Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●《「政権に擦り寄る」テレ朝HDにモノ申す》《定款に、政治家などの圧力に報道が屈しないことなどを盛り込むことを求めるという》(東京新聞)

2024年05月03日 00時00分02秒 | Weblog

[※『権力と新聞の大問題』(望月衣塑子×マーティン・ファクラー著)…《政権をチェックしようという意識が…》↑]


(2024年04月11日[木])
アベ様や元最低の官房長官すがっちによる暗黒の《メディアコントロール》という頚木。

   『●膳場貴子さん「『報道特集』の根幹は、調査報道に挑戦すること、現場
      からものを考えること、評論家よりも当事者の声に耳を傾ける…」
    《膳場貴子キャスターは「週末の夜に、こんな硬派な番組が40年間
     放送を続けられたというのは、ある意味奇跡的だなと思っています」
     と話し、番組についてこう説明した》
    「久米宏さんの『ニュースステーション』時代の面影も無く、
     テレ朝の報道ステーションがアノ状態…そんな中で、唯一頑張る
     TBS。テレビ番組で報道と呼べるのは、もはやTBSの
     『報道特集』と『サンデーモーニング』だけ」

 「もの言う株主」として、テレ朝の《「会社の憲法」とも呼ばれる定款に、政治家などの圧力に報道が屈しないことなどを盛り込むことを求める》そうだ。前川喜平さん「テレ朝は10年前のように権力を監視、チェックする機関に戻ってほしい」。
 東京新聞・望月衣塑子記者による、前川喜平さんへのインタビュー記事【「政権に擦り寄る」テレ朝HDにモノ申す 株主提案を目指す前川喜平さんたちが案じる日本メディアの行く末】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/317827)によると、《田中優子・法政大学前総長(72)らが共同代表を務める市民グループ「テレビ輝け!市民ネットワーク」が、テレビ朝日ホールディングス(HD)の株主総会で「もの言う株主」になろうとしている。すでに約50人の賛同者と共にテレビ朝日の株3万株を保有した。「会社の憲法」とも呼ばれる定款に、政治家などの圧力に報道が屈しないことなどを盛り込むことを求めるというが、それはなぜか。共同代表の一人、前川喜平元文部科学次官(69)に聞いた。(聞き手・望月衣塑子)》

   『●《本来、問題にすべきは…安倍政権が政権批判をおこなう“目障りな番
     組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為》

―――――――――――――――――――――――――
https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/a30fd854b36e93ad70e18c369b6d997d

(2023年03月18日[土])
この問題、しつこく。適菜収さん《要するに政府にとって都合の悪いテレビ番組を潰すために悪党が動いたわけだ》。(リテラ)《もちろん、「怪文書」「捏造」と啖呵を切ったことの責任を追及することは重要だが、本来、問題にすべきは、この内部文書に示されているように、安倍政権が政権批判をおこなう“目障りな番組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為のほうだろう》。

 モリカケ桜事件以前、官僚らの〝忖度〟の始まり。テレビメディアの萎縮の始まり。斎藤美奈子さん《メディアの役目は「中立公正、不偏不党な報道」ではなく権力の監視なんです。それ、常識。》
 (リテラ)《安倍晋三という人物がそもそも報道の自由の重要性についてまったく理解しておらず、平然と放送に介入・圧力をかけてきた》、適菜収さん《安倍政権がやったことは、自由と法に対する挑戦だった》。アベ様直伝の息吐くようなウソ吐き…「礒崎さんという名前は今年3月になって初めて聞いた」!? 「2023年3月3日は高市早苗元総務相のタンカ記念日」。「報道の自由」「知る権利」「権力の監視」を委縮させた問題についての高市早苗元総務相のタンカ…。(琉球新報)《しかも高市氏に対する質疑内容について官邸は「こちらの方で質問立てしたい」との意向を総務省に伝えていた。まさに自作自演》だった。青木理さん《礒崎氏が自身のコントロール可能な議員に“ヤラセ質問”をさせ、官邸の意向に沿う答弁を総務大臣にさせることで、放送法の解釈を変えてしまおうという構図であり、論外です》。この問題、有耶無耶でいいのか?
―――――――――――――――――――――――――



 【西谷文和 路上のラジオ/Vol.174 前川喜平さん「メディアと野党を立て直す」】(https://www.radiostreet.net/radio/1811/)。《今回は、元文部科学事務次官の前川喜平さんに、お電話でお話を伺います。前川さんは昨年末、共同代表として「テレビ輝け!視聴者からのメッセージ」という市民ネットワークを立ち上げました。アベ・スガ政権におけるメディアへの圧力や、吉本やジャニーズ問題で浮彫になったメディアの沈黙など、健全なテレビ報道の在り方を問い正す狙いがあるといいますが、前川さんご自身もアベ政権時代の官僚として、政権の圧力により忖度や委縮するメディアを目の当たりにしてきました。この活動ではまず、「報道ステーション」での元経産官僚のコメンテーター古賀茂明さんの「I am not ABE」降板劇(2015年)も記憶に新しい「テレビ朝日ホールディングス」の株主となり、もの言う株主としてメディアを正して行こうとしています。まさに民主主義には欠かせない表現や言論、報道の自由、そして権力の監視が機能不全に陥っている今の日本のメディアに対して警鐘を鳴らす活動と言えそうです。さて、この先どのような展開になるのでしょうか?テレビ朝日に対しては、今後どのような株主提案をしていくのか、放送法の解釈を変えてテレビ局の停波にまで言及したアベ政権の異常さを振り返りながら、前半で前川さんにじっくりお話を伺います》、《また後半では、「首相を代える、知事を代える」と題してお話を伺います。今年は東京都知事選挙、また自民党総裁選挙もあります。さらには衆議院解散もありそうです。この国を主権者の元に取り戻すために、市民はそれぞれどのような意識で臨んだらよいのでしょうか?立憲野党と地方も含めた市民の共闘で国政を変えていけるのか?永田町と霞が関の深部にもたいへんお詳しい前川さんに伺って参ります。今回も聴き応えたっぷりの60分、最後までごゆっくりお付き合いください》。

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/317827

「政権に擦り寄る」テレ朝HDにモノ申す 株主提案を目指す前川喜平さんたちが案じる日本メディアの行く末
2024年3月29日 10時00分

 田中優子・法政大学前総長(72)らが共同代表を務める市民グループ「テレビ輝け!市民ネットワーク」が、テレビ朝日ホールディングス(HD)の株主総会で「もの言う株主」になろうとしている。すでに約50人の賛同者と共にテレビ朝日の株3万株を保有した。「会社の憲法」とも呼ばれる定款に、政治家などの圧力に報道が屈しないことなどを盛り込むことを求めるというが、それはなぜか。共同代表の一人、前川喜平元文部科学次官(69)に聞いた。(聞き手・望月衣塑子

     (「テレ朝は10年前のように権力を監視チェックする機関に
      戻ってほしい」と語る元文部科学次官の前川喜平さん)


◆ほかの民放各局にも広げる

 ―なぜテレ朝を選んだのか。

 テレ朝の後は民放各局にも同様の取り組みを広げるつもりだ。ただテレ朝は、特に報道で変貌ぶり、政権への擦り寄りが顕著だ。このままいくと日本のメディアがロシアや中国のようになってしまう。上場企業が株主にチェックされるのは当たり前。市民の立場で経営にものが言える環境をつくり10年前のように権力を監視し、チェックする機関に戻ってほしいとの思いから団体を立ち上げた。
 テレ朝が政権寄りになったのは2014年、初めてテレ朝生え抜きの社長となった早河洋氏が会長兼最高経営責任者(CEO)に就任し、幻冬舎の見城徹社長が放送番組審議会委員を20年、委員長を10年やっていることが大きい。元経産官僚の古賀茂明氏が「報道ステーション」で第2次安倍政権下の官邸を批判すると、当時の菅義偉官房長官の側近から幹部に批判がきて古賀氏は降板となった。

     (テレビ朝日社屋)


◆政権批判のプロデューサー異動で衝撃

 ―その後、報道ステーションに変化もあった。

 15年3月、改憲や原発問題などを積極的に取り上げ、政権の問題に斬り込んできた報道ステーションの松原文枝チーフプロデューサーが経済部長に異動、その後、新設のビジネスプロデュース局イベント戦略担当部長へさらに異動。編集局部長クラスで編集外に出されたのは、彼女が初めてで局内には衝撃が走った
 彼女の手がけた報道ステーションでの古舘伊知郎氏が出演した「特集 独ワイマール憲法の“教訓”」は、民主的とされるワイマール憲法下でなぜ、ヒトラーのような独裁政権が生まれたかを分析、緊急事態条項の問題を伝え、15年度のテレビ部門でギャラクシー賞テレビ部門で大賞を受賞した。
 松原氏は、金融庁の有識者会議で出た「老後2000万円問題」を巡っても当時の麻生太郎財務相兼金融担当相を厳しく追及。その後も菅義偉前首相と横浜港のドン藤木幸夫氏との横浜市長選での攻防を描いた「ハマのドン」をドキュメンタリー映画化した。

     (元文部科学次官の前川喜平さん)


◆株主として「忖度せず圧力に屈せず」求める

 だが現在、テレ朝は、政権と経営陣との関係が近いだけでなく政治家を中心とした外部の圧力に屈してしまっている


 ―具体的に何を提案していくのか。

 私たちは(1)公平公正な報道を行うという放送法の理念や精神と同じく、テレ朝が報道において、外部権力に対する忖度(そんたく)や迎合をしないこと(2)報道へのあからさまな圧力があった場合は第三者委員会にかけて調査すること(3)放送番組審議会の委員と委員長の任期に上限を設けること(4)市民の視点を取り入れるよう、私ないし他の市民を社外取締役に就任させる―の四つを求めることを検討中だ。株主提案が行われると、経営陣はそれに答える必要がある。


 ―特定の人が放送番組審議会委員に長く関わっている問題点は。

 テレ朝は、審議会委員長の見城氏の影響力が強すぎる。番組「ワイド!スクランブル」では、見城氏が代表を務める幻冬舎が出版する本を特集で30分放送するなど、利益相反とも見られる状況が起きた。これまでも、見城氏の問題を株主として指摘する人はいた。


◆番組審議委員長の影響力が強すぎる

     (記者会見で話す前川喜平さん(中央)と
      田中優子さん(右)
      =東京都千代田区の日本外国特派員協会で)

 テレ朝が40%の株を保有するアベマTVは、テレ朝施設で収録や放送を行うが、一時期、見城氏がパーソナリティーを務めた「徹の部屋」もあった。この番組では17年、安倍晋三元首相が絡むモリカケ問題が噴出した際の「国難突破」解散による衆議院選の公示2日前に「徹の部屋」に安倍氏をゲストに呼んだ。テレ朝元政治部長の末延吉正氏やジャーナリストの有本香氏と共に、安倍氏を礼賛するような番組が放映された。
 そういう人がテレ朝の放送番組審議会の委員長を10年やっているのは、それ自体がテレ朝の政治的公平を害する。それ故に審議委員や委員長の在任期間に上限をつくるよう求めたい。
 6月の株主総会で提案を出す予定だが、他の株主にも賛同してほしい。テレ朝大株主の朝日新聞がどういう立場を取るかも重要だ。今後、朝日新聞にも働きかけるかを検討する。


【関連記事】「ウィシュマさんの悲劇、忘れない」 収容死3年に合わせ学生団体が法務省前で抗議 真相究明を求める
【関連記事】俳優の睡蓮みどりさん、映画監督の性加害を告発 批判浴び、PTSDの治療
=====================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●醜悪な、《なぜ安倍首相に心酔する》ファナティックな女性記者(広報屋)や政治屋が…? 一方、〝忖度〟しない者には…

2019年08月22日 00時00分34秒 | Weblog

『「安倍晋三」大研究』望月衣塑子&特別取材班著)…《「なぜ安倍さんは〈噓〉をつくのか」という…疑問…》↑]



室井佑月さんによる、リテラの連載対談「アベを倒したい!」シリーズ、第14回。
【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第14回ゲスト 望月衣塑子(前編)/室井佑月と東京新聞・望月衣塑子、闘う2人の女が語った安倍政権の圧力、ネトウヨの攻撃、忖度メディア】(https://lite-ra.com/2019/08/post-4889.html)。
【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第14回ゲスト 望月衣塑子(後編)/室井佑月も恐怖 望月衣塑子記者が語った菅官房長官の裏の顔! 圧力を批判されても「俺はあいつが嫌いなんだ」】(https://lite-ra.com/2019/08/post-4890.html)。

 《今回のゲストは、安倍政権に飼いならされた新聞・テレビのなかで、孤軍奮闘を続ける東京新聞・望月衣塑子記者。…官邸から信じがたい圧力や嫌がらせが加えられ、ネトウヨたちも連日、口汚い言葉でバッシングを繰り広げている。…彼女の著書を原案とした映画『新聞記者』も公開され、異例の大ヒットに》。
 《菅官房長官の嫌がらせやメディア支配のやり口、オフレコ懇談会のシステム、マスコミのなかにもある男女差別の問題、そして忖度が生まれる構造の分析まで……。いまのメディアでジャーナリズムの責務を真っ当に果たそうとしている女性がどんな状況に置かれているのか…》。

 リテラの連載対談「アベを倒したい!」シリーズに、望月衣塑子さんが登場。

   『●「平成の治安維持法」で、室井佑月さんや
     斎藤貴男さん「なんて、最初から一般人扱いされないだろうしな」
   『●今が「辞任」させる秋であり…市民に「忖度」する
      政治家や政党はどちらか?、いま、理解するべき
    「連載対談記事の後編【室井佑月連載対談「アベを倒したい!」 
     第4回ゲスト 山本太郎(後編)/室井佑月が「太郎ちゃん、
     安倍さんを倒して」と陳情! 山本太郎が本気で語った安倍政治を
     乗り越える政策論とは?】」

   『●立憲主義も理解できず…「行政の長である総理大臣が
      具体的な改憲日程を口にするのは完全に憲法違反」
    「「裸の王様」の天敵・小池晃さんとの対談【室井佑月の連載対談
     「アベを倒したい!」第5回ゲスト 小池晃(前編)/安倍首相は
     どういうときにキレるのか? 室井佑月と共産党・小池晃が安倍の
     デタラメ国会答弁を徹底分析】」

   『●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
       《病的な嘘つき》アベ様…前川喜平氏の人間性と彼我の差

   『●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
      《病的な嘘つき》アベ様…全てのアベ様の「政」のデタラメさ
    《室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第7回ゲスト 前川喜平

   『●松尾貴史さん×室井佑月さん対談、「安倍首相は、
      嘘も権力の私物化も恥ずかしいとすら思っていない」
   『●室井佑月さん×金平茂紀さん対談: 《安倍政権の
     言論弾圧体質によって、どんどん悪化している報道の萎縮》①
   『●室井佑月さん×金平茂紀さん対談: 《安倍政権の
     言論弾圧体質によって、どんどん悪化している報道の萎縮》②

 アベ様の政で唯一〝上手く行っている〟メディアコントロールの下で…奮闘する数少ない記者。しかし、それにしても、アベ様や最低の官房長官らの《メディアコントロール》がさらに酷いことになっている。

   『●暴言連発「あなたに答える必要はありません」
     「ここは質問に答える場所ではない」「その発言だったら、指しません」
   『●現独裁政権批判な映画『新聞記者』…
     東京新聞【政権批判で? テレビ番組PRゼロ…「忖度」ニモマケズヒット!】

==================================================================================
https://lite-ra.com/2019/08/post-4889.html

室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第14回ゲスト 望月衣塑子(前編)
室井佑月と東京新聞・望月衣塑子、闘う2人の女が語った安倍政権の圧力、ネトウヨの攻撃、忖度メディア
2019.08.08 11:31

     (熱弁する望月衣塑子氏(左)と室井佑月氏(右)(編集部撮影))

 室井佑月連載対談「アベを倒したい!」、今回のゲストは、安倍政権に飼いならされた新聞・テレビのなかで、孤軍奮闘を続ける東京新聞・望月衣塑子記者。菅義偉官房長官の記者会見で厳しい質問を投げかけ続けることですっかり有名になった望月記者だが、官邸から信じがたい圧力や嫌がらせが加えられ、ネトウヨたちも連日、口汚い言葉でバッシングを繰り広げている。しかし一方で、その圧力に怯まない姿勢、権力のチェックを続ける記者魂に称賛と応援の声がどんどん大きくなり、6月には、彼女の著書を原案とした映画『新聞記者』も公開され、異例の大ヒットになっている。

 かたや、ワイドショーで空気を読まず政権批判を続けている室井佑月も『新聞記者』を観て大感動!「望月さんにエールを送りたい」と、今回の対談が実現した。

 権力と闘い続ける2人の女が、安倍政権からの圧力やネトウヨの攻撃、そしてメディアの実態を語り合い、意気投合した最強対談。まずは前編をお読みいただきたい。きっと勇気が湧いてくるはずだ。

(編集部)


●テレビも映画『新聞記者』プロモーション拒否の裏にある噂が

室井 初めまして! 早速だけど映画『新聞記者』観たよ! 森友・加計問題や、伊藤詩織さんの事件とか、安倍さんが政権を握ってからの数々の悪事がてんこ盛りになっていた。内閣情報調査室の内幕も描かれていて。すごい面白かった。

望月 ありがとうございます。公開から1カ月ほどですが、配給会社によると動員33万人で、興行通信社の週末観客動員ランキングも3週連続トップ10入りしたそうです。

室井 知り合いの映画関係者も言ってた。政権を批判した社会派作品がここまで健闘するのは異例だって。でも、テレビとかあんまり取り上げてくれなかったんでしょ。プロモーションを拒否されたってリテラでも書いてあった。公開直後には公式サイトがサーバー攻撃にあったり。やっぱり、真っ向から安倍政権批判をして、官邸から睨まれている望月さんの原作だから、テレビとか完全に腰が引けたんだろうね。

望月 今回の映画宣伝はテレビではすごく難しかったと宣伝部の人も言ってました。それに加えて、参院選前に私が選挙に出るという噂が出回って。

室井 あっ、やっぱり。私も聞いた。望月さんが選挙に出馬するんじゃないかって話。そんな噂を聞いたから最初に絶対確認しておこうと思ってたんだ。そういう話、あったの?

望月 あるわけないじゃないですか。でも、宣伝部は、テレビ局から「望月さんが選挙に出るかもしれないから、取り上げるのはちょっと……」と難色を示されたと聞きました。

室井 映画の宣伝で露出してないなって不思議に思ってたけど、そんな事情があったのか。でも、それって宣伝を断る口実でしょ。安倍政権を批判する作品だから忖度マスコミ、特にテレビは取り上げたくなかったんだね。ただ、出馬に関しては望月さんは知名度も高くて、菅さん(菅義偉官房長官)と闘う女っていうイメージだから、野党系から結構声がかかっても不思議じゃないとは思う。もし声がかかっても、いまの立場を変えずに記者としてガンガン記事を書いて、声をあげ続けて欲しい。私も誘われたことあるけど「私、不倫するのとかなんとも思ってないんで無理です」って言って断った。逆に「出馬なんてことより先生のガールフレンドのひとりにしてください」って(笑)。

望月 ……(爆笑)。


■安倍首相と会食を繰り返すマスコミ幹部の異常、菅官房長官とも

室井 でもさ、ちょっと有名になるとすぐに出馬の噂が出るのは心外だよね。私も仕事として表現者として、物を書くことを一生懸命やっているし、案外評価もされている。なのに、なぜ「議員になったらいいじゃん」とか言われなきゃいけないんだろうって。

望月 同感です。いまの立場から発信し、発言するそれが私たちの仕事ですからね。発信といえば室井さん、最近ツイッターをやり始めたんですよね。リアルタイムで安倍政権の批判もしていて、ツイート回数も多くてがんばっているなと思いながら見ています。でも私もそうですが、かなりネガティブな反応も多いでしょう

室井 すっごく多いです。最初はやり方から何から全然わからなくて「くだらないことを送ってこないで」っていちいち返事していたら、みんなに「ブロックとかミュートとかすればいいだけだ」って言われて。初心者なのでそんなことも知らなかった。それで炎上騒ぎもあって。あっ、望月さんは炎上の先輩だ!

望月 (笑)。私も一時期はあまりにひどいものはブロックしていたんですけど、そうするとまた炎上している感じになるから、いまはもう放置しています。

室井 でも、ツイッターにしても映画にしても、政治的なことがアウト、タブーになるなんて本当に恐ろしい世の中だよ。本当に怖い。そんななか、望月さん、そして東京新聞はうんとがんばってるよ。

望月 ありがとうございます。中日新聞が母体だから、社長と会長が名古屋市にいるというのにも助けられているかもしれません。安倍さんはあまり地方紙とは会食をしていないですからね。全国紙や大手マスコミは、軒並み安倍さんとの会食を繰り返していますが、こうしたトップ同士の関係は現場に必ず影響していると思います。東京新聞では、たしか長谷川幸洋さんがいた頃の2013年5月、彼が間に入って中日新聞の当時の社長が一度安倍首相と会食しているんです。でも、それ以降はしていないと思う。もし会食するような関係が続いていたら、現場としては、やりづらくなりますね

室井 そうだよね。首相とマスコミのトップがベタベタの付き合いなんて先進国では考えられないし、報道機関、ジャーナリストとしてのプライドがないんじゃないかと思っちゃう。トップがそうなら現場も萎縮する。もうマスコミはすっかり安倍さんにやられて、忖度、自粛のオンパレードだもの。

望月 今年6月に国連人権理事会でデービッド・ケイ特別報告者から日本の報道の自主性に対し危惧する報告書がまた出ました。そのなかには「日本政府当局者が彼らに批判的な質問をする記者に圧力を加えている」という文言もあって。

室井 それって望月さんのことだよね。デービットさんは2017年5月にも安倍政権による報道圧力とメディアの萎縮について是正を勧告していたけど、その後もメディア圧力は是正されないどころか、どんどんひどくなっているからね。

望月 政権幹部とマスコミ幹部との会食がこれほど繰り返されるという状況は異常です。それだけでなく「桜を見る会」には芸能人をどんどん呼んで、メディア幹部だけでなく情報番組司会者、コメンテーターなど影響力のある人たちにも手を伸ばしはじめています。安倍政権になってからメディアの取り込みが露骨になっています。ただ、こうした会食への批判が大きくなったことも影響してか、一部テレビ局のトップが安倍首相との会食は断っていると聞きました。でも、その代わり菅官房長官と会食をしているそうです(苦笑)。何を話しているのかと言えば、民放連(日本民間放送連盟)の人事の話とか。菅氏は他のメディア幹部と会ったときも、官僚の人事話をしていたと聞きます。“官僚や政治家、メディア含め、俺があらゆる人間の人事を握っている”ということを内外に示すことが、自分の権力の源泉になるという意識があるのでしょう。

室井 菅さんなら新聞の動静に出ないものね。


■ギャラクシー賞を受賞した『報ステ』元CPを報道から追放したテレビ朝日

室井 望月さんの菅さんとのやりとり見ていてもそうだし、望月さんの著書『新聞記者』(角川新書)を読んでも、映画を観てもそうだけど、望月さんって新聞記者であることへのプロ意識がすごく高いんだなと思いました。男の人って、“記者”としてではなく、会社の“役職”がつくことにこだわりがちだけど、望月さんはそうじゃない。私はジャーナリストでも新聞記者でもないから、そんなプロの記事を読んで「私はこの記事を読んでこう思った」ということを、賛否両論になってもいいから広げる。それが役目なのかなと思ってます。

望月 室井さん、新聞から雑誌から書籍まで、ものすごい量を読んでますものね。テレビでの発言や週刊誌コラムなどを拝読していますが、相当読み込んでやってるなって。

室井 私、オタクだから(笑)。

望月 熱量のすごさを感じます。特にテレビは権力批判もできなくなり、危ないと思っているけど、室井さんやジャーナリストの青木理さんが発言しているのを見ると、「でもまだ希望があるな」と思います。ただ、最近でもすごくひどい人事がテレビ朝日であった。それがジャーナリズムの要として『報道ステーション』のチーフ・プロデューサーなどをやっていた松原文枝前経済部長が、報道局から総合ビジネス局のイベント事業戦略担当部長に異動したことです。彼女は現役の記者のなかでも、ずっとブレずに仕事を続けて。それで安倍政権になってから嫌がらせが続いても「それでもやらなきゃいけない」と発信し続けてきた。昨年4月の財務省・福田淳一事務次官(当時)のテレビ朝日社員へのセクハラ問題のとき、告発した社員の上司でもありました。それを逆手に取られ、「飛ばされるのではないか」という空気がありましたが、当時は伊藤詩織さんの#MeTooの流れがあって、この問題を『報ステ』でも小川彩佳アナ(当時)が取り上げ、反響を呼んでいました。女性記者たちが集まってできた団体「メディアで働く女性ネットワーク」(WiMN)でも、「声をあげた人たちを守ろう」と掲げていたんです。そうしたまっとうな方だったからこそ、相当前から政権に目をつけられていた。しかもいま、テレ朝は早河洋会長の体制下で、安倍首相や菅さんの応援団を自認する、幻冬舎社長の見城徹さんが放送番組審議会の委員長に入っている。(松原さんが)番組を外れる可能性は高いんじゃないかと危惧していたのですが、現実になってしまって。

室井 彼女は古賀茂明さんが『報ステ』を降板させられたときも、最後までかばった人でもあるよね。

望月 そうです。予兆もありました。2016年6月、『報ステ』で松原さんが経済部長時代に手がけた特集「独ワイマール憲法の“教訓”」がギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞した。「ドイツの民主的なワイマール憲法下でなぜ独裁者ヒットラーが生まれたか」という日本の憲法改正の動きとの比較で深く考察されたものでした。そんな栄誉ある賞なのに、政権に批判的に取れる内容なのでテレ朝内では喜ぶどころか“なかったこと”のようだったと聞きます。しかも「贈賞式に出るな」「コメントするな」って松原さんに対して圧力もあったらしくて。異動との関連ははっきりしませんが、松原さんは、憲法改正の国民投票でのテレビのCM規制についての民放連の動きも問題視していました。これまで民放連は「CM規制をかけることも含めた議論をすべきだ」としていたのに、民放連会長や専務理事が日テレに変わった途端、「表現の自由がある」として、「CM規制をかけない」と一変させた。松原さんはそれに対し、過去の国会の議事録などを調べ上げて分析、民放連の会見でも追及していたと聞きます。誰も聞かないから聞きに行かなければという意識だったそうです。政治部デスクにことわって聞きに行っていたそうですが、これをテレ朝の幹部が、問題視していたと聞きました。


■権力の肩を持ち、望月記者の足を引っ張る記者クラブに、室井が激怒

室井 憲法改正をしたい安倍さんへの忖度と金儲けってやつか。テレ朝は小川アナを追い出したり、逆にネトウヨアナの小松靖を『ワイド!スクランブル』に起用したり。テレビも安倍さんへの忖度と、広告収入や視聴率が下がっていくなかで、どんどん変な方向へ行っている気がする。そんななかで、望月さんにして松原さんにしても、権力と対峙してる。官邸に立ち向かっている。誇りを持って仕事してるんだなってわかる。でも、いろいろ大変なんでしょ。菅さんにガンガン質問してる姿は私たちからしたら拍手喝采だけど、記者クラブで足を引っ張られてるって聞いてる。質問する望月さんの悪口言う記者までいるっていうじゃない。昨年も、辺野古の赤土について質問したら菅さんが逆上して、望月さんの質問を制限しようとしたんでしょ。しかも、そんなひどいことに対して、一部の記者が「望月さんが質問をすればするほどクラブの知る権利が阻害される」なんていうコメントを共同通信にしてさ。その上、菅さんの主張はフェイクだったじゃない。

望月 そうなんです。日本新聞労働組合連合(新聞労連)や日本ジャーナリスト会議から抗議声明も出て、東京新聞でも社説や特集記事を掲載し、官邸前でのデモなどもあったのですが、でも記者クラブに関しては室井さんの言う通りかもしれません。実際、ある大手紙記者が「なんだよあいつ、いつまで来させるんだよ」と私についてあからさまに批判していたとも聞きました。それと最近、新聞労連の新聞研究部が、ここ2年以内で官邸にいた記者を対象に官邸会見について匿名アンケートをとり、幹事業務を担う19社、33人が回答を寄せたようですが、そのなかに私の批判もあった(笑)。「パフォーマンス」「自己アピールだ」だとか「質問が長い」とか。同時に、なかには「内部で官邸と繫がっている社がある限り、記者クラブとして身動きが取れない。苦しい」というような生々しい声もありました。彼らはわかっているけど、ジレンマに陥っている。

室井 どこかの独裁国家のメディアとほとんど変わんないね。現場の人から実態を聞くと、どんどん怖くなってくる。

後編に続く

……
==================================================================================

==================================================================================
https://lite-ra.com/2019/08/post-4890.html

室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第14回ゲスト 望月衣塑子(後編)
室井佑月も恐怖 望月衣塑子記者が語った菅官房長官の裏の顔! 圧力を批判されても「俺はあいつが嫌いなんだ」
2019.08.09 11:42

     (2人が語る”民主主義を守る覚悟”とは(左・望月氏 右・室井氏 撮影・編集部))

 室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」、今回のゲストは、菅義偉官房長官の会見で孤軍奮闘を続ける東京新聞・望月衣塑子記者。前編では、そのも望月記者から、メディアや記者クラブの予想以上の政権忖度の実態を聞いて、激怒した室井だったが、後半はさらに踏み込み、話はどんどん具体的になっていく。

 菅官房長官の嫌がらせやメディア支配のやり口、オフレコ懇談会のシステム、マスコミのなかにもある男女差別の問題、そして忖度が生まれる構造の分析まで……。いまのメディアでジャーナリズムの責務を真っ当に果たそうとしている女性がどんな状況に置かれているのか、最後まで読んで、その現実をぜひリアルに知ってほしい。(編集部)


前編はこちら

●望月衣塑子が菅官房長官の会見に出て、質問を続けている理由

室井
 望月さんの話を聞いてると、つくづく恐ろしくなるけど、でもそんな状況なのに記者クラブの人って、質問をしないでパソコンに向かってひたすらカタカタやっているんでしょ。質問しないのって記者としての誇り、能力がないじゃない。記者は質問して、納得できるまで食い下がるのが仕事でしょ。質問しないで菅さんの話を垂れ流すだけだったら子どもにでもできる。しかも同業なわけじゃん? 誇りがあるなら味方しろ! 記者クラブって本来、国民の知る権利を代弁する制度だし、もし同業他社でも権力から知る権利を奪われそうになったら、タッグ組んで「妨害はやめろ」「きちんと質問に答えろ」ってやるのが役目なんじゃないの? でも、日本はそうじゃない。逆にバッシングをするって本当におかしい。しかも、権力の批判や監視をするのが新聞やジャーナリズムの役割なんだから、権力者とお友だちになってどうする! 緊張関係が必要なのに、そうじゃない。いまの記者クラブはスクープがあったとき、1社に抜かれるのが怖いからというだけのために存在してるのかと思っちゃう。それに菅さんって、記者やテレビコメンテーター、芸能人なんかと、けっこう頻繁にご飯食べてるらしいし、人たらしなんでしょ。そんな菅さんに記者はひれ伏している。安倍政権がこんな長く続いているのも、逆に言えばそのキーパーソンは菅さんってことじゃないかと思うんです。

望月 そうですね。政権存続のため、裏で彼がメディアや官僚、政治家、企業の人たちと何をやっているのかを見ることは大切なことだと思います。一連の公文書改ざん問題や森友加計問題の発言のひとつひとつを見ていると、その背後に必ず菅さんの存在がある。今回の私に対する質問妨害もそう。最初は、内閣府の長谷川榮一氏(総理補佐官兼内閣広報官)から抗議文が来たけど、もちろん菅さんなんですよね。しかも、妨害行為が国会で問題視されて、周囲から「さすがにやめたほうがいい」と言っても、菅さんは「俺はあいつが嫌いなんだ!」って全然聞く耳を持たなかったと聞いています。そういう意味で、良くも悪くも裸の王様というか、自分の思ったことは何がなんでもやる。そうした菅さんら官邸の姿勢が公文書改ざんの問題の根底にある。その危うさを感じるからこそ、会見に出て質問しているのですが。

室井 さすが“影の総理大臣”と言われるだけある。でも、裏を返せば、そんな権力の中枢に望月さんは恐れられているってことでしょ。

望月 まあ、目障りなんでしょう(笑)。それまで菅さんは突っ込んだ質問をさせない土壌をつくり、記者もそれなりに従っているふうを装ってきた。そこに私が来て。


■菅官房長官がオフ懇の前に行う“儀式”を聞いて室井が「ひゃぁー怖っ」

望月 菅さんの会見では事前通告が現在、慣例化しているとも聞きます。匿名のアンケートにも「事前通告せずに質問したら官邸側から怒られた」とありました。菅さん側から「事前に質問は全部投げてほしい」と言われると、現在のパワーバランスのなかでは、記者もそれに従わざるを得ないのでしょう。先進国や外国人特派員協会のなかではあり得ない状況です。さらに会見が終わると、裏で番記者とオフレコ懇をやります。

室井 公の会見では記者は質問しない、菅さんは言いたいことだけ言う。なのにその裏でオフ懇をするってどういう了見なの。望月さんが菅会見に出るようになってから、オフ懇を拒否するようなこともあったんでしょ? やっても望月さんの悪口を吹き込むって聞いたことある。他の記者に望月さんを批判して、“おまえらどうにかしろ!”って。なんて姑息なんだ。自分たちに都合の悪い質問をする望月さんを排除するって。でも、それが安倍政権の本質でもあると思う。

望月 政府見解が必要なところは、それなりに毎回、記者は聞いています。でも、官邸がクラブに貼り出した私についての抗議文について質問した記者にある官邸の記者が、こう言ったそうです。「これは、国民の知る権利を守るのか、それとも我々記者クラブの知る権利を守るのか、この闘いだ。バランスもっと考えてね」って。

室井 それって菅さんからの“伝言警告”ってことでしょ。番記者はジャーナリストじゃなくて伝書鳩だったのか!

望月 オフ懇に関しては、新聞労連の新聞研究部がここ2年以内で官邸にいた記者を対象におこなった匿名アンケートでこんな指摘もありました。菅さんへのオフ懇や夜回りに来る記者が携帯電話やICレコーダーを事前に回収袋に入れると。これはオフ懇の内容が週刊誌で報じられたことがあって、菅さんが激怒したため、その予防策として、つまり記者が菅さんに忠誠を誓う“儀式”として行われていたということのようです。その後、雑誌やネットでこの事が公にされてから、その儀式は止めたようですが。

室井 ひゃぁー怖っ。菅さんも怖いけど、それに忠誠を誓う記者も恐ろしい。

望月 会見では質問以外にもいろいろなことがわかるんです。たとえば私の質問中、菅さんがある記者によく目配せしてるんです。その記者は野党時代から菅番をやっていて、安心できるから彼に毎度、相槌を求めているのでしょう。菅さんの会見での精神安定剤なんだなと。彼がいないと気持ちが安心できないのか、目が泳いでいるように見えます。そんな一面も垣間見れる。テレビ朝日の松原(文枝・前経済部長)さんに関しても(編集部註:詳しくは前編参照)『報ステ』で安倍政権批判をしていた時代、菅さんは「あいつ(松原さん)と食事できないかな」って周りに聞いていたらしい。でも、彼女の性格を知っている周りから、「食事しても変わらないですよ」と言われて止めたとか。そうやってまめな会食を重ね、常に現場の記者やメディア幹部を取り込んで来たのでしょう。親しくなり、自分を好いてくれれば、今後の報道も含めて、将来、心強いですからね。


■望月衣塑子や室井佑月に向けられる批判の裏に「女のくせに」という差別

室井 でも、話を聞いていて思ったのが、菅さんや同業の記者が望月さんを批判するのは、女性だからという面もあるんじゃない? やっぱ男社会だし、出る杭は打たれる国だから、女性で目立つと嫉妬やバッシングが起きやすいと思う。Twitterで、私や望月さんを攻撃している人がいっぱいいて、ちょっと興味があるから調べたら、他にもすごく女の人を狙って罵詈雑言を繰り返している人だったりする。「ババアが」とかね。仕事をしていると、「女が意見を言うな」って感じの悪口もすごく多いし、そういうのってすごく感じる。女性差別もあるんじゃないかって主張すると、今度は「おまえ、自分が女だと思ってたのか」なんてことまで言われたことも。望月さんを叩いている人たちって、「女のくせに」って意識があるのは否めなくない?

望月 そうですね。それは私だけではなく政治家にも当てはまるかもしれません。稲田朋美さん、辻元清美さん、そして蓮舫さんなんかもそうだけど、与野党や政治的信念に関係なく、女性の政治家へのバッシングは男性の政治家のそれとは明らかに違う。セクシュアリティへの言及、ツッコミをしますよね。マスコミでもやはり男尊女卑の風潮も感じます。女性記者は、政治家の会見に出ている記者がそもそも少ないし、あまり積極的に質問しているように見えない。とくに#MeToo、#WeToo運動があったとき、女性記者がもっともっと政府や麻生太郎財務大臣に突っ込んで聞いてもいいと思いました。がんばって聞いている女性記者もいましたが、全体としておとなしく見えました。アメリカだったら、麻生大臣は総攻撃にあうし、「はめられたんじゃないのか」と同じ発言をしていたら辞任に追い込まれていたのではとも思います。

室井 たとえば片山さつきさんを批判するとき、主張について意見を言うのは当然だけど、そこに「ブサイクが」とか「変な髪型しやがって」とかって言うのはおかしいよね。でも悲しいかな、権力を持っている男にひれ伏し出世しようとする女性がいることも確かなんだけどね。「恥知らず!」なんて恐ろしい言葉で安倍さんを擁護する三原じゅん子さんとか、大臣就任の挨拶で「私はみなさんの妹」ですと自己紹介しちゃう丸川珠代さんとかもいる。難しいね。女性は団結しないといけないと思うんだけど。


■三原じゅん子、NHK岩田明子はなぜ安倍首相に心酔するのか

室井 三原さんはすっかり安倍さんに洗脳されているけど、昔からずるい人じゃないのよ。タレントのときから。だってハッピハッピー(元アニマル梯団のコアラ)と離婚したとき、番組で一緒になって。わたしが「こんな男いいじゃん、いらないじゃん」って言ったら、すぐに泣いちゃって。だからいますごく信じているのが安倍さんってことなんじゃないかな。純粋だから。でもそれが一番怖いと思っちゃう。信じ込んじゃうことが。

望月 三原さんは、かつては石破茂議員支持だったと聞きますが、彼女も菅さんとの会食後、安倍さんに寝返ったとか。「菅氏に副大臣とか政務官のポストをぶら下げられたのではないか」と聞きました。NHKの岩田明子記者は、安倍さんに心底心酔しているとも聞きます。そうでもないと、あそこまであからさまに安倍さんを持ち上げられないかなとは思いますが。

室井 安倍さんがイランを訪問したときも、安倍さんの成果を盛んに強調していたけど、なんだかクラクラしたけど、最近は逆の意味で岩田解説が楽しみになって(笑)。でも岩田さんって、安倍さんと近しい関係ということでNHK内ですごい力を持っちゃって。こういうやり方見てると、やはり女性同士ってだけで団結って難しいのかなって思っちゃう。


■室井佑月が望月衣塑子の民主主義を守る覚悟に感動、共闘を宣言!

室井 もっと女同士が味方すればいいのに、なかなかそうはならない。新聞社とかテレビ局って大企業でもあるけど、男女差別はあるし、女性はそれを絶対、感じてたりするのに。そんななかで望月さんが問題意識を持ち続けられるのはなぜ? 原動力ってどんなこと?

望月 たとえば社会部の私が菅さんの会見に出ても、政治部から文句を言われることはないです。彼らには、菅さんの秘書官や他社の記者からはいろいろ言われて、迷惑をかけているはずなのに、本当に有り難いなと思っています。それに、会社にFAXや電話の投書で応援メッセージが来るんです。いまの政権はおかしいと思っている人たち、安倍さんのやり方に怒ったり疑問に思っている人がたくさんいる。そういう声を知れば、記者として疑問に思ったことを会見に出て質問するしかない。国民の知る権利に応えなくちゃならないと思うんです。そして社としてもバックアップしてくれる土壌がある。アベノミクスも公文書改ざんも、沖縄の問題も、いまの日本はおかしなことばかりです。そんななか、私たちメディアが声をあげ、報道ができなくなったら、情報がシャットアウトされて伝わらなくなる。そうなったときに何が起こるのか。民主主義は明らかに後退していく。そんな危機感があります。そして、東京新聞の読者の方々もその問題意識を共有してくれている。だから続けられるのかな。

室井 でも、本当は望月さんの言っていることって、そういう記者の当然の問題意識を安倍政権によって崩壊させられた。その罪は重いと思う。

望月 官邸クラブにいる記者はじめ、他のさまざまな現場にいる記者でも苦しんでいる人は多いと思います。そのなかでもそれぞれが、皆できる範囲のなかでがんばっている。権力に向かってものを言おうと、立ち上がろうとしてる人たちもいる。そんな同じ思いでやっている人がいて、読者が支えてくれる。それが原動力かな。

室井 立派だと思う。これからも応援する。すぐにバッシングされる同士、女性同士、今後も仲良く闘おうね!

(了)

前編はこちら

プロフィール
望月衣塑子 1975年生まれ、中日新聞入社後、東京本社に配属され千葉、埼玉など各県警担当、東京地検特捜部担当を歴任。2017年に森友学園、加計学園の取材チームに参加し、菅官房長官会見に出席、また前川喜平文部科学省前事務次官や女性ジャーナリスト伊藤詩織へのインタビューなどを手がける。『武器輸出と日本企業』『新聞記者』『権力と新聞の大問題』など著者多数。

室井佑月 作家、1970年生まれ。レースクイーン、銀座クラブホステスなどを経て1997年作家デビュー、その後テレビコメンテーターとしても活躍。「週刊朝日」「日刊ケンダイ」「女性自身」など連載コラムも多数持つ。また『ひるおび!』『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS)、『大竹まこと ゴールデンラジオ』(文化放送 金曜日)などに出演中。
================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●《推定ウン千万〜1億円弱も払って出した》「ト」な広告…出稿側も「ト」なら、掲載側も「報道」の放棄

2017年09月22日 00時00分57秒 | Weblog


リテラの記事【失笑! 安倍応援団「視聴者の会」が加計報道で“加戸氏の発言を放送しないのは放送法違反”のトンデモ意見広告】(http://lite-ra.com/2017/08/post-3408.html)。

 《うわ、また出たよ……。22日付の読売新聞産経新聞朝刊を見て、こんなセリフが思わず口をついて出た。例の報道圧力団体「放送法遵守を求める視聴者の会」(以下、視聴者の会)がまたぞろ“意見広告”を掲載していたのだ…同会の中心人物たちが安倍晋三応援団だらけであることや、賛同人の多数を日本最大の右派団体日本会議の関係者が占めていることなどを報じてきた…またまた読売と産経に推定ウン千万〜1億円弱も払って出した一面カラー広告…「視聴者の会」代表になった百田尚樹が「テレビの24時間停波を主張》。

 『下足番』新聞アベ様広報新聞に「ト」な集団の「ト」な広告が再び。両新聞に関連する…NNN、NTV、YTVやフジは自分の首を絞めることにつながらないか? トンデモ中の最も「ト」な、《「視聴者の会」代表になった百田尚樹が「テレビの24時間停波を主張》って、《悪意ある意図をもって捏造報道》という濡れ衣でテレ朝やTBSが《一定期間放送を認めない》状況にさせられても、読売系や産経系の(報道者と呼べる方はとても少ない)アベ様広報官らは、それに賛成するのね?
 《推定ウン千万〜1億円弱も払って出した》「ト」な広告…出稿する方も「ト」なら、掲載する方も「報道」機関の役割を放棄している。

   『●岸井成格氏を支持する: 「TBSは今日、
      再び、死んだに等しいと思います」なんてことが起こらぬために
    《「NEWS23」岸井氏を名指し攻撃…異様な“意見広告”の真の狙い…
     産経新聞と15日付の読売新聞に掲載された全面意見広告
     国紙の紙面を買い取って広告を出したのは「放送法遵守を求める
     視聴者の会」。呼びかけ人には作曲家のすぎやまこういち氏、
     上智大名誉教授の渡部昇一氏ら“安倍応援団”の面々が並んでいた》

   『●「TBSは今日、再び、死んだに等しいと思います」
       なんて方向に進んでいないか? 報道は見て見ぬふり?
    《このまま岸井氏が降板すれば、TBSは完全に“死んだ”ことになる
     こんなムチャクチャな団体にビビって、岸井氏を降板させれば、
     TBSは報道機関としてオシマイだ》

   『●スガ殿が「粛々」とジャーナリズムを破壊していく
             ~「安倍政権の圧力、狡猾なやり口」~
    《古賀茂明氏…は「いやー、ここまでやるかなという感じです」と
     驚嘆し、このように述べている。「賛同人の名前を見れば、
     安倍政権の応援団がしてることです。安倍政権が本気で
     このまま突き進めば放送については完全に
     国家統制の時代に入りますね」》

   『●いま、「陰謀論丸出し」でアベ様の取り巻きが
        攻撃を開始: 吉永小百合さんを断固支持する
    《安倍首相お抱え、NEWS 23岸井攻撃の仕掛け人が今度は
     吉永小百合を標的に!「共産党の広告塔」と陰謀論丸出し…
     読売新聞全国版朝刊に、またしても
     「放送法遵守を求める視聴者の会」(以下、視聴者の会)が
     一面広告を出稿した。既報の通り、安倍応援団を母体とする
     この団体は、昨年11月14・15日にも産経と読売に一面広告を出稿、
     TBS『NEWS23』アンカーの岸井成格氏の発言をやり玉に上げ、
     番組降板の大きなきっかけになった》

   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
       政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」
    《任意団体「放送法遵守を求める視聴者の会」(以下、視聴者の会)が、
     読売新聞と産経新聞に1ページ全面の意見広告を掲載。そこでは、
     岸井氏を名指しで「放送法第4条の規定に対する重大な違反行為」
     と批判した。…視聴者の会が安倍首相を応援する論客を中心に
     構成されていることも、臆測を呼んだ》

   『●ギャラクシー賞受賞: 「報道への圧力が高まる
        テレビ界の危機的状況に対し、警鐘を鳴らす…」
    《そもそも、この「独ワイマール憲法の“教訓”」は、
     例の極右団体「放送法遵守を求める視聴者の会」が…。
     このような団体が激怒するという点その報道の正当性が
     浮き彫りになるかのようだが…》

==================================================================================
http://lite-ra.com/2017/08/post-3408.html

失笑! 安倍応援団「視聴者の会」が加計報道で加戸氏の発言を放送しないのは放送法違反のトンデモ意見広告
2017.08.24

     (22日付の新聞に出された広告(奥が産経新聞で手前が読売新聞))

 うわ、また出たよ……。22日付の読売新聞と産経新聞朝刊を見て、こんなセリフが思わず口をついて出た。例の報道圧力団体「放送法遵守を求める視聴者の会」(以下、視聴者の会)がまたぞろ“意見広告”を掲載していたのだ。
 本サイトではおなじみだが、「視聴者の会」といえば、一昨年、安保法制を番組内で批判したTBS『NEWS23』アンカー・岸井成格氏を放送法違反だとする新聞意見広告を打ち、結果、岸井氏を降板へと追いやった民間団体。本サイトは「視聴者の会」の結成当初からその動向を追い続け、同会の中心人物たちが安倍晋三応援団だらけであることや、賛同人の多数を日本最大の右派団体「日本会議」の関係者が占めていることなどを報じてきた。
 そんな「視聴者の会」が今回、またまた読売と産経に推定ウン千万〜1億円弱も払って出した一面カラー広告。性懲りもなく、見出しには〈異常に歪んだテレビ報道 視聴者の知る権利が奪われ続けています〉(読売版)、〈テレビにはしっかり事実を伝えて欲しい…それが、視聴者の切なる願いです〉(産経版)との文言が躍っているわけだが、今回、連中が“テレビ報道が捻じ曲げられている!放送法違反じゃないのか!”と言いがかりをつけたのは、やっぱり例の“あのこと”だった。
 そう、加計学園問題で、ネット右翼や極右文化人たちがわめき立てている「なぜ前川喜平氏ばかり取り上げて、加戸守行氏の発言を報じないのか!」なるトンデモな主張をそのままぶつけてきたのである。
 「視聴者の会」の意見広告では、「閉会中審査における驚くべき放送時間の格差」と題し、前川喜平・前文科事務次官と、加戸守行・前愛媛県知事及び原英史・国家戦略特区ワーキンググループ委員など与党側参考人の発言について、7月10日から7月11日にかけてテレビで報道された時間を比較。そのうえで、〈テレビ報道では2日間ほとんどの番組で前川喜平氏による証言を大幅に取り上げ、他の参考人がほとんど存在しないかのような報道になっていました〉と結論づけている。ちなみに、これを調査したという「日本平和学研究所」なる社団法人は、「視聴者の会」前事務局長の評論家小川榮太郎氏が仕切っている団体だ。
 この身内調査のお手盛りっぷりについては前々から指摘しているのであえて繰り返さないが、それにしても、この連中、悪い意味で予想を裏切らない。賢明な読者はよもやこんな詭弁に騙されまいが、念のため、連中の主張がいかにトンデモか、そして国民の「知る権利」を侵害しようとしているのはどっちなのか、きちんと指摘しておく必要があるだろう。


無関係な加戸氏と目撃者の前川氏の証言を同列に並べる詐術

 そもそも“前川氏と加戸氏の発言を同じ時間で報じないテレビはおかしい”という連中の前提自体、噴飯モノとしかいいようがない。
 なぜなら、前川氏と加戸氏では、加計学園問題を解明するにあたっての証言の重要性がまったくちがうからだ。当然だが、加計問題の本質は、加計学園の獣医学部新設が認められたプロセスに不正や恣意性があったかどうかを検証することにある。そして、前川氏は所轄省庁の前トップであり、加計学園の獣医学部新設をめぐる政府内でのやりとりや加計側との“交渉”について、統括的に把握している立場にあった。
 一方、与党の参考人である加戸氏は本人も「(安倍首相の)応援団の一員」だと自認していたように、前愛媛県知事として加計学園側にくっついて、政府に陳情していたにすぎない。しかも、これまで10回以上も認められてこなかった加計学園の今治獣医学部新設がトントン拍子に進んだのは第二次安倍政権以降のことだが、加戸氏が知事を務めたのは2010年まで。ようは、安倍政権での特区指定の行政プロセスに、加戸氏はまったくタッチする機会もなければ、その内実を知る立場でもない
 たとえば、何かの犯罪の証人にたとえて言うなら、前川氏は事件現場に何度も立ち会っていた犯罪の目撃者。これに対して、加戸氏は容疑者を擁護し、支援する親戚のおじさんというレベルでしかない。マスコミが親戚のおじさんより、事件の目撃者の証言を何倍もの量で報道するのは当然だろう。
 実際、国民の関心も、前川氏が新たにどんな具体的な証言をするのか、発言自体にどれだけの信憑性があるのかに向けられていた。だからこそ、テレビメディアも前川氏の一挙一投足に着目していったのである。
 それを「視聴者の会」は、国民の関心ごとを無視して、安倍VS.反安倍のイデオロギー対立であるかのように矮小化。不公平だ、偏向だとわめいているのだ。イデオロギーにかぶれて、偏向しているのはいったいどっちだ、という話だろう。


加戸氏や原氏の証言はとっくにデタラメや嘘がばれている

 しかも、唖然としたのが、「視聴者の会」が今回の新聞意見広告で、〈これらの発言を、皆さんはご存知でしたか?〉なる見出しをつけ、加戸氏らの国会での発言をあたかも「これが真実だ!」といわんばかりに紹介していたことだ。
 言っておくが、これらの発言のほとんどはとっくに反証されたり、嘘があきらかになっている。
 たとえば、意見広告には、7月10日閉会中審査で加戸氏が、鳥インフルエンザや狂牛病、口蹄疫の問題をもち出し、「(知事在任時)愛媛県で公務員獣医師、産業担当獣医師の数の少なさ、確保の困難さ、そして獣医学部の偏在等々の状況のときに、ちょうどたまたま加計学園が今治の新都市への進出という構想を持ってこられた」などと発言したことが紹介されている。
 しかし、各都道府県が公表し農林水産省がまとめている2020年度の「獣医師の確保目標」では愛媛県は0人。しかも、公務員獣医師の地域的偏りはその場所に学校を新設したからといって解決するものでないことは、さまざまな専門家から指摘されている。
 また、「視聴者の会」は同じく、国家戦略特区WGメンバーの原英史氏の発言もほとんど報道されていないとして、メディアを攻撃。この原氏が7月10日の衆院閉会中審査での「規制改革のプロセスに一点の曇りもない」という発言、そして7月24日の同審査での「加計ありきなどという指摘は全くの虚構であることは、公開されている議事録を見ていただければすぐにわかることではないかと思います」という発言を紹介している。
 しかし、その原氏が「公開している」「一点の曇りもない」と言った政府公開の議事録には、WGの会合に加計学園の幹部が同席していたにもかかわらず記載されていなかったことが判明している。原氏はやはり7月10日に「判断に至る議論の過程については公開しており、中立性、公平性についても担保している」などとも言っていたが、これは真っ赤な嘘であったことがわかっているのだ。

 「視聴者の会」が取り上げろ、とがなり立てている人物たちの発言はこれ以外も、たんに安倍首相や菅義偉官房長官と同じ、なんの客観的証拠も示さないまま「不正はない」と言い張るものばかり。加戸氏にいたっては、「今治地域の夢と希望」などと、自分たちがなんとしても獣医学部新設をしたかったという身勝手な理屈を主張しただけだった。


視聴者の会が意見広告でネグった加戸氏の内閣府の忖度を認める発言

 また、「視聴者の会」はネグっているが、加戸氏はまったく逆に、この閉会中審査で口を滑らし、不正や忖度があったことをほのめかす発言までしている。

   「小泉内閣時代からありました構造改革特区に申請して、
    表門から行けないなら、せめて搦手門(=裏門)でも入れてもらおう
    という努力を重ねました」
   「愛媛県と今治市にとって、黒い猫でも白い猫でも、獣医学部を
    つくっていただく猫が一番いい猫でありまして」
   「有識者会議の判断と、内閣府のあるいは虎の威を借りるような狐
    発言を用いてでも強行突破していただいたことは、私は大変よろこんで
    今日にいたっています」

 これらの発言からは、加戸氏が獣医学部新設が実現すれば、プロセスの公正さなんて関係ないという姿勢であったことがよくわかる。おまけに狐=内閣府虎=安倍首相の威を借りて、獣医学部設置を突破したというようなセリフ。これは加戸氏が今治市の獣医学部特区選定が安倍政権の恣意的な決定だったことを認めたようなものだろう。
 「視聴者の会」は“加戸氏の発言を報道しろ”というなら、なぜこの発言を「意見広告」で紹介しないのか
 とにかく加戸氏にしても、原氏にしても、実際にはこんなレベルの発言しかしていないのだ。こんなものを前川氏の具体的な発言と同じように紹介しろ、と言うほうがどうかしている。
 しかも、彼らはもともと安倍政権の応援団であり、国家戦略特区の利害関係者だ。たとえば、加戸氏は、日本会議系の「美しい日本の憲法をつくる愛媛県民の会」の実行委員長を務め、安倍首相肝いりの諮問機関教育再生実行会議の有識者メンバーにも選出。『報道特集』(TBS)のインタビューでの前川氏の証言によれば、加戸氏が有識者メンバーに選ばれたのは「総理から直々にご指名があった」ためだという。
 ちなみに、この特区とはなんの関係もない「教育再生実行会議」の場でも、加戸氏は2013年10月11日に、獣医学部新設について、こんな主張を繰り広げていた。

   「三十数年間固定されておりますけれども、総理の言葉を
    借りまして、固い岩盤も愛媛県という小さいドリルであかないので、
    実行会議の大きなドリルで穴をあけていただければ

 また、原氏についても、本サイトで以前、報じたように、国家戦略特区を利用した“コンサルビジネス”に関与していた形跡もある。つまりバリバリの利害関係者なのだ。こんな人物たちの発言を、教育行政のトップでありながら内部告発をした前川氏と同じ時間を使って報道しろなどとクレームをつけるのは、無理筋にもほどがあるだろう。


「視聴者の会」代表になった百田尚樹が「テレビの24時間停波」を主張

 ようするに「視聴者の会」は、安倍応援団が政権擁護をするために、同じ安倍応援団の発言をもっと大きく報道しろとがなり立てているにすぎないのだ。
 しかし、連中がタチが悪いのは、証言の内容や証拠では大した反論ができないから放送法までもち出し、“報道時間を同じにしろ!”“国民の「知る権利」を守れ!”などと見当違いのいちゃもんをつけ、テレビ局に圧力をかけていることだ。言っておくが、放送法は、本来、放送局を取り締まる法律ではなく、むしろ政府などの公権力が放送に圧力をかけないように定めたものであって、当たり前だが、政治権力側の言い分を「公平・公正」に垂れ流せ、と命令するものではない。
 だいたい知る権利を重視するならば、批判すべきはマスコミではなく安倍政権のほうだろう。そもそも「知る権利」とは、表現の自由報道の自由と深く関連し、国家権力による情報統制に対抗するための概念だが、政権は文科省の内部文書など“加計ありき”の証拠が次々飛び出すなかにあって、「記憶にない」「怪文書」などと説明責任を放棄、省内の調査すら批判が高まるまで拒絶してきた。それこそ国民の「知る権利」を無視する暴挙であって、だからこそ一層、国民は“内部告発者”である前川氏の証言を求め、メディアも国民の「知る権利」を代行するために大きく取り上げたのである。
 いずれにせよ、今回、読売・産経に出稿した広告だけの話ではなく、「視聴者の会」がやっていることは、まさに、メディアへの報道圧力と、国民の「知る権利」に応えない安倍政権の援護であり、その別働部隊としか言いようがない反民主主義的な行為だ。
 実際、「視聴者の会」は今年になって、代表に作家の百田尚樹氏が就き、前述の小川榮太郎氏の後任として経済評論家の上念司氏が新事務局長となった。上念氏は、既報の通り、加計問題で文科省の高等教育局長専門教育課長補佐に対する個人攻撃をラジオで繰り広げた挙げ句、内閣府の職員と混同するというネトウヨによるデマを拡散した人物だ。
 また、新代表である百田センセイといえば、自民党勉強会での露骨な言論弾圧推進などで知られるが、最近もウヨク雑誌「月刊Hanada」(飛鳥新社)9月号で、例の「沖縄二紙はつぶさなあかん」に匹敵するこんなトンデモ発言をしていた。

   「悪意ある意図をもって捏造報道を行った局に対しては
    二十四時間停波するとか、該当番組に関しては一定期間放送を
    認めないなどの措置を検討してはどうか」

 連中の狙いがなんなのか、誰の目にも明らかではないか。これから「視聴者の会」が、報道の自由への意識が著しく欠けた百田・上念体制のもと、政治権力と二人三脚で報道への圧力を強めていくのは間違いないだろう。どこから巨額のカネが出ているかも怪しい新聞意見広告の詐術に騙されてはならないのはもちろんだが、今後も「視聴者の会」の動向を注意し、その報道圧力に徹底して抗う必要がある。

(編集部)
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●ギャラクシー賞受賞: 「報道への圧力が高まるテレビ界の危機的状況に対し、警鐘を鳴らす…」

2016年06月19日 00時00分51秒 | Weblog


LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の都築光太郎氏による記事【報ステ、国谷のギャラクシー賞受賞でネトウヨ=安倍応援団が「偏向報道大賞」と攻撃! その権力の犬ぶりに絶句】(http://lite-ra.com/2016/06/post-2305.html)。

 《例の極右団体「…」が、…などと攻撃していた。このような団体が激怒するという点でその報道の正当性が浮き彫りになるかのようだ…。今回の『報ステ』受賞は、報道への圧力が高まるテレビ界の危機的状況に対し、警鐘を鳴らすという意味合いも込められていた》

 アベ様の取り巻きの例の「ト」な団体がまたしても、「ト」な動き。心ある報道機関、ジャーナリスト、その他、「ト」な団体の攻撃を受けている皆さん、どうか負けないでもらいたいです。攻撃されればされるほど、その報道や言論の《正当性》が示される訳で、本ブログ主は何の力にもなりはしませんけれども、陰ながら強く支持しています。

   『●岸井成格氏を支持する: 「TBSは今日、再び、
       死んだに等しいと思います」なんてことが起こらぬために
   『●「TBSは今日、再び、死んだに等しいと思います」
      なんて方向に進んでいないか? 報道は見て見ぬふり?
   『●スガ殿が「粛々」とジャーナリズムを破壊していく
             ~「安倍政権の圧力、狡猾なやり口」~
   『●いま、「陰謀論丸出し」でアベ様の取り巻きが
        攻撃を開始: 吉永小百合さんを断固支持する
   『●東電核発電人災から5年: 「今や世界の笑い者…
       政権批判をいとわないキャスターの首を差し出した」

==================================================================================
http://lite-ra.com/2016/06/post-2305.html

報ステ、国谷のギャラクシー賞受賞でネトウヨ=安倍応援団が「偏向報道大賞」と攻撃! その権力の犬ぶりに絶句
【この記事のキーワード】ネトウヨ, 都築光太郎 2016.06.04

     (古舘プロジェクト公式サイトより)

 昨日もお伝えしたように、『報道ステーション』(テレビ朝日)のふたつの特集が、2日に発表された第53回ギャラクシー賞・テレビ部門大賞に輝いた。受賞した特集は、ジョセフ・スティグリッツ教授がインタビューに応じ、アベノミクスを批判した「ノーベル賞経済学者が見た日本」、安倍首相が憲法改正で新設を目論んでいる緊急事態条項ヒトラーが独裁のために悪用した国家緊急権の共通性を暴いた「独ワイマール憲法の“教訓”」だ。

 いずれも視聴者の知る権利を守る重要な内容で、この『報ステ』大賞受賞には「納得の受賞」「真摯な報道が認められることは良いこと」と評価する声が挙がったが、一方でネット右翼がまたしても猛反発。「“偏向報道”大賞だ」とバッシングを繰り広げている

 そもそも、この「独ワイマール憲法の“教訓”」は、例の極右団体「放送法遵守を求める視聴者の会」が、以前より「洗脳報道」「国際的なスキャンダル」「安倍総理がヒトラーなのではない、古舘伊知郎氏こそがゲッペルスではないか?!」などと攻撃していた。このような団体が激怒するという点その報道の正当性が浮き彫りになるかのようだが、今回、『報ステ』が受賞したことにくわえて、大賞に次ぐ優秀賞3本のひとつにNNNドキュメント'15 南京事件 兵士たちの遺言(日本テレビ)が選ばれたこと、さらに特別賞を『クローズアップ現代』元キャスターの国谷裕子氏が受賞したことから、ネトウヨが大挙して「左がかっている」「日本の国益を損ね貶める」「偏りは偏りを選ぶんだね」とギャラクシー賞を非難。「“ギャラクシー”ってことはサムスン=韓国が関わっている」などという事実無根の陰謀論までが飛び出す始末となっている。

 まさに「やれやれ」と言うほかないが、はたしてネトウヨは、今年の優秀賞に選ばれた人気バラエティ番組『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京)や、第51回に大賞に輝いた『あまちゃん』(NHK)といった番組も「左がかっている」とでも言うのだろうか。さすがにそれは無理がありすぎる話だ。というより、ギャラクシー賞が一貫してこうしたバラエティやドラマも報道やドキュメンタリーと同じ土俵の上で評価してきたことを考えると、じつにフラットな賞であることがわかるはずだ。

 しかも、まるでギャラクシー賞が昨日今日できたような賞だと思っている輩も多いようだが、1963年に創設された歴史ある賞であり、その独立性の高さから、放送界ではもっとも権威ある賞として有名なものだ。

 “お手盛り”ではなく、放送批評家やメディア研究者などが自主独立して放送を論じる。このように長きにわたって日本の放送批評をリードし、信頼を高めてきたギャラクシー賞が、ニュース番組として初めて『報ステ』を大賞に選んだことには大きな理由があるはずだ

 実際、2日の贈賞式では、テレビ部門委員長の丹羽美之・東京大学大学院准教授は、古舘氏や国谷氏のキャスター降板について「このまま自由にものが言えなかった時代に逆戻りしてしまうのではないか、という不安も大きくなりました」とテレビに対する視聴者の実感を語り、「私たちはものがはっきり言える、言いたいこと、言うべきことをきちんと言える、そういうテレビ番組を応援したいと思っていますし、そういう番組がつくられていくことがこの国のテレビジャーナリズム、民主主義の成熟度を図るバロメーターになるという思いで選考に当たりました」と述べた。

 つまり、今回の『報ステ』受賞は、報道への圧力が高まるテレビ界の危機的状況に対し、警鐘を鳴らすという意味合いも込められていたのだろう。逆に言えば、今回受賞した『報ステ』の特集を「偏向報道だ!」と叫ぶ者たちの声が強まれば権力への忖度を促すことになっていく。だが、真っ当なジャーナリズムは本来、「言うべきことをきちんと言える」ものであり、そうした放送こそが評価に値するという姿勢をあらためて示した今回の選考は、左とか右といった思想性云々ではなく放送・報道のあるべきかたちを問うたのだ。

 現に、受賞した番組制作者たちは、テレビの現状を物語るスピーチを行っている。今回、「徹底した現場主義と映像媒体の長所を生かした王道の調査報道」と評価を受けた『南京事件』のディレクター・清水潔氏は、「忖度の“そ”の字もないような番組をつくってみたいと思いました」と語り、さらに、官邸からの圧力によって古賀茂明氏の降板とともに番組から更迭された『報ステ』の元プロデューサー・松原文枝氏は、制作者のひとりとして壇上にあがると、放送界は窮屈になりつつあると指摘。その上で「受賞はこういう番組づくりを続ける励みになる」と喜びを語った。

 権力に忖度しない番組づくりを評価することは、放送の自由が危ぶまれるいまこそ、重要な意味をもつ。それは国谷裕子氏の言葉からも感じられるものだ。国谷氏は『報ステ』の大賞受賞を受けて、「皆、臆せずに、伝え続けようという決意が伝わる授賞式だったなと思います」と言い、「問うべきことは問う、伝えるべきことは伝えるというこれまで自分がやってきたスタンスで良かったんだなとも思いました。それをやるのが報道なんだ、それだけの機運、情熱を感じました」と述べたという。

 国谷氏も古舘氏も番組を去ってしまったことを考えると、今回の受賞は皮肉な話でもあり、権力側の“不都合”を伝えてきたキャスターの不在がいかに大きな穴となっているかを際立たせるものとなった。しかし、あらためてジャーナリズムのあるべき姿をギャラクシー賞が示したことの意味は大きい

 だが、そうした放送を歪めようと躍起のネトウヨたちが、権力に代わって賞を貶めようとバッシングを行う、それもまた日本の現状だ。だからこそ、萎縮してはいけない番組をつくる側も、批評する側もこのような民主主義を破壊しようとする声に抗していくことが、今後、ますます重要になってくるだろう。

(都築光太郎)
==================================================================================

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする