な店へ
持ち込むっていうのが
ベターな方法だったのかもしれないが
費用面的には今回使った方法よりはかかっていたと思う。
それに時間的に言って
それをやったとしても
修理を当日中に終えることは無理だったと思われる。
本当に
助けてもらった。
見ず知らずの俺なんかを
車に乗せてくれて
更に2時間もかかる盛岡まで連れて行ってくれて
更に更にその後
作業のために工具その他まで貸していただき
感謝の言葉しかない。
いつもいつもそうだけど
助けられてばかりなんだよ、俺の人生は
こちらが助けることがほとんどない。
こうやって人に助けらることも
含めて
与えられた試練なんだろうね。
この旅でも
ほとんど人と接することなく終えて
そのまま終わっていれば
一人のまま一人で完結する
そんな旅だった。
でもそれじゃ終わらせない。
無理やりでも人と関わらせて
そういう体験をしなさいっていう試練を
与えられたんだろうな
2時間
車に揺られて
盛岡へ
レッドバロンでも売っているだろうって
言われたので
とりあえず行ってみることに
俺からしたらレッドバロンはあまり良い印象はなかった。
昔のイメージで言えば
今の騒がれている某なんとかモーターと
変わらない感じで
高いものを無理やり売りつける、みたいな
そんなイメージしかなかった。
でも、実際に行ってみた感じは
全然違った。
普通にチューブは在庫してて
売ってくれたし
ココでの買い物でもう何とかなったんじゃないかとまで
思えた。
それでも工具を買いたいっていうのもあって
ライコランドにも連れて行ってもらったが
後から考えれば
このライコランドでの買い物はほとんど余計だったかもね。
ある意味じゃ俺自身の自信をなさからくるものだったかも
まず、チューブをもうワンセット買うことに
心配だったんだ。
過去幾度となくチューブタイヤをパンクさせ
レースの日にパンクして
耐久エンデューロにエントリーしていたのに
途中で店へ走ってヘビーチューブ買ってレース中に修理して
修理しているのにレバーでチューブ噛みして
またパンクさせるというね。
結局その日はそのままリタイヤして帰ったっていう
しょうもない苦い経験とかさ
とにかくこの作業には基本苦い経験が多いんだ。
だからココで失敗したら大変なのよ。
東京帰れなくなるんだから
でも正直迷ったよ。
レッドバロンで2000円くらいで売っていたチューブが
4000円で売っていたから
どうしてこういうことになる?っていうね。
それに
一応工具は持ってきてはいたんだけど
アクスルシャフトを抜くまでは出来ると
記憶していたけど
どこまで工具を持っていたかが定かじゃないから
でも、これだけは買っておこうと思ったのは
バルブをホイールから出す特殊工具
これを売っていたから
これだけは買おうと思った。
余計だったのはモンキーとか
足りないと思ったけど
全然要らなかったわ
そんな感じで
現場に戻り
真っ暗だったけど
また地主さんの家の建物横まで連れてきてもらい
電気も点けてもらって
更にコンプレッサーまで貸していただき
本当にある意味じゃ至れり尽くせりで作業できた。
この地主さんの
持っていたもの、
ガレージジャッキとかコンプレッサーとか
その辺があったおかげで
作業が滞ることなく進んで
あっという間にパンクは直せた。
まぁ実際のところは
ちょいちょい上手く行かない部分があったのは確かなんだけど
アクスルシャフトに入っているカラーが
歪んでいて引っ掛かったとか
最初に外していたリアブレーキのロッドを曲げてしまって
それ自体は曲げて元に戻して問題ないんだけど
作業上無くなるとマズイと思って
ロッドに仮締めしておいた
パーツが吹っ飛んでいて
それを一生懸命探したんだけど最後まで発見できず
最終的にそれが見つからないので
強引な方法で帰ることになる。
でも、
とにかく走って帰れる状態にまで戻れたのは
良かった。
最後にお礼をしたかったけど
明日早いから寝るから勝手に帰ってって
言われたので
無理に声がかけられなくて
そこが結構心残りだった。
名前も聞けなかったし
ここでしか言えないけど
本当に助かりました、お世話になりました。
ありがとうございました。
本当なら
ビール1ケースくらい買って
置いて行こうかと思ったんだけど
そもそもバイクに物が積めないんだよ、
それに店がどこにあるのかもわからない。
なのでそっとお礼と思ってお金を忍ばせて置いてきたんだけど
受け取ってもらえたかな・・・
そんな形で
岩手の現場を後にしたんだけど
それで良かったね、チャンチャン。では終わらないんだな・・・