Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●小沢一郎氏裁判、司法の信頼回復の好機 ~大善文男裁判長への期待~

2012年03月21日 00時00分16秒 | Weblog


魚住昭さんの『魚の目』の記事(http://uonome.jp/read/2369)。

 どちらに転ぶのか、揺れ動いている。魚住さんも、無罪判決と言い切る自信を失っておられるようだ。これは検察への失望に次ぐ、司法・裁判所への信頼の喪失にも理由がある。

   『●小沢一郎氏陸山会事件: 採用された証拠は一つでオッケー!?
   『●続・小沢一郎氏陸山会事件: 採用された証拠は一つでオッケー!?

 ただ、東京地裁の登石郁朗推認〟裁判長とは、大善文男裁判長はかなり違うようである。魚住さんの云うように、ここまで地に落ちた司法の信頼を、これは取り戻す好機なのかもしれない。大善文男裁判長の責任はとても重い。

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http://uonome.jp/read/2369

「大善決定」が示す小沢裁判の行方
NEW!2012 年 3 月 7 日 魚住 昭

 昨年末、知り合いの記者から「小沢一郎氏の判決はどうなるのか?」と聞かれた。私は考え込んだ挙げ句にこう答えた。

   「証拠に照らせば無罪でしょ。でも裁判官の中には『推認だけで判決を
    書く人がいるからまだ分からない。あえて言えば7対3か6対4で無罪ですかね」

 我ながら歯切れの悪い答えだった。昨年9月、東京地裁の登石郁朗裁判長が石川知裕衆院議員らに下した判決のショックが尾を引いていて無罪だと言いきる自信がなかったのである。

 登石裁判長は昨年6月の証拠決定では石川議員の取り調べで「特捜部は恐ろしいところだぞという威迫があった」として石川調書を証拠採用しなかった。不当な捜査が明らかになったののだから、石川議員らの量刑は無罪とはいかなくとも大幅に軽減されてしかるべきだろう。

 しかし登石裁判長は判決では検察側の筋書きを全面的に認め、石川議員ら3人に対し、ほぼ検察の求刑通り禁固1~3年(執行猶予付き)を言い渡した

 自ら指摘した捜査の欠陥を極小化し、証拠の欠落をすべて「推認」で埋めるという乱暴極まりない事実認定だった。私は判決要旨を読んだ時の背筋が凍るような思いを今も忘れられない。

 今月17日、検察審査会の議決で強制起訴された小沢氏の証拠決定があった。大善文男裁判長の決定は石川調書の任意性を否定した点では「登石決定」と変わらない。だが、その内容にはかなり重要な違いがある。

 その第1点は、検審の起訴相当議決(1回目)を受けて田代政弘検事が行った石川議員の取り調べ (石川議員が隠し録音していた)に対する評価である。

 登石決定は「威迫ともいうべき心理的圧迫と利益誘導を織りまぜながら巧妙に誘導し」たと認定したものの、取り調べを違法とまでは言い切っていない

 一方、大善決定は田代検事が「小沢の関与を認める供述を覆すと、検察内部の強硬な考えの持ち主が小沢の起訴に転じるよう主張する」と述べたのを捉え、これは「強力な利益誘導」で「虚偽供述に導く危険性の高い取調方法」だと非難している。

 さらに田代検事が石川議員の再逮捕を示唆し「供述を覆すことを困難にするような強力な圧力」をかけたと指摘。「このような取調方法は違法不当なものであって、許容できないことは明らか」と断じた違法な証拠で起訴された者に有罪は言い渡せない。これは法の常識である。

 大善決定が登石決定と大きく違う点がもう1つある。それは石川議員の勾留中にフェアな取り調べをしたという趣旨の田代検事の法廷証言に「深刻な疑問」を表明したことだ。(登石決定は田代証言に言及していない)

 大善裁判長がそこまで言い切ったのは、石川議員の再聴取後に作られた捜査報告書の嘘の数々が小沢法廷で暴かれたからだ。報告書によると石川議員は再聴取の際、こう述べたという。

   「勾留中に田代検事から『やくざの手下が親分を守るため嘘をつくのと
    同じようなことをしたら選挙民を裏切ることになる』と言われ、
    堪えきれなくなって小沢氏の関与を認めた」

 だが、こんなやりとりは隠し録音には一切ない。田代検事は法廷で「記憶の混同 」と釈明したが、大善裁判長はそれを「信用できない一蹴した

 さらに大善裁判長は、特捜部の副部長が石川議員の目の前で取り調べメモを破ったり別件で石川議員の政策秘書を厳しく取り調べたことなどを指摘。複数の検察官による組織的な圧力により石川議員が小沢氏の関与を認める調書に署名させられた疑いがあると述べている。

 つまり大善決定は登石決定より1歩も2歩も踏み込み、田代検事の“偽証”まで問題視しているのだ。となると4月に予定される判決は無罪しかないだろう。私は登石判決のような悪夢はもう見たくない。失われた司法への信頼を取り戻すため、証拠に基づくまともな判決が言い渡されるのを心から願う。(了)

(編集者注・これは週刊現代「ジャーナリストの目」の再録です)
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●続・小沢一郎氏陸山会事件: 採用された証拠は一つでオッケー!?

2012年03月20日 00時00分07秒 | Weblog


gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/135461)。

   『小沢一郎氏陸山会事件: 採用された証拠は一つでオッケー!?

 日刊ゲンダイの見立ても、やはり、悲観的だ。郷原信郎氏は検察を変える最初で最後のチャンスと見ておられて、一方、記事自体は、それさへも難しいというトーン。東京地裁大善文男裁判長への検察からの無言のプレッシャーは相当なものなのだろうか。だからこそ、「採用された証拠は一つでオッケー」というサインを検察に送っているのだろうか。小沢氏有罪による政治的生命抹殺へと向かっているようで、検察やマスコミ等によるこんな不条理なことが許されていいのだろうか、大いなる疑問である。

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http://gendai.net/articles/view/syakai/135461

小沢「有罪」裏取引
2012年3月3日 掲載

どこまで検察は腐っているのか!

<背後に潜む一大謀略>
 検察の組織的犯罪が決定的となった。小沢元代表を強制起訴に導いた「虚偽報告書」が、東京地検の手で1年間も放置されていた。とうに不正を把握していながら、小沢弁護団が公判で指摘するまで、シラを切り通すつもりだった腐った隠蔽体質。フザケたことに検察サイドは、今回のデタラメすら「小沢有罪」に向けた裏取引に利用しようと企んでいる。

<突然、発覚した「虚偽」報告書隠蔽の実態>
 東京地検が捜査報告書の虚偽記載に気づいたのは、昨年1月上旬。きっかけは、石川知裕衆院議員(38)ら小沢の元秘書3人の弁護側が、例の石川録音テープの中身を証拠開示したこと。10年5月に元特捜部の田代政弘検事(45=現・新潟地検)による再聴取のやりとりがバッチリ記録されており、田代検事が作成した報告書と比べれば、内容が食い違うことは一発で分かる。
 問題は、東京地検が不正を把握した時期だ。大阪地検特捜部証拠改ざん事件を受け、最高検が再発防止策を発表した直後だった。改ざん事件を機に設立された「検察の在り方検討会議」のメンバーで、元検事の郷原信郎弁護士は「我々が検察再生の議論を重ねる中、東京地検は組織防衛のために偽造報告書を隠蔽したとしか思えません」と、こう憤慨する。

   「田代検事個人の不正なら、東京地検も即座に処罰できた。
    ところが、いまだに田代検事を処罰せず、組織に抱えたままです。
    この事実こそ、今回の不正が組織ぐるみだったことを物語っています
    田代検事の上司など複数の幹部が不正に加担した“組織犯罪”だから、
    発覚を恐れた。当時、明るみに出れば、東京地検は特捜部解体まで
    追い込まれたでしょう。隠蔽は、そのためです」

 市民団体から「虚偽有印公文書作成容疑」での刑事告発を受け、東京地検はアリバイ的に田代検事の聴取を重ねてきた。しかし、組織的隠蔽の露呈により、田代逮捕で一件落着を図る可能性が高まっている。上司だった特捜部の吉田正喜副部長や佐久間達哉部長(いずれも当時)らも無傷では済まないだろう。
 常識で考えれば、これで小沢はまた一歩、「無罪」に近づいたようにみえる。だが、検察組織は非常識。小沢周辺も警戒を強めているという。

   「この国の検察と裁判所は表裏一体です。検事の一斉処分となれば
    “これだけ詰め腹を切らせた以上、もう恥をかかせるな”と暗黙の了解で、
    裁判所への無言の圧力になる。虚偽報告書の隠蔽発覚は、
    読売新聞が2日付1面でスクープしたもの。記事は複数の検察幹部による
    リーク情報を基に書かれていました。『小沢無罪』説が強まる中、
    検察がわざわざ身内の不祥事をさらけ出すのは異例だし、不気味です」(民主党関係者)

 肉を切らせて骨を断つような「小沢有罪」に向けた裏取引――前出の郷原氏は「ここで徹底的にウミを出さないと、検察組織は再生できない」と言ったが、検察は懲りていない。注目の判決は来月26日前後とされる。検察の重圧に屈せず、東京地裁は常識的な判断を下せるのか大善文男裁判長の胆力が問われる
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●小沢一郎氏陸山会事件: 採用された証拠は一つでオッケー!?

2012年03月18日 00時14分45秒 | Weblog


来栖宥子★午後のアダージォ/さながら水面に浮かぶうたかた、手すさびのようなもの』の記事(http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/4a8db56c40e17e6c28d5755d081a15a5)のうち、「〈来栖の独白2012/02/19 Sun.〉」の部分を引用させていただきます。

 私も、すんなり無罪になるようには思えない。

   『●魚の目: 陸山会事件、魚住昭さんの〝目〟
   『●続報=水谷建設裏金問題、小沢一郎氏でなく自民党議員だった!?
   『●水谷建設裏金問題、小沢一郎氏でなく自民党議員だった!?
   『●推認裁判官よりはまともか?
   『●小沢一郎氏関連冤罪事件、推認に推認を重ねた裁判長

 「被告人を有罪とするに証拠は多くは要らぬ。1つあればよい」の部分にひどく唸らされた。全く仰る通りである。やはり、先行き厳しいと見ておくべきで、東京地裁大善文男裁判長の判決後、またしても、マスコミのバッシングが見えるようだ。はたして大善文男裁判長は〝犬〟か、それとも、〝犬〟になれない裁判官だろうか? 死刑判決が出るような裁判ではないけれども、小沢氏の〝政治的抹殺〟へと導くものであり、熊本典道さんの苦しみを感じ取れる裁判官であろうか?

   『●〝犬〟になれなかった裁判官
   『●『美談の男』読了
   『●マスコミと癒着する「司法・最高裁」の堕落ぶり
   『●原発裁判はどれも完敗: 井戸謙一元裁判官と小出裕章さんの対話
   『●そりゃぁ、東京電力原発人災以降を見ただけでも、「司法」にも絶望するよな
   『●東京電力、「お前のモノだろう!」
   『●井戸謙一元裁判官再び: 最高裁は常に国側に、そして、努力は無駄に
   『●金沢地裁原発差し止め判決: 井戸謙一元裁判官

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http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/4a8db56c40e17e6c28d5755d081a15a5

小沢一郎氏裁判/有罪とするには、採用された池田光智被告の1つがあればよい/小沢氏の政治生命は断てる

・・・・・・。

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〈来栖の独白2012/02/19 Sun.
 裁判とは、怖いものだ。石川知裕議員の披露宴に出席している鈴木宗男氏の顔(画像)を見ていて、ふと小沢一郎氏の裁判、裁判長大善氏の目論みを思った。
 そもそも小沢氏の強制起訴は、愚かな市民(委員)を操って、国と検察、そして政界が既得権益を守らんがために小沢氏を葬ろうとでっち上げたもので、メディアを走狗としてフルに使った。
 今月17日金曜日、東京地裁大善裁判長は、検察側証拠書類の大半を信用できないとして却下。しかし、楽観できない。小沢無罪を言い渡すことは、検審会の存在意義が問われることであるし、司法官僚の受けも決してよいはずはない。大善氏の将来(出世)を考えれば、氏の得点になるとは考えにくい
 いや、そのようなことよりも何よりも気になってならないのは、証拠却下されたのが「大半」であって、「全部」ではないということだ。池田光智被告の調書は採用されている。被告人を有罪とするに証拠は多くは要らぬ。1つあればよい。池田光智被告の1つによって有罪になれば(微罪で執行猶予でも)、その瞬間に(確定の瞬間に)小沢一郎さんの政治生命は断たれる選挙権及び被選権が停止される。鈴木宗男氏がそうだ。「微罪でよい。執行猶予も付けてやろう」、大善氏は有罪の青写真を描いたうえで---小沢氏の息の根を止める手はずを整えて---大半の証拠を却下、身内同然の検察に「これからは気をつけなさいよ」と余裕で、たしなめて見せたか。
 振り返ってみれば、このようにして(特捜)事件は造られ、権力の側に好いように判決されてきた。小沢排除を狙って、このこと(~強制起訴)を仕掛けた検察が、最後の矢を外すとは思えない。小沢無罪は奇跡に近い。胸が騒ぐ。騒いでならない。

・・・・・・。
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●光市母子殺害事件最高裁判決: 神保哲生さんらの〝目〟

2012年03月12日 00時04分33秒 | Weblog


神保哲生さんのvideonews.comの記事(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002316.php)。三つの問題点を指摘。

 安田好弘弁護士へのバッシング、検察や裁判所の〝安田憎し〟〝安田抹殺〟の視点は、やはり一連の光市母子殺害事件の判決では無視できないと思う。マスコミはバカ騒ぎするだけで、一連の裁判の過程の背後で何が起っていたのか、に目を向けようとしていない。死刑存置派としての視点で、安田さんらに、この裁判とは関係のない死刑廃止派弁護士とのレッテル貼りに終始、バッシングに夢中。「死刑のスイッチ」を押すことへの自覚がなく、「吊るせ、吊るせ」と大合唱しているに等しいことに気づいてもいない。

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http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002316.php

ニュース・コメンタリー (20120225日)
光市母子殺害事件の最高裁判決をどう評価するか

 1999年の山口県光市母子殺害事件の差し戻し審で最高裁が被告の上告を棄却したことで、犯行当時181カ月の元少年の死刑が事実上確定した。この判決については、メディア上でも多くの議論が交わされているが、何点か指摘しておくべき問題があるように思う。

 まず、最高裁は上告を却下せざるを得ない理由として、被告が殺意について途中から自分の主張を変えたことが、誠意や反省の欠如と判断される点を、主たる理由の一つとしてあげているが、これについては一定の懸念を持たざるを得ない理由がある。最高裁上告の直前に被告の代理人となった安田好弘弁護士によると、少年は取り調べ段階で、殺意を認めれば極刑は回避してやるとの警察・検察の裏取引に応じ、殺意を認めていたという経緯があったのだという。しかし、検察は一審、二審ともに死刑を求刑していた。(一審、二審は求刑は死刑だったが、判決はともに無期懲役だった。)これが本当だとすれば、少年やその代理人が裏取引が守られていないと判断し、途中から殺意の否定に主張を変えることは十分あり得ることだ。しかし、そもそもそのような裏取引があったという証拠は、取り調べが録音も録画もされていない上、弁護士の立ち会いも認められていないため、何一つ証拠は存在せず、これが単に不誠実な態度と受け止められてしまっている
 そもそもそのような裏取引はあるべきものではないが、実際にそのようなことが密室の取り調べで横行していることは、昨今の検察不祥事でもたびたび指摘されている。先般も陸山会事件で、そのようなやりとりの下で行われたの石川知裕衆院議員に対する取り調べの調書の採用が却下されたばかりだ。あの時はたまたま石川氏が取り調べを密かに録音していたために、供述の強要や誘導が白日の下に晒されたわけだが、これだけ検察の取り調べに対する社会の不信感が高まる中にあって、このような衝撃的かつ悲劇的な事件では、その疑問が丸ごとどこかに吹き飛んでしまうのは残念でならない

 また、最高裁は上告棄却の理由として、遺族の処罰感情の峻烈さを挙げている。殺人事件に限らず、事件や事故の際の遺族や関係者の辛苦には、部外者の想像を超えたものがあることは言うまでもない。しかし司法のあり方として、遺族の処罰感情を判決の主たる理由に据えることの妥当性については、議論の余地があると同時に、注意が必要ではないか。今回の最高裁判決ではそれを判決の理由とすることが、あたかも当然かつ自明のことであるかのように語られているが、被害者の感情的回復を優先するあまり、司法のその他の機能が蔑ろにならないよう監視をしていくことも、市民の重要な務めとして受け止めていきたい。


 そして、最後にこれはメディアでも多くが指摘している点だが、死刑が全会一致ではなく多数決の決定だったことも、やはり疑問が残る。
5人の最高裁小法廷判事のうち1人は下級審の審理に関わっていたとの理由から最高裁での審理からは外れ、4人の判事が判断を示したが、3人が上告棄却としたのに対し、弁護士出身の宮川光治判事は、「当時の被告の精神的成熟度が18歳より相当低ければ、死刑を回避する事情に当たる」として、死刑判決を破棄してさらに審理すべとする、反対意見を表明している。
 現行の制度では最高裁小法廷では5人の判事の合議制によって多数決で判決が決まることになっているので、制度上は一人の反対意見は少数意見に過ぎない。しかし、一旦執行されてしまえば、後戻りができない死刑の不可逆性を考えると、今後、死刑判決については全会一致を条件とすることも検討に値するのではないか。ましてや、裁判員制度が導入された今、裁判員裁判で死刑が確定することもあり得る。多数決によって死刑が決まることになると、たった一人の裁判員の評決が判決を左右してしまうかもしれない。これは一般市民から選ばれた裁判員にとっては、あまりにも過重な負担と言えるのではないか。

 光市母子殺人事件の最高裁判決をジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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●魚の目: 陸山会事件、魚住昭さんの〝目〟

2012年03月07日 00時20分25秒 | Weblog


魚住昭さんの『魚の目』の記事(http://uonome.jp/read/2013)。

 当初からこの事件の無茶苦茶さを指摘していた魚住さん。

   『●小沢一郎氏検察審査会は機能していない
   『●魚住昭さんが記者生命をかけて断言 ~小沢一郎氏関連裁判~
   『●魚住昭さん: 検察の愚劣捜査が国政を歪めた!
   『●小沢一郎氏に対してのバカ騒ぎのその後
   『●魚住さんの最高検報告書批判

 まだまだ、裁判の行方は不明。登石郁朗推認〟裁判長による〝推定有罪〟のようなこともあるので、油断はできない。
 それにしても、小沢一郎氏どころか、石川知裕議員らどころか、民主党議員どころか、自民党議員が噛んでいたのではないかという指摘について、なぜマスコミはバカ騒ぎしないのか? まさか、選挙が〝近い〟から、なんて言わないでしょうね!? 特捜検察も腐っていて、裁判所も機能しない、マスコミも小沢憎しのバカ騒ぎ。魚住さんのような優れた〝目〟を持つジャーナリストが一人でも多くより一層出てきてほしいものです。

   『渡邉恒雄 権力とメディア
   『野中広務 差別と権力
   『だまされることの責任
   『特捜検察の闇
   『沈黙のファイル ―「瀬島龍三」とは何だったのか
   『官僚とメディア
   『冤罪法廷 ~特捜検察の落日~

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http://uonome.jp/read/2013

前田元検事が語った陸山会事件の深層
2012 1 10 魚住

 小沢一郎・元民主党代表が強制起訴された陸山会事件に興味をお持ちなら、法廷尋問の詳細をほぼリアルタイムでネット配信しているMSN産経ニュース(無料)を是非お勧めしたい。
 
 昨年12月16日にあった前田恒彦元検事(証拠改竄事件で服役中)の証人尋問の内容もMSNを読むとディテールまでよく分かる。臨場感もあって下手な小説よりはるかに面白い。『神は細部に宿り給う』とはこのことだろう。
 
 MSNが伝えた前田証言の核心に迫ってみよう。彼は陸山会事件の強制捜査が始まって1週間後に大阪地検から応援に駆り出され、大久保隆規紀・元公設秘書の取り調べを託された。
 
 その際、主任検事が『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ。恥ずかしい話だが、東京には割り屋がいない。だから大阪に頼ることになった』と言い、4億円の土地購入資金の原資解明を命じたという。
 
 早速前田元検事は他の検事らに「ご用聞き」して回った。結果、5千万円は石川知裕衆院議員が水谷建設から受け取り、1億円は○○建設から…と、業者からの裏金が土地購入資金になったとの見立てで捜査が進んでいることが分かった。だが、各ゼネコン・下請け業者を調べている検事らはうまく裏金の話を聞き出せていないようだった。
 
 大久保氏は既に水谷建設から百万単位の金を個人的にもらったことを認めていた。だがこれは小沢氏に報告しておらず、額も想定より一ケタ少なかった。
 
 大久保氏は前田元検事の追及にも個人的な金以外は認めなかった。まるで「『コンクリートの塊』で、呼ばれて間もない私に『割ってくれ』と言われて割れる状況ではなかった」という。
 
 小沢氏の聴取があった翌日、特捜部長らが拘置所に陣中見舞いに来て「大久保はどう?」と聞いた。前田元検事は「頑張ってみますけど難しいです」と答えた。石川議員担当の田代政弘検事も同じような返答をした。
 
 その場で部長は「小沢は当然分かっている」と言った。ダム工事の謝礼を秘書個人に渡す訳がない。そんな金だから収支報告書の虚偽記載で隠すとの見立てである。だが土地購入の原資が裏献金でなかったらこの見立てはあっさり崩れてしまう。
 
妄想」かもしれないと前田元検事は思った。何十人もの検事が業者を調べても裏金が出てこない。石川議員を調べた田代検事と吉田正喜副部長も「石川さんが5千万円を受け取った事実はないんじゃないか」と言った。
 
 初めからこの捜査には問題があった。購入原資を裏献金と決めつける前に「もっと小沢先生周辺や奥様の資金周りを調べるべきだと思いましたが、それができていなかった。4億円が企業からの献金と『妄想』する人もいたが、正直ついて行けなかったし、ついて行かなかった」
 
 調べの現場は厭戦ムード裏献金で小沢氏を立件するのに積極的だったのは、特捜部長や主任検事など一部だけだった。結局、小沢氏は不起訴になったが、その後、検察審査会に証拠を提出する際に「証拠隠し」が行われたと前田元検事は言う。
 
 その1つは石川議員の取調中に弁護人から繰り返し出された抗議文書。もう1つはゼネコンや下請け業者らの供述を記したメモだった。特捜部では見立て(小沢氏側への裏献金)に合わない供述は調書化せず、ワープロでその要旨を整理していた。
 
 もし検審にそれらが示されていたら石川調書の信用性も「水谷建設の裏献金の信用性も、減殺されていたはず。想定に合わなければ証拠にならないというのがこれまでの検察で、私も感覚がずれていて、厚労省の(証拠改竄)事件を起こすことになった」と前田元検事は言った。
 
 冤罪はこうして作られ、検審もこうして騙される。「私の件をきっかけに大きく検察組織を変えるなら、検察だけの判断で『この証拠は出さない』というのはやめるべきです」。前田元検事ならではの至言だろう。(了)
 
(編集者注・これは週刊現代「ジャーナリストの目」の再録です
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●小沢氏冤罪に関して東京新聞の見方が変わった?

2012年02月01日 01時01分04秒 | Weblog


少し前になりますが、東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012011102000054.html)。

 ンッ? 東京新聞の見方が変わった? 検察批判や裁判所批判など、今まであまり記事になっていなかったように思います。検察の行いや裁判官の「推認」判決などに何の批判もなく、小沢バッシングのみに夢中になるマスコミの姿は異常で、この件に関しては東京新聞も同じようなものかと思っていました。少し変わってきたのでしょうか。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012011102000054.html

小沢元代表公判 4億円の説明をもっと
2012111

 民主党元代表小沢一郎被告が法廷で「政治団体の仕事はすべて秘書任せ」と述べた。無罪をあらためて強調したわけだ。問題の四億円について納得いく説明こそ、政治家の信用回復の鍵となろう。
 初公判から約三カ月間に、検察の捜査に疑問符が付いた。一つは事実と異なる捜査報告書の問題だ。「(元秘書の石川知裕衆院議員が)議員なのにウソを言ってはいけないと言われた。あれが効きました」と書かれている。作成した検事は法廷で「その通りのやりとりはなかった」「記憶が混同した」と答えた。
 問題なのは、この報告書が小沢元代表が陸山会事件に関与したとする石川議員の供述調書の裏付けとなっていることだ。市民による検察審査会が強制起訴に持ち込む根拠となった可能性がある。
 もう一つは、捜査に加わった大阪地検元検事の証言だ。建設業者の取り調べメモでは、一億円を渡したとする水谷建設以外は「小沢元代表側に現金を渡していない」という業者ばかりだったと述べた。「渡していない業者」のメモは検察審のメンバーには明らかにされていない。つまり、検察があえて、検察審に起訴議決を促そうとする、きわどい手法をとったとの見方も浮上するのだ。
 もともと小沢元代表は「国家権力の乱用だ」と訴えていたが、陸山会事件そのものが、はじめに「筋書きありき」の捜査ではなかったかという想像すら湧く。
 石川議員ら元秘書三人に対する判決では、土地取引の原資となった四億円を隠蔽(いんぺい)しようとしたと推認し、三人が共謀したことも推認するなど、推測を重ねて有罪に導いたとも批判されている。
 小沢元代表の裁判では、裁判官は一切の予断を排し、厳格な事実認定に基づいて、四月に予想される判決に臨むべきだ。
 小沢元代表もさらに説明を尽くさねばならない。四億円の問題は政治資金収支報告書の虚偽記載の動機に直結するポイントだ。
 その説明が政治資金から銀行融資、個人資産などと変わった。どれが正しい答えなのか、なぜ変遷するのか。国民が納得しないのは、小沢元代表の姿勢にも原因がある。
 陸山会事件後は沈黙状態にあった小沢元代表は、現政権を強く批判し、自らの派閥を糾合し「動く小沢」に変わってきた。政治活動に信頼回復を目指すなら、それを支える政治資金の明朗化こそ、越えるべきハードルである。
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●旧与党・自民党への電力会社の献金をなぜマスコミはバカ騒ぎしないのか?

2011年10月12日 00時03分08秒 | Weblog


いつもながらのgendai.netからのコピペ(
http://gendai.net/articles/view/syakai/133050)。比較的大手でまともな感覚を持って報じているのは、gendai.netだけだ。

 比較較するような問題ではないし、比較できるものでもない。分かってはいるのだけれども、マスコミはあまり触れようとしないのが気に食わない。小沢一郎氏の問題ではあれほどに騒ぐのに。
 あれはあれ、それはそれ、・・・・・・確かにそうだけれども、あまりにバランスがとれていないのではないかな。

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http://gendai.net/articles/view/syakai/133050

20111011 掲載
「小沢のカネ」よりはるかに重大

電力・与党の癒着が原発事故をもたらした

「小沢事件」よりも、こちらの方がよっぽどタチが悪いカネだ。東京電力が09年ごろまで、自民党の政治資金団体「国民政治協会(国政協)」に事実上の企業献金を続けてきた疑いがあることが判明した一件である。
 朝日新聞の報道によると、政治担当の東電役員が国政協との窓口になり、会長、社長は各30万円、副社長は24万円、常務は12万円――などと役職に応じて年間の献金額を差配。国政協に対する東電役員の献金額は、95~09年の15年間で少なくとも計5957万円に上るという。電力会社は「事業の公益性」を理由に74年から企業献金しないと公言してきたが、これが大ウソだったわけだ。

   「二枚舌だったのは東電だけではありません。『関西消費者
    団体連絡懇談会』が今夏に公表した調査結果によると、
    全ての電力会社が東電と同じ仕組みで
事実上の企業献金を
    行っていた疑いが指摘されています。06~08年の献金額で
    東電に次いで2番目に多かった関西電力は、社長30万円、
    副社長20万円、常務12万円といった具合です」
    (経済ジャーナリスト)


 先月の「西松事件」の裁判(陸山会事件と併合)では、民主党の小沢元代表側に対する献金額について、小沢の元秘書が会社側と献金額を決めていたなどと裁判長から
推認され、元秘書は有罪判決を受けた。西松マネーは小沢以外にも、自民党の森元首相や二階元経産相など18人の議員に渡っていた。しかし、立件され、有罪判決まで出たのは小沢のケースだけ。これ自体、不可解だ。
 今回発覚した東電による長年にわたる組織ぐるみの献金は問題にならないのか電力業界と政権与党がタッグを組んだら怖いものなしである。何の根拠もない「安全神話」の下で原発政策が強力に推進されてきたのも、長い間、自民党(国政協)と電力会社の強力な癒着があったからこそだ。大新聞テレビは「西松事件」や「陸山会事件」の際、「カネで政治を歪めるな」などと、ごもっともな主張をしてきた。ならば、電力会社が事実上の企業献金を続けて原子力政策を歪め、揚げ句に史上空前の大事故を起こした責任は糾弾しないのか。政治評論家の本澤二郎氏がこう批判する。

   「大量の放射性物質をまき散らした東電の責任は、
    西松事件などと比べようがないほど大きいものです。
    小沢議員を調べた東京地検は今こそ東電を強制捜査して
    徹底的に調べる必要があると思うが、全く動かない。
    国会も社長らを参考人で呼ぶだけで、厳しい追及はしない。
    大マスコミも沈黙したまま。他方、小沢事件については、
    国会も大マスコミも刑事裁判が始まった小沢議員を
    『証人喚問しろ』と批判しているからクビをかしげて
    しまいます。小沢議員は『権力の乱用』で追い込まれたが、
    東電は逆に『権力の乱用』で救済されようとしている。
    どう考えてもおかしいと思います」


 その通りだ。今の日本は、法治国家とは言えない状況になりつつある。国民生活にとって何が重要な問題なのか、あらためて考えた方がいい。

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●魚住昭さんが記者生命をかけて断言 ~小沢一郎氏関連裁判~

2011年10月08日 00時08分12秒 | Weblog


魚住昭さんのWP『魚の目』(http://uonome.jp/)に出ていた最新記事(http://uonome.jp/read/1990)。

 検察に踊らされた、反省なきマスコミの小沢バッシングのバカ騒ぎを信じるか、記者生命をかけてもよいとまで言い切る魚住さんの検察批判を信じるか? 私はもちろん、村木厚子 冤罪事件安田好弘さんの嫌がらせ逮捕などからも、魚住さんの言説を絶対に支持します。
 これは先日の東京地裁の判決前に書かれたもので、それでも「記者生命をかけても」とまで仰っている訳ですが、やはりこの高裁判決には相当に問題があります。例えば、THE JOURNAL(http://www.the-journal.jp/)の山口一臣さんの三つの記事(判決要旨を読んで(その1)http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/10/post_802.html判決文コピペ事件http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/10/post_803.html判決要旨を読んで(その2)http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/10/post_804.htmlを読むだけでもこの判決文の問題点が良く分かります。検察やマスコミの問題と同程度に、裁判官にも非常に大きな問題があります。
 あ~、それにしても、なんで私が小沢氏を擁護してるのか・・・。それほど、検察やマスコミ、裁判官が酷過ぎるということかな

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http://uonome.jp/read/1990

「陸山会事件」判決 記者生命をかけても私が言いたいこと
NEW!2011 年 10 月 4 日 魚住 昭

 石川知裕著『悪党―小沢一郎に仕えて』(朝日新聞出版刊)が売れている。発売直後で9刷5万部だからベストセラーだ。
 誰も知らなかった小沢一郎の実像が絶妙の距離感で描かれているから売れるのも当然だろう。数多の小沢本(大抵はヨイショ本か、暴露本だ)が皆駄作に思えてしまうほど良質な作品だ。
 
 石川さんは陸山会事件で政治資金規正法違反の罪に問われている。この原稿が読者の目に触れるころには東京地裁の判決が言い渡されているだろう。(筆者注・この原稿は判決数日前に書きました
 
 判決内容がどうあれ、私は陸山会事件の取材者として伝えておきたい事実がある。この事件は「小沢潰し」のため仕組まれたものだ断罪されるべきは検察の不当で低劣な捜査だ
 
 私 がそう言い切る理由は以下の通りだ。もともと陸山会事件の本丸は水谷建設のヤミ献金だった。04年10月、岩手・胆沢ダム下請け工事受注の謝礼として水谷建設が小沢側に5千万円を渡したという疑惑である。
 
 特捜部の調べに水谷建設の元社長は「六本木の全日空ホテルのロビーで石川秘書(当時)に5千万円入りの紙袋を渡した」と供述した。これが事実なら悪質犯罪だ。小沢本人も逮捕できると特捜部は色めき立った。
 
 だが、このヤミ献金容疑は証拠が希薄すぎた。まず、元社長の供述を裏付ける現金授受の目撃者がいなかった。当日、元社長を全日空ホテルに運んだという水谷建設の運転手の供述も曖昧だった。さらには石川さんが受け取ったはずの5千万円の行方も特定できなかった
 
 1 8年前のゼネコン汚職で特捜部は自民党の梶山静六・元幹事長を逮捕しようとしたことがある。ゼネコン幹部が「1千万円を渡した」と供述したからだ。だが強制捜査は直前になって中止された。ゼネコン幹部がそのカネを自分の懐に入れていたことが判明したためだ。この例でわかるように業者の供述を裏付ける証拠もなしに現職代議士の石川さんを逮捕できなかった
 
 となると残る手段は別件逮捕しかない。そこで浮上したのが不動産購入をめぐる政治資金収支報告書の“虚偽記載”だ。ヤミ献金に比べるとカスみたいな「形式犯」だが、購入時期のズレや、小沢氏個人からの借入金の不記載といった外形的事実の立証は容易だった。これを入り口に石川さんらを逮捕し、ヤミ献金受領を自白させて小沢氏の逮捕に漕ぎ着ける―それが特捜部の描いたシナリオだった。
 
 しかし石川さんは昨年1月15日に逮捕されてからヤミ献金受け取りを否認し続けた。
 
 彼の獄中日記には「アリバイを証明して断固戦う」(1月20日)「副部長から水谷についても立証できると言われた。本当にとんでもないことだ。検察は事件を作るといわれているが、本当だ」(1月27日)「副部長は小沢事務所が何千万円もゼネコンからもらったと思い込んでいる。何を言っても無理だ」(2月1日)と調べの模様が克明に記されている。
 
 結局石川さんの「自白」を得られず、特捜部は本丸のヤミ献金立件と小沢氏の起訴を断念せざるを得なかった。戦後検察史でも例のない大失態だった。
 
 そのうえ裁判では水谷建設が胆沢ダムの下請けでメリットのあるスポンサー(幹事社)をとるのに失敗していて、小沢事務所に謝礼を払う理由がなかったことが分かった。水谷建設の元会長も「裏金を渡すとき必ず『見届人』を同席させて相手方への現金交付を確認させるのがウチのルールだが、それをしていないのが解せない」と元社長の私的流用を示唆した。
 
 私の記者生命をかけて言うが、石川さんは嘘をついていない。5千万円のヤミ献金は検察が作り上げた幻だ。たとえ判決が有罪でも石川さんには政治家を続けてほしい。泥にまみれても不条理と闘い続ければ、共感の輪は大きく広がっていく。真実より強いものはないということがきっと証明されるはずだ。(了)
 
(筆者注・これは週刊現代「ジャーナリストの目」の再録です)

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●村木厚子氏冤罪事件で学んだはず

2011年09月29日 00時00分02秒 | Weblog


昨日(『●小沢氏元秘書東京地裁判決、どこまで信頼すれば?』、
http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/7f4b02d131ac0970996c08ec202fb6e2)に続いて。THE JOURNALの記事(http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/09/post_276.html)。

 新聞やその他のマスコミと違って、電脳上ではそれほどには無条件な小沢氏批判記事であふれていない状況は少し救いかな
 以下のこの記事も、「小沢教信者」・「小沢シンパ」とひとくくりにして良いとは、私には思えません。
 数年前ならば、私も「小沢教信者」・「小沢シンパ」的なことを書いたりすることなんて、想像もできませんでした。何せ、氏は、私の大嫌いな自民党田中角栄的土建政治、金権政治の脈流を引き継ぐ人ですから。氏を、決して潔白な「真っ白なハト派」と思っている訳ではないです。どう考えても「タカ派」だと思うし。でも、嫌いだと言うだけで、証拠もなく、検察の作文・空想を基に、裁判官の想像・願望だけで「灰色の政治家」を「真っ黒な政治家」と結論づけてはいけない、と思うだけなんです。
 ましてや証拠が捏造までされた村木厚子冤罪事件の教訓を、今こそ、思い出すべきではないのでしょうか。あれも、当初、(日程帳の記載でアリバイの立証された)民主党代議士の関与という妄想的で政治的なバイアスが根本にはありました。検察の異常な暴走があった訳です。政治家に対する好き嫌いだけで、告訴や判決内容が左右されたり、マスコミが恣意的に報じてはいけない、と思ってるだけなんです。

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http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/09/post_276.html

田中良紹の「国会探検」

またか

 「ほー」と思わせる判決だった。「陸山会事件」の一審判決で東京地裁の登石郁郎裁判長は、大久保隆規元秘書が公共工事の談合で「天の声」を出す当事者であり、石川知裕元秘書と共に水谷建設から裏金1億円を受け取ったと認定した。そしてそれを隠蔽するため政治資金収支報告書に嘘の記載をしたとして3人の元秘書に執行猶予付きの禁固刑を言い渡した。それならこれは虚偽記載事件と言うより贈収賄事件である。

 東京地検はなぜ贈収賄事件として贈賄側を逮捕し、次いで収賄側の立件に至らなかったのか。一連の事件には初めから不可解な点が纏わりついている。まず政権交代がかかった衆議院選挙直前の3月に「西松建設事件」で大久保秘書が政治資金規正法の虚偽記載容疑で突然逮捕された。形式犯とも言える容疑での強制捜査は前例がない

 しかも時期的に総理になる可能性の高い政治家に対する捜査である検事総長以下最高幹部が意思統一し捜査に臨むのが決まりである。ところが「検察首脳会議」は開かれず、「若手検事の暴走」という形で強制捜査が行われた。私が担当したロッキード事件で、東京地検は田中逮捕の前に「福島の天皇」と呼ばれた高齢の知事を逮捕して世論の動向を探るなど慎重に準備を進めたが、今回の捜査にはその片鱗もない

 「西松建設事件」の収賄側には自民党議員の名前が多数挙がっていて、中には事件発覚後に秘書が自殺した者もいた。しかし当時の官房副長官は自民党に事件は及ばないと断言し、その通り自民党議員は立件の対象にならなかった。「若手検事の暴走」という形にした事や政権交代の推進力である小沢一郎氏に的を絞った捜査は、通常の検察捜査というより政治的色彩の強い捜査と見られた。大阪地検も同時期に民主党副代表をターゲットにする「郵便不正事件」に着手したから狙いは政権交代阻止と見られた。

 大久保秘書の容疑は西松建設が政治献金をするために作った組織を西松建設本体と認識していたというもので、これが虚偽記載に当るというのである。犯罪と騒ぐような話かと思ったが、いつものことながら政界とメディアに「政治的道義的責任」を追及する大合唱が起きた。ここで小沢氏が非を認め、代表を退けば、検察は形式犯でしかない大久保元秘書の起訴を見送る公算が強いと私は見ていた。

 ところが小沢氏は非を認めず、検察に対して闘争宣言を行なった。検察は大久保元秘書を起訴せざるを得なくなり、「西松建設事件」だけでは有罪が難しいため、慌てて小沢捜査に力を入れ始めた。過去にさかのぼりゼネコン関係者からの聴取が行なわれた。

 その結果摘発されたのが「陸山会事件」である。検察は秘書らが住む事務所棟建設の土地購入に関して4億円の記載ミスがある事を発見した。一方で水谷建設から1億円の裏金提供の話を得る。この二つがどのように結びついているのか不明だが、ともかく二つの情報が流れればそれで目的は達する。国民には贈収賄事件の心証を与え、しかし検察は贈収賄事件の立件をしない。立件すれば証明しなければならないが、心証を与えるだけで政治的効果は十分だからである。

 一方で大阪地検の「郵便不正事件」は検察の大失態となった。担当検事が供述調書を改ざんして逮捕され有罪となり、事件の構図は崩れた。検事の取調べは信用できなくなった。そのため「陸山会事件」でも裁判所は供述調書を証拠として採用しない事にした。証拠に代わって判決の骨格を成したのは「推認」である。裁判所が被告と検察の言い分のどちらを「自然と見るか」という事で、客観より主観が優先される。

 今回の判決で裁判所は全面的に検察側の主張を受け入れた。3人の元秘書や小沢氏はすべて嘘を言ってきた事になる。ロッキード事件以来、数々の「でっち上げ」を見てきた私には「またか」という思いがある。ロッキード事件で田中角栄氏に一審有罪判決が下った日、私は官邸で後藤田官房長官を担当する政治記者だった。中曽根総理も後藤田官房長官もその日は裁判に一言も触れなかった。

 野党が「田中角栄議員辞職勧告決議案」を提出すると言って騒ぎ始めると、二院クラブの参議院議員であった作家・野坂昭如氏が、「選挙民が選んだ議員を国会が辞めさせるのはおかしい。それでは民主主義にならない」と私に言った。「その通り。辞めさせたかったら選挙で辞めさせるのが民主主義です」と私が言うと、しばらくして野坂氏が「田中角栄に挑戦する」と言って新潟3区から立候補を表明した。

 1993年に田中角栄氏が亡くなりロッキード裁判は控訴棄却となった、その2年後に最高裁はロッキード社幹部に対する嘱託尋問調書の証拠能力を否定する判決を下した。嘱託尋問調書は田中角栄氏がロッキード社から受託収賄した事を裏付ける証拠である。真相がほとんど解明されていないロッキード事件は、しかしメディアによって「総理大臣の犯罪」とされ、その後の日本政治には「政治とカネ」のスキャンダル追及が付きまとう事になった。

 今回の裁判で有罪判決を受けた元秘書は不当な判決だとして控訴した。小沢氏本人の裁判も来週から始まる。かくなる上は裁判の行方を見守るしかないのだが、「またか」と思うようにメディアや政治の世界が「政治的道義的責任論」を叫び始めた。政局に絡ませようと言うのである。しかし大震災からの復興予算を作らなければならない時に、立法府がやるべきはスキャンダル追及ではない。司法の問題は司法に任せる事が民主主義の基本なのである。


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●小沢氏元秘書東京地裁判決、何処まで信頼すれば?

2011年09月28日 00時01分02秒 | Weblog


朝日新聞では、江川昭子氏のコメント以外はほぼ「小沢叩き」に終始している。他のマスコミも同様。
 東京新聞(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2011092702000016.html)、videonews.com(http://www.videonews.com/press-club/0804/002085.php)、gendai.net(http://gendai.net/articles/view/syakai/132827)より。

 正直言って、意外な判決だ。裁判所は、検察の言い分を鵜呑みにし過ぎていないのか? ましてや、検察の主張以上の判決とはなっていないのか? 証拠に基づかない、裁判官の単なる推測や憶測、希望的観測。憶測でならば、何でも言えると思うのだけれども。

 大半のマスコミや野党が鬼の首をとったかのごとく異常な「小沢叩き」が行われているが、本当にそれでいいのか? きな臭くてしょうがないのだけれども。言い過ぎは百も承知だが、そもそもそれほど大きな事件であるのか疑問だし、何の政治的なバイアスなしにこの判決を信頼して良いのかな・・・。何度か書いたけれども、小沢氏や元秘書三名に何らかの落ち度はあったかもしれないとは思われるけれども、また、真っ白な政治家であるとは思いはしないが、マスコミや野党、民主党の嫌小沢派の騒ぎ方や検察・裁判所・検察審査会の対応は傍目・素人目にも異常だと感じる。

 非常に短時間ではあるが、Web Iwakami(http://iwakamiyasumi.com/archives/12712#more-12712)に石川氏の記者会見映像があります。同所に文字起こしされたものもあり。その映像の最後に収められている岩上安身氏のコメントにも耳を傾けて頂きたい。単なる「小沢信者」・「小沢シンパ」の戯言で切り捨ててよいのか?

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2011092702000016.html

【コラム】

筆洗

2011927

 「小沢一郎はいつ総理になるんだ?」「チャーチルも六十五歳で総理になったんだから待ってください」。秘書だった石川知裕衆院議員は、岩手の選挙区で支持者から聞かれると、こう答えた、と自著『悪党』に書いているきのうの判決は、六十九歳になった小沢氏の政治生命を大きく左右するのだろうか。小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引に絡む政治資金規正法違反事件で石川議員ら元秘書三人に執行猶予付きの有罪判決が下された元社長は、確かに金を渡したと公判で明確に証言したが、運転手は「その日、社長を送った記憶はない」と語った。金を渡すことを了承した元会長は、授受の現場に「見届け人」がいなかったのを「ちょっと考えづらい」と首をひねる中堅ゼネコンの水谷建設から、実際に計一億円が小沢氏側に渡ったのか。裁判への国民の関心はそこに尽きたが、判決は検察の言い分をそのまま追認した。検察が主張していない点まで踏み込んだと、弁護側は「独断的臆測」の認定と批判を強める判決は公共事業への影響力を背景に多額の献金を強いたと、ゼネコンとの癒着にも言及した。小沢氏は自らの集金システムについても語るべきだろう石川議員は本紙に「政治家小沢一郎を狙い撃ちした」と語っていた。同じ印象を持つ国民は多い。捜査不信の根深さを検察は自覚してほしい
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http://www.videonews.com/press-club/0804/002085.php

プレスクラブ (2011年09月26日)
「不当な判決なので、議員として政治活動は続ける」
石川知裕議員が判決後記者会見


 民主党の小沢一郎元代表の政治資金の収支報告をめぐり、3人の元秘書が虚偽の報告をした疑いで執行猶予つきの有罪判決を受けた問題で、判決のあった26日夜、被告の石川知裕衆院議員が記者会見を行い、判決への不満をあらわにした。
 石川氏は、判決は「到底受け入れることはできない」と、控訴の意思を示すとともに、「不当な判決なので、議員として政治活動を続けることに変わりはない」と、今後も議員活動を継続していく意向を明らかにしました。
 この事件は、小沢元代表の資金管理団体が、政治資金収支報告書に嘘の記載をしたとして、石川氏を含む小沢氏の当時の3人の秘書が、政治資金規正法違反の罪に問われたもの。  検察は3人の被告が、建設会社からの裏金などの事実を隠すために虚偽の報告をしたと主張したのに対し、石川議員らは建設会社からの裏金の存在を否定し、虚偽記載についても全面的に争っていた。
 東京地裁は26日午後、3人の被告の主張を退けるとともに検察の主張をほぼ全面的に認め、石川議員に禁錮2年、執行猶予3年、他の秘書2人に禁錮1年~3年、執行猶予3年~5年の判決を下した。
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http://gendai.net/articles/view/syakai/132827

【これまでとこれからの「小沢一郎」の話をしよう】石川議員独占インタビュー
2011927 掲載

「こんなウソだらけの判決は絶対に受け入れられない」

 9月26日、陸山会事件の判決が言い渡されました。無罪を信じていましたが、結果は厳しいものでした。
「被告人・石川知裕を禁錮2年に処する。この裁判が確定した日から3年間、刑の執行を猶予する」――
 主文を聞いた瞬間は愕然、茫然自失です。数日前から報道では厳しい観測が流されていたので、ある程度は覚悟もしていました。
 でも、やはり驚きと脱力感で頭がクラクラしましたね。拘置所で田代検事に言われた「事実と裁判の結果は違う」という言葉の重さを噛みしめています。
 ただ、今回の判決は、まさしく司法の危機だと思います。検察が起訴できなかった水谷建設からの裏ガネが、裁判所の独断と偏見で認定されてしまった。
 その根拠となったのが、水谷建設の川村元社長の証言。私が彼と会ったことを裏付ける物証は何ひとつないのに、「渡した」という川村元社長の証言だけで、裁判所が「推認」してしまった。本当に私が5000万円を受け取ったというなら、そっちの罪で裁けばいいじゃないですか。
 川村元社長に聞いてみたい。どうして、こんなウソをついたのか。ウソで冤罪に陥れて、何とも思わないのか。死ぬ前に、一度でいいから真実を語って欲しい。これが、私の一番の願いです。
 ウソだらけの川村元社長の証言を「自然だ」と判断した裁判所の感覚も、私には分かりません。普通、顔も分からない人間に、5000万円もの大金を渡しますか?裁判官は、あまりに世間知らずですよ。社会経験がなく、閉鎖的な世界にいると、そうなってしまうのでしょうか。
 判決後、検察官とも挨拶を交わしたのですが、彼らはニヤついていて、やけにうれしそうでしたね。
 私の裁判の結果について、まだ小沢氏と話をしていないし、何も報告していません。判決後、報道陣から小沢氏のことを聞かれて、内心では「今ごろ、囲碁でも打っているんじゃないかなぁ」と思っていました。小沢氏は、こういう重大な局面で、囲碁を打ちながら待つことが多いんです。きっと、嫌なことも忘れられるんでしょうね。実際は、夕方から「チュリス赤坂」の事務所で、弁護士資格を持つ階猛議員や弁護団の先生らと協議をしていたみたいですが。
 10月6日からは、小沢氏自身の裁判が始まります。私も証人として出廷することになり、精神的にキツいですが、控訴して闘っていきます。小沢氏にも、必ず嫌疑をハネ返して欲しいですね。
 地元でも判決の反響は大きくて、事務所の電話が鳴りっぱなしだったそうです。午後6時の時点で、すべて激励の電話だったと聞き、ありがたくて涙が出ました。元外務省主任分析官の佐藤優氏からも励ましの電話をもらいました。みなさんに支えられていると実感し、「これから闘っていくんだ」と闘志を新たにしています。
 こんなウソだらけの判決は、到底受け入れられないし、絶対に許しちゃいけない今回のようなケースがまかり通れば、狙い撃ちされた政治家はひとたまりもないからです。政界全体のためにも、ここで私が踏ん張るしかありません。

いしかわ・ともひろ 1973年生まれ。早稲田大学卒業後、小沢一郎氏の秘書を経て、07年から衆議院議員。陸山会事件で起訴され、民主党を離党。今年7月に出版した「悪党 小沢一郎に仕えて」(朝日新聞出版)は5万部のベストセラーになっている。メルマガも好評配信中。
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●魚住昭さん: 検察の愚劣捜査が国政を歪めた!

2011年08月24日 04時51分26秒 | Weblog


魚住昭さんの『魚の目』より(http://uonome.jp/read/1982)。

 小沢一郎氏が総理やこの国のリーダーになるべき、と考えている訳ではないが、このような違法捜査や違法裁判を許すことは出来ない。小沢氏が〝黒い〟政治家であるから、と云ってこのような検察や裁判所の肩を持つことはとてもできないのだ。ニッカンゲンダイなどのごく一部を除き、マスコミの多くが小沢叩きばかりに夢中になっていて大丈夫なのか? 村木厚子氏冤罪事件の教訓は?? 検察審査会や検察が、「政権交代の意味さえも破壊」した。

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http://uonome.jp/read/1982

愚劣な捜査がこの国の政治をねじ曲げた
2011 7 25 魚住

 6月30日、検察庁を激震が襲った。東京地裁が小沢一郎氏の資金管理団体・陸山会を巡る事件で、東京地検特捜部の検事が作成した調書の多くを証拠採用しない決定を下したからだ。
 なかでも衝撃だったのは、「小沢氏に4億円の虚偽記載を報告し、了承を得た」という石川知裕衆院議員の調書の任意性が「検事の威迫や利益誘導によって作られたものだ」として全面否定されたことだった。
 これで検察側が描いた事件の構図は瓦解し、検察審査会の議決で強制起訴された小沢氏の無罪がほぼ確実になった。

 決定理由の要点を紹介しておこう。まず問題になったのは石川議員が逮捕される前日の昨年1月14日に作成された調書だ。このとき石川氏は田代政弘検事の調べに、初めて政治資金収支報告書への「故意の虚偽記載」を認めたとされていた。
 ところが石川氏は公判で「特捜部は恐ろしいところだ。何でもできるところだぞ。捜査の拡大がどんどん進んでいく」と脅され、小沢氏に累が及ばぬよう署名せざるをえなかったと主張。田代検事は「そんなことは言っていない」と反論した。
 どちらの言い分が正しいのか。地裁の判断を決定づけたのは、昨年5月、検察審査会の議決後に石川氏が田代検事の再聴取を受けた際、ICレコーダーに録音したやりとりだった。

 石川議員「ここは恐ろしい組織なんだから、何するかわかんないんだぞって諭してくれたことがあったじゃないですか」
 田代検事「うんうん」
 さらに田代検事は「ちゃんと12月に出頭してれば捕まってないんだから…あそこで対決姿勢を示さなければ」と石川氏が特捜部の呼び出しに応じていれば逮捕がなかったかのように言ったり、「検察が石川議員再逮捕しようと組織として本気になったとき、まったくできない話かというとそうでもない」と再逮捕の脅しをかけたりしていたから言い逃れできなくなった。

 石川氏が虚偽記載を小沢氏に報告し、了承を受けたのを認めたとされる昨年1月19日付調書についても同じだ。石川氏は公判で「再逮捕の脅しに加え、これぐらい書いても小沢さんは起訴にならないから」と言われたのでやむなく署名したと述べ、地裁は彼の言い分を全面的に認めた。その根拠になったのもICレコーダーの記録だ。

 田代検事「要するにさ、僕は石川さんに色んな技を授けて調書にした部分もあるけどね…法律家であれば、ちょっと(小沢氏の)共謀の認定としてはきついよね、という位の話はしたじゃない。で、うちの方はうまい具合に想像した通り(小沢不起訴に)になったわけでしょ」

 地裁の決定書は「特捜部は恐ろしいところだという威迫ともいうべき心理的圧迫と小沢の不起訴見込み判断という利益誘導、まさに硬軟両面からの言辞がなされたことにより石川被告は調書に署名押印したものと推認される」と述べ、特捜部の捜査手法を痛烈に批判した。

 さらに地裁は会計責任者だった大久保隆規氏の虚偽記載への関与を認めた石川・大久保両氏の調書が「切り違い尋問」で作られたと指摘した。特捜部は大久保氏に「石川が報告したと供述した」と偽って自白させ、つづいて「大久保が認めた」と言って石川氏に大久保氏への報告を認めさせていた。これは典型的な違法捜査である。

 決定書からは特捜部の捜査への怒りや不信感がひしひしと伝わってくる。小沢氏本人の公判はこれからだが、陸山会事件が検察史に深刻な汚点として残ることはもう疑いようがない。
 しかし、それ以上に深刻なのは、陸山会事件が政治をねじ曲げてしまったことだ。事件がなければ参院選での民主党の惨敗もなかっただろうし、小沢氏の強制起訴もむろんなかった。愚劣な捜査が政権交代の意味を台無しにしたのであるまるで悪夢を見ているような気分だとしか言いようがない。(了)


(編集者注・これは週刊現代連載「ジャーナリストの目」の再録です)
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●小沢一郎氏に対してのバカ騒ぎのその後

2011年07月17日 02時46分34秒 | Weblog


gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/131477)。

 小沢一郎氏への意味不明な訴追について、バカ騒ぎ・バッシング報道のマスコミはどう責任をとるのか。20日の論告求刑はどうなるかは分からないが、暴走してしまった検察とそれを煽ったマスコミ、いい加減な検察審査会はどうするのか?

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http://gendai.net/articles/view/syakai/131477

「調書」大量却下で小沢元秘書3人の量刑はどうなるのか
                     2011712 掲載

大久保、池田「無罪」、石川「罰金刑」なら猛烈な検察批判が起きるゾ
 東京地裁供述調書を大量却下した「決定書」は、元秘書3人の量刑にどう影響するのか。小沢元代表本人の無罪が確実視される中、元秘書たちの無罪もあるのか。
大久保隆規元秘書の無罪は確実」と言うのは、元東京地検特捜部検事で名城大教授の郷原信郎氏だ。大久保氏は陸山会の会計責任者だったが、報告書の作成は当時の秘書だった石川知裕議員と、その後任の池田光智元秘書に任せ切りだった。

   「地裁は今回の決定書で、石川氏と池田氏が大久保氏に報告書の虚偽記載を
    
『報告、了承された』と認めた調書を全て却下しました。検察側は
    大久保氏を聴取した改ざん検事の前田恒彦受刑者の調書の証拠申請を
    すでに見送っています。他の秘書と虚偽記載を共謀したとして、
    有罪に問える材料がもはやひとつもないのです」(郷原氏)


 検察に詳しいジャーナリストの魚住昭氏も、決定書を熟読した上で「大久保氏の無罪は間違いないと言い切った

 現職議員である石川氏はどうか。「唯一の不安材料は、04年分の報告書で問題となった『10月29日、金4億円、小澤一郎』という借入金の記載についての認識です」と魚住氏がこう言う。

   「決定書で石川議員の逮捕後の調書はほとんど却下されましたが、
    逮捕前の任意調書は証拠採用されています。検察は問題の記載を
    『りそな銀行から小澤一郎名義で借りた金。小沢本人からの借入金は
    記載していない』として起訴。石川議員は公判で『文字通り
    小沢本人からの借り入れ』とし、『不記載にはあたらない』と
    主張しました。しかし、採用調書で石川議員は『小沢本人からの
    借り入れを記載』と主張せず、『当時は忙しかったので書き忘れた』
    との記載が出てくる。この調書をもって、裁判所が不記載を
    認定するかは微妙なところです」


 とはいえ、検察側に有利な材料はこの一点のみ。「水谷建設からの裏金を隠すため、秘書3人が共謀して収支報告書をごまかした」というストーリーは完全に骨抜きとなり、残ったのは石川議員の記載ミスだけ。池田氏にいたっては、逮捕した理由すら見当たらない

 郷原氏は「仮に記載ミスで石川議員が有罪になっても罰金刑が関の山」と語り、魚住氏は「罰金刑でも、公民権停止の付かない軽い処分の可能性もある」と言う。
 今月20日の論告求刑。検察側がどうするのか見ものだ
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 魚住昭さんの論考は、WEBRONZA+(http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2011071100011.html)にも出ています。魚住さんは、ここでも無罪を確実視しています。

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http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2011071100011.html

起訴拠り所の調書否定で小沢氏の無罪確実
                   2011年07月13日
魚住昭

7月8日、笠間治雄・検事総長が検察改革について記者会見すると聞いたので霞が関の検察庁に行った。会見のポイントは「従来の独自捜査中心主義を改めて財政経済事件の捜査に軸足を移すため特捜部の班編制を変える」ということだった。

 会見を聞きながら、私は複雑な思いにとらわれた。笠間総長は、独自捜査をする「特殊・直告班」を2班から1班に縮小し、国税局や証券取引等監視委員会などからの告発を受ける「財政経済班」を2班に拡充するという。

 しかし、いくら班編制をいじっても、総体としての特捜部は従来通り存続するのだから、まるで朝三暮四のような話だ。それで国民に納得してもらえる思うんだったら、検察は国民を相当馬鹿にしている

 それに、金融証券など企業犯罪の摘発を強化する方針は、2000年代初頭からの検察の既定路線だった。今回の班編成の変更はその路線を具体化したものにすぎない。それをあたかも重大な改革であるかのようにぶち上げたのだから、ますます国民を愚弄している。

 しかし、そう思う一方で、私は今回の総長会見にこれまでとは明らかに違う空気を感じた。「特捜部は政治家を捕まえるためにできた部ではない。その意味で原点に帰る」という総長の言葉からも、かつてないほど切迫した気持ちが伝わってきた。

 この会見では検察庁の全職員に向けた「検察改革についてのメッセージ」も公表されたが、総長が全職員向けメッセージを発すること自体が異例中の異例の出来事だ。

 笠間総長がこれほど強い危機感を持った理由はもう言うまでもないだろう。東京地裁が6月30日、陸山会事件で特捜検事が作成した調書の多くを証拠採用しない決定をしたからである。

 なかでも致命的だったのは小沢一郎氏に4億円の虚偽記載を報告し、了承を得た」という石川知裕衆院議員の調書(昨年1月19日付)の任意性が全面否定されたことだ。

 登石郁朗裁判長は決定理由で「特捜部は恐ろしいところだという(検事の)威迫や、小沢の不起訴見込み判断という利益誘導、まさに硬軟両面からの言辞がなされたことにより、石川被告は本件調書に署名指印したものと推認される」と特捜の捜査手法を糾弾した。

 この本件調書は、検察審査会が2度にわたって小沢氏の起訴相当議決をした際に最大の拠り所だった。その任意性が完膚無きまでに否定されたのだから、これから始まる小沢氏の公判の結論は見えたも同然だった。

 理屈から言えば、石川議員ら3被告と小沢 氏本人の審理を担当する裁判官の顔ぶれは異なるので別の結論が出る可能性がないわけではない。しかし、登石裁判長が石川調書の任意性を否定した根拠は、昨年5月に石川氏が特捜部の再聴取(検審の起訴相当議決を受けて行われた)を受けた際、ひそかにICレコーダーに録音していたやりとりである。

 そのなかで検事自ら石川氏に対し「特捜部はおそろしいところだ。何でもできるところだぞ」と言って威迫したことを事実上認めているのだから、小沢公判でも石川調書の任意性が認められる可能性は限りなくゼロに近い。ほかに小沢氏の虚偽記載への関与を示す証拠はないから、彼の無罪は確実になったと言っても言い過ぎではないだろう。

 6月30日の決定のもう一つ重大なポイントは切り違 い尋問」が認定されたことだ。特捜部は陸山会の会計責任者だった大久保隆紀氏と石川氏の「自白調書」をもとに、大久保氏が石川氏から虚偽記載の報告を受けていたと断じていたが、実は・・・・・
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 Iwakami‐webには石川氏のインタビューが出ています(http://iwakamiyasumi.com/archives/10828)。

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●続・検察審査会の「起訴相当」: 『週刊朝日』山口一臣編集長の〝日記〟

2010年05月10日 04時20分10秒 | Weblog

THE JOURNALの記事。これまた、とても長いです。これもかなりトリミングしていますので、原文を是非お読みください。

 郷原さんとまったく同じ意見です。やはり、検察に媚を売るマスコミの馬鹿騒ぎが、検察審査会の一般市民を起訴相当に誤誘導したと言わざるを得ません。呆れ果てます。また、投稿欄にて申立人と在特会』の関係の投稿があり、審査申し立ての内容の酷さや右翼ファシスト運動といった背景に対して、今回の真理申し立てがなぜすぐに受理されたのか、大いなる疑問・何らかの裏事情があるようです。

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【http://www.the-journal.jp/contents/
        
yamaguchi/2010/05/post_95.html】

山口一臣の「ダメだめ編集長日記」

小沢一郎が「起訴相当」となった理由

 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で検察審査会が「起訴相当」の議決を出したことが波紋を広げている。これによって小沢の進退問題に発展するのは必至と書く新聞もあれば、「5月政局」が始まると説く向きもある。肝心の民主党内もあたふたと揺れ始め、小沢の辞めどきを口にする議員まで出るありさまだ。しかし、いずれもことの本質をまったく理解していない議論と言わざるを得ない。あるいは、知っていて知らないふりをしている確信犯か、どちらかだ。
 なにしろ議決から1週間以上経っているにもかかわらず、これに関するまともな解説がメディアにほとんど見られないのだ。冷静に中身を分析せず「民意は重い」とか「市民目線から許し難い」とか、とにかく情緒的なものばかりだ。小沢一郎はいったい何をやったのか、それが法に照らして処罰に値することなのか? そうした問いはどこにもない。小沢はこの間、一貫して「私自身、何もやましいことはない」と言い続けている。なぜ小沢は「やましいことはない」と言えるのか。そんな分析もまったくない。
 これはメディアの自殺行為だ。起きている事態をきちんと冷静に分析し、世間に正しい判断材料を提供するのがメディアの役割なのに、それがまったくできていない。むしろ逆をやっている。そこで、これまでの情報を整理して私なりの考えを述べてみたいと思う。
 まず、今回、検察審査会が起訴相当とした中身(被疑事実)である。それについて、わかりやすく書いている新聞はほとんどない。恐らく、これを知ったらほとんどの人が「なんだ、そんなことか」と思うだろう。今回、検察審査会が問題とした被疑事実とは、「陸山会が平成16年に土地を取得し、代金として3億4260万円を支出しているのに、そのことが同年の政治資金収支報告書に記載されておらず、翌17年の報告書に書いてある」という、たったそれだけのことなのだ。土地の取得や代金の支払いを隠したわけでもなんでもない。時期がずれているという話だ。しかも、〝実行犯〟は当時小沢の秘書だった石川知裕議員である。小沢は、その石川と共謀して収支報告書に虚偽記載をさせた〝共犯者〟であるという疑いだ。
 はたしてこれが、国会議員を起訴するほどの〝犯罪〟といえるだろうか
 ・・・

 いずれにせよ、そんな罪ともいえない行為がなぜ「小沢疑獄」だの「小沢金脈」などと言われるようになったのかを、よく思い出して欲しい。陸山会が土地取得のために用意した資金の一部に「水谷建設から受け取った5000万円のヤミ献金が含まれていたのではないか」という疑いがあったからだ。確かに、もしこれが事実ならヤミ献金を受け取っていたという事実だけでアウトである。それが、ダム工事の受注の見返りだとした悪質度はさらに高まる。それらの事実が証明されれば、それこそ大疑獄事件といってもさしつかえない。東京地検特捜部も当然、そうした見込みで捜査を始めたはずである。
 たとえば、本件捜査が始まった当時の新聞を読み返してみてほしい。どのマスコミも判で押したように、形式犯である政治資金規正法違反は単なる入口で、その奥にはダム受注に関するあっせん利得やあっせん収賄といった実質犯があるといった解説記事を載せている。そのため今回の事件の最大のポイントは、土地購入資金の原資にゼネコンからのヤミ献金が含まれているかどうかである、ときわめて的確な指摘も多く見られた。
 ところがどうだろう。日本最強の捜査機関をもってしても、小沢サイドがゼネコンからヤミ献金を受け取っていたという事実は証拠のカケラも出てこなかった。土地購入の原資にゼネコンマネーが含まれているという証拠はないのだ。これも思い出してみてほしい。あれだけ派手にゼネコン各社を家宅捜索して、さらに幹部の一斉聴取までしたのにである。結局、当初検察が見込んでいたストーリーを裏付けるような証拠は、まったく出てこなかった。要は、見込み捜査が失敗に終わったという話なのだ。

 ところが、マスコミを使ってあれだけ事件を煽った手前、何も出てきませんでしたというわけにはいかない。そこで、本当にそんなことで罪になるのかといった程度(時期がずれて記載していたといった類)の政治資金規正法違反で石川らを逮捕・起訴することになったというのが、いわゆる「陸山会事件」の真相なのだ。
 本来なら、石川らの起訴時に前述のような見込みで捜査はしたが十分な証拠は得られなかったと、失敗捜査だったことを認めたうえで、疑獄金脈事件としての立件はできなかったけれど、捜査の過程で石川らの虚偽記載を見つけたので、それについて起訴したと説明すれば世の中をミスリードすることはなかっただろう。
 しかし、検察は保身とメンツのためにそれをしなかった。それどころか、十分な説明もなく「小沢は嫌疑不十分で不起訴」と発表した。小沢の「嫌疑不十分」はあくまでも石川らの政治資金規正法違反、つまり報告書の「書き間違い」に関して小沢との〝共謀〟があったかどうか、疑いはあるが十分な証拠がなかったという意味だが、世間はそうは受け取らない。「嫌疑不十分というのはクロではないが、限りなくクロに近い灰色だ」などと解説する輩も登場した。嫌疑不十分とは確かにそういう意味かもしれない。しかし、灰色が何に対して灰色なのかの説明がまったくない。正しくは、土地取得と代金の支払いの時期が2カ月ずれてしまったことに対して、小沢が〝共謀〟したかどうかということについて嫌疑不十分、つまり〝灰色〟だったという話なのだ。
 ところが、それまでの大本営発表的な報道をずっと見させられてきた一般市民の感覚からすれば、嫌疑不十分というのは水谷建設からのヤミ献金を受け取っていたかどうかについて、疑いはあるが証拠が十分でなかった、つまり灰色だということになる。それが今回の検察審査会での市民感覚による議決につながったのではないだろうか。
 大手マスコミもそれまで検察と二人三脚で「小沢金脈」「小沢疑獄」と煽りにあおりまくったため、正しい解説ができなくなってしまっている。あるテレビ局などは、水谷建設の関係者が石川に5000万円の現金授受の現場に立ち会ったという〝証人〟まで登場させていたが、いまだに放送が訂正されたという話は聞かない。今回のことで改めて検察と一体になったメディアの姿勢は本当に恐ろしいと実感した。検察は自らの失敗捜査を覆い隠すため、さまざまな情報操作を行う。本来、メディアはそれを監視し、検察の邪(よこしま)な思惑を暴いていかなければならないはずだ。ところが、それまで一体となった報道をしてきた手前、それができなくなっている。小沢一郎が何に対して嫌疑不十分なのかということが世間に浸透していないのも、検察審査会が起訴相当を議決したのも、メディアの偏向報道のためだと言っても過言ではない。
 ジャーナリストの上杉隆はこれを「官報複合体」と呼んでいる。それはまるで、戦時中の大本営発表を彷彿とさせる。大本営発表しか聞かされていない日本国民は、まさか日本軍が敗退しているとは思わない。快進撃を続けているものと確信している。そんな中でいくら真実はそうではないと叫んでも、〝危険な人〟扱いされるだけだ。検察は常に正義の体現者で、検察のやっていることに間違いはない。捜査は小沢周辺に着々と進んでいて、いずれ小沢本人の逮捕すらありうる......と、一般市民が思い込むのも当然だ。それがいきなり何の説明もなく「嫌疑不十分で不起訴」と言われ、納得できないというのも理解できる。審査会のメンバー11人全員が起訴相当と判断したのもうなずける。

 ・・・
 こうなってくると、そもそも水谷会長が本当にそのような証言をしたのかも疑わしい。厚労省元局長・村木厚子の郵政不正事件の裁判をウォッチしていると、そんな気にならざるを得ない。検察は平気で証言を捏造する。それが村木裁判で明らかになった。水谷会長の雑談を無理やりストーリーにハメ込み証言に仕立ててしまったのではないか。といってもこれはあくまで推測だ。・・・

 なぜ、こんなデタラメ捜査が繰り返されるのか。西松建設事件、陸山会事件、そして郵政不正事件の取材を通じて痛感したのが、特捜検事の出世と保身、プライド、それから退官後の経済的利益追求に対する飽くなき欲望の強さである。それがある種の焦りとなって、見込み捜査を邁進させる原動力になっている。そして、それを助長しているのが、思い込みの強さと勉強不足の甚だしさだ。
 ・・・
 次に勉強不足だ。郵政不正事件の裁判で村木被告はこう断言した。「役所を知らない人がつくった事件だと思います。検事のつくったストーリーは役所の事務とかけ離れている。霞が関にいる人間が聞いたらわかります」。役人の仕事運びのイロハについてほとんど勉強しないまま、自分たちにとって都合のいいように話をつくりあげたというわけだ。
 ・・・
 また、陸山会の会計処理が異様に複雑であるという指摘もあった。なかでも「定期貯金があるのに、それを担保に金利を払ってまで融資を受けるのはおかし」ということが新聞にも堂々と書いてあった。これなどは、事業における資金繰りをまるで知らない人の発想だ。ごくごくふつうに社会人をやっていれば、こうした資金繰りがあることはいわば常識なのである。しかし、学生時代から司法試験に合格することだけを目標に生き、合格後は司法修習、検事任官という社会と隔絶された人生を送ってきた人たちには、およそ理解できないことかもしれない。いずれにしても、勉強不足だ。
 さらにいえば、法曹資格者でありながら法に対する知識すら著しく欠如している。そもそも政治資金規正法の立法趣旨は何だったのか。それを理解していれば、西松建設事件の大久保秘書逮捕も陸山会事件での石川議員逮捕もなかったはずだ。
 石川議員の起訴事実には、冒頭の「時期のずれ」のほかに、小沢から渡された現金4億円と陸山会の定期預金を担保に銀行から借りた4億円の計8億円を収支報告書に記載していなかったということも含まれている。これについてはすでにネット上でもさまざまな指摘がされている。まず小沢からの4億円については、会計の専門家の誰に聞いても「記載する必要がない」という。政治団体の会計帳簿は単式簿記会計が採用されていて、この単式簿記会計の記載範囲には明確な定めがないというのだ。しかも、小沢が一時的に用立てた4億円は、最終形態が定まっていない資金移動ということで、会計上は仮払金、仮受金として処理されるもので、これも収支報告書への記載の義務はないという。もうひとつの定期預金を担保にした借入金については週刊朝日2010年3月5日号でジャーナリストの松田光世が喝破しているが、法律上、収支報告書に記載すべき「収入」(政治資金規正法第4条)ではないという。法律で書かなくていいことを書かなかったからといって罪に問われるのは、罪刑法定主義をとる日本ではあってはならないことなのだ。
 要は、罪にならない行為を「罪」だと言い張り、大疑獄事件、大金脈事件に仕立て上げようとしていたわけだ
 結局、一連の事件は特捜検事公益よりも私欲を優先させたがために陥った失敗捜査だったと言わざるを得ない。そんなことに世間が付き合う必要はまったくない。
(文中敬称略)
           投稿者:山口一臣 日時:2010年5月7日00:29
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