Activated Sludge ブログ ~日々読学~

資料保存用書庫の状況やその他の情報を提供します。

●東京新聞の社説《苛烈な言論統制の末にあったのは…。》、川柳作家《鶴彬(つるあきら)/獄死の末(さき)に/ある戦(いくさ)》

2020年12月22日 00時00分24秒 | Weblog

[※歴代自民党内閣は「国民のために働」いていなかった!? 縁故主義・政権の私物化もアベ様から《継承》 (日刊ゲンダイ 2020年10月14日)↑]


(2020年12月08日[火])
2020年12月8日の東京新聞の【社説/開戦の日に考える 鶴彬獄死の末にある戦】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/73025?rct=editorial)と、
コラム【筆洗/その朝の授業は鬼のあだなで畏怖された教授の英語だった。その…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/73024?rct=hissen)。

 《鶴彬(つるあきら)という川柳作家をご存じでしょうか。日本が戦争へと突き進む中、貧困と反戦を詠み、治安維持法違反で逮捕、勾留中に病死しました。苛烈な言論統制の末にあったのは…。七十九年前のきょう破滅的な戦争が始まります。…「鶴彬獄死の末(さき)ある戦(いくさ)」》。
 《▼あの日、今から考えれば、勝てるはずもない日米の開戦に国民の大半が高揚した。記憶にとどめなければならぬ戦争の過ち。それは軍や政府によるものだが、感情に任せたわれわれの側の「万歳」をそこから除く理由もまた見当たらぬ。繰り返すまい》。

 鶴彬さんの「生きた世」…《鶴彬(つるあきら)獄死の末(さき)ある戦(いくさ)》。

   『●鶴彬さんの「生きた世」…自公を支持する皆さんは
         人の親として「そんな世」を目指しているの?

 「あの時代」に、死を賭しているとしか思えない激しい反戦川柳を読んでおられる鶴彬さん。治安維持法など、鶴彬さんの「生きた世」は相当に過酷だった。いま、自公お維を支持する皆さんは人の親として「そんな世」を目指しているのでしょうか? アベ様の政が終わったかと思えば、陰険陰湿強権な違法・違憲オジサンの政に。《メディアコントロール》や日本学術会議の6人「だけ」を任命拒否した問題など、これ以上閉塞の時代となることに、耐えられない。《学問や言論、表現に対する弾圧は、戦争への道につながる、というのが歴史の教訓です》。スカスカオジサンはシレ~ッと冷酷に壊憲を進めそうで、恐ろしくて仕方ない。

   『●《キンモクセイで世間の鼻をごまかし、学問の自由、言論の自由を
         脅かしかねない「腐臭」に気付かせぬようにしている》(筆洗)
   『●西日本新聞【例えるなら、こんな話か。授業が始まるのに数人の
     子が…】…取り巻きが《デマを流してまでも、必死で政権擁護》の醜悪
   『●違法・違憲オジサン…《「裸の王様」…取り巻きの同調意見ばかり
     聞き入れ、学者の正論に耳をふさげば、宰相はそう呼ばれてしまいます》

 自公お維の国会議員やその支持者の皆さんは《繰り返すまい》と思っているだろうか。戦争の記憶の継承を嫌っているのではないか。

   『●『石原莞爾/その虚飾』読了 (2/2)
     「「手と足をもいだ丸太にしてかへし
       万歳とあげて行った手を大陸へおいてきた
       /…鶴彬は、こうした刺し貫くような反戦川柳をつくって逮捕され、
         赤痢にかかって、手錠をかけられたまま、二十九歳で病死した」」

   『●閉塞の時代に: 安倍晋三首相の危険な「思い入れの強さ」
    「東京新聞…記事【鶴彬(つるあきら)の愛好家らが運動 
     反骨の川柳作家 都内に句碑を】」

   『●「女性が輝く社会」の「女性を愚弄した発言」…
      「タマ除けを産めよ殖やせよ勲章をやろう」(鶴彬さん)
    「「タマ除けを産めよ殖やせよ勲章をやろう」(鶴彬さん)とでも
     脳内では? 与党自民党の桜田義孝前五輪相や元癒党お維の
     丸山穂高衆院議員…よくもまぁ、こんな議員に投票できるよな。
     《そもそもこうした議員を選ばないよう吟味するのは、
     有権者の責任である》…「1/4と2/4」の皆さん、このままでいい
     のですか? 《子育て支援を公約》《子育ての党》といったフザケタ
     与党自公や「子を人殺しに行かせたくて仕方ない」癒党お維を支える
     「1/4」の皆さん、選挙に行きもしないことで間接的に与党や癒党を
     支えている「2/4」の眠り猫な皆さん…」

   『●「戦争や軍国主義を批判、風刺、反体制的な句を作った
         俳人四十四人が治安維持法違反容疑で検挙され…」
   『●《戦争が廊下の奥に立つてゐた》…《そんな時代にしては
          ならない》はずが、癒党お維や与党議員ときたら
   『●与党自公や癒党お維は、戦争したくて(させたくて)、人殺しに
             行きたくて(いかせたくて)しかたないのね?


=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/73025?rct=editorial

社説
開戦の日に考える 鶴彬獄死の末にある戦
2020年12月8日 06時42分

 鶴彬(つるあきら)という川柳作家をご存じでしょうか。日本が戦争へと突き進む中、貧困と反戦を詠み、治安維持法違反で逮捕、勾留中に病死しました。苛烈な言論統制の末にあったのは…。七十九年前のきょう破滅的な戦争が始まります。

 鶴彬(本名・喜多一二(かつじ))は一九〇九(明治四十二)年一月、石川県高松町(現在のかほく市)に生まれました。尋常小学校や高等小学校在校中から地元新聞の子ども欄に投稿した短歌や俳句が掲載されるなど、才能は早くから知られていたようです。


◆貧困、社会矛盾を川柳に

 喜多の作品が初めて新聞の川柳欄に載ったのは高等小学校を卒業した翌二四年の十五歳当時、進学の夢がかなわず、伯父が営む機屋で働いていたときでした。

 <静な夜口笛の消え去る淋しさ>(二四年「北国柳壇」)

 「蛇が来る」などと忌み嫌われた夜の口笛を吹いても、何の反応もない寂しさ。少年期の感傷的な心象風景が素直に表現された作風がこのころの特徴でしょう。

 翌年には柳壇誌に作品が掲載され、川柳作家として本格デビューを果たします。その後、多くの川柳誌に作品を寄せるようになりました。このころはまだ柳名「喜多一児(かつじ)」や本名での投稿です。

 十七歳の時、不景気で伯父の機屋が倒産。大阪に出て町工場で働き始めた喜多を待ち受けていたのは厳しい社会の現実でした。喜多の目は貧困や社会の矛盾に向けられるようになります

 <聖者入る深山にありき「所有権」>(二八年「氷原」)

 このころ都市部では労働運動、農村では小作争議が頻発、政府は厳しく取り締まります。持てる者と持たざる者、富める者と貧しい者との分断と対立です。修験者が入る聖なる山にも俗世の所有権が及ぶ矛盾。そこに目を向けない宗教勢力への批判でもありました。


◆反軍、反戦を旺盛に詠む

 十九歳のとき大阪から帰郷した喜多は、生産手段をもたない労働者や貧農、市民の地位向上を目指す無産運動に身を投じ、特別高等警察(特高)に治安維持法違反容疑で検束されます。その後、故郷を離れて上京、柳名を「鶴彬」に改めたのも、特高の監視から逃れるためでもありました。

 兵役年齢に達した二十一歳の三〇年、金沢の陸軍歩兵第七連隊に入営しますが、軍隊生活が合うわけはありません。連隊内に非合法出版物を持ち込んだ「赤化事件」で軍法会議にかけられ、大阪で刑期二年の収監生活を送ります。

 刑期を終え、除隊したのは三三年、二十四歳のときです。このときすでに日本は、破滅的な戦争への道を突き進んでいました。三一年には満州事変、三二年には海軍青年将校らが犬養毅首相を射殺した五・一五事件、三三年には日本は国際連盟を脱退します。

 この年、自由主義的刑法学説をとなえていた滝川幸辰(ゆきとき)京都帝大教授に対する思想弾圧「滝川事件」が起こり、学問や言論、表現の自由への弾圧も苛烈さを増します

 しかし、鶴がひるむことはありませんでした。軍隊や戦争を批判し、社会の矛盾を鋭く突く川柳を作り続けます

 <万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た
 <手と足をもいだ丸太にしてかへし
 <胎内の動きを知るころ骨(こつ)がつき

 召集令状一枚で男たちは戦場へ赴き、わが家に生還しても、ある者は手足を失い、妻の胎内に新しいわが子の生命の胎動を知るころに遺骨となって戻る男もいる。鶴が川柳に映しだした戦争の実態です。いずれも三七年十一月「川柳人」掲載の作品です。

 特高はこうした表現を危険思想とみなし、同年十二月、治安維持法違反容疑で鶴を摘発し、東京・中野区の野方署に勾留しました。

 思想犯に対する度重なる拷問と劣悪な環境。鶴は留置中に赤痢に罹(かか)り、東京・新宿にあった豊多摩病院で三八年九月に亡くなりました。二十九歳の若さでした。

 川柳に続き、新興俳句も弾圧され、表現の自由は死に絶えます


◆戦争へと続く言論弾圧

 お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、この社説の見出し「鶴彬/獄死の末(さき)に/ある戦(いくさ)」も五七五の川柳としてみました。

 学問や言論、表現に対する弾圧は、戦争への道につながる、というのが歴史の教訓です。

 安倍前政権以降、日本学術会議会員人事への政府の介入や、政府に批判的な報道や表現への圧力が続きます。今年は戦後七十五年ですが、戦後でなく、むしろ戦前ではないかと思わせる動きです。

 戦後制定された憲法の平和主義は、国内外に多大な犠牲を強いた戦争の反省に基づくものです。戦争の惨禍を二度と繰り返さない。その決意の重みを、いつにも増して感じる開戦の日です。
=====================================================

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/73024?rct=hissen

筆洗
その朝の授業は鬼のあだなで畏怖された教授の英語だった。その…
2020年12月8日 06時40分

 その朝の授業は鬼のあだなで畏怖された教授の英語だった。その朝とは、一九四一(昭和十六)年十二月八日。日米開戦の日だという▼開戦の臨時ニュースが校内に伝えられた。教授は廊下に飛び出し、「万歳」と叫んだそうだ。当時の学生が書き残している▼作家、半藤一利さんの『十二月八日と八月十五日』にあったが、とりわけ珍しい話ではなかろう。<やみがたくたちあがりたる戦(たたかい)を利己妄慢(ぼうまん)の国国よ見よ>斎藤茂吉。長く続く米英との緊張。当時の国民はうっとうしさや閉塞(へいそく)感の中にあり、真珠湾攻撃はその暗雲を吹き飛ばすかのように受け止められた。「利己妄慢」の米英という大国に挑む痛快さもあったという。茂吉もそうだったのだろう▼十一年後の五二年に建立された、広島の原爆死没者慰霊碑。碑文は<安らかに眠って下さい/過ちは繰返しませぬから>である。その言葉を考案したのは十二月八日に「万歳」を叫んだあの教授だそうだ▼歴史の皮肉を書きたいわけではない。教授の名は当時広島大学教授の雑賀忠義さんとおっしゃる。この人も被爆している▼あの日、今から考えれば、勝てるはずもない日米の開戦に国民の大半が高揚した記憶にとどめなければならぬ戦争の過ち。それは軍や政府によるものだが、感情に任せたわれわれの側の「万歳」をそこから除く理由もまた見当たらぬ。繰り返すまい
=====================================================


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●世界に「恥」を発信: この現代において、さすがに「平成の治安維持法」を強行しようというデンデン王国だ

2017年06月06日 00時00分43秒 | Weblog

[※ 東京新聞(2017年3月8日)↑]



リテラの記事【国連報告者が安倍首相に「共謀罪は人権に有害」の警告文書!「国際組織犯罪防止条約のため」の嘘も明らかに】(http://lite-ra.com/2017/05/post-3181.html)。

 《ついに国際社会からも、日本の共謀罪法案とこれを強行する安倍政権に対する強い懸念が出され始めた。5月18日付で、国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏(マルタ大学教授)が、共謀罪法案について「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する書簡を、直接、安倍首相宛てに送付》。

 世界に「恥」を発信、「恥」をさらしている。この現代において、さすがに「平成の治安維持法」を強行しようというデンデン王国だ…国連から《プライバシーや表現の自由を不当に制約》を疑われる始末。国連は、《戦中の治安維持法》の亡霊を見た訳です。そんな「平成の治安維持法」に、自公お維支持者や「眠り猫」の皆さんは何も感じないの?

   『●「官憲が内心に踏み込んで処罰して、
     人権を著しく侵害した戦前、戦中の治安維持法」が亡霊のように…

 その国連からの「問合せ」に対する最低の官房長官の物言いや態度のあまりの酷さ、反論ともいえぬ罵声の醜さ。《全く中身がない》と言い返される始末。
 日刊ゲンダイのコラム【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」/国連特別報告者も呆れる安倍政権の傲慢さと粗末な共謀罪】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/206082)によると、《「抗議は怒りの言葉が並べられているだけで、全く中身がない」(国連のプライバシー権に関する特別報告者、ジョセフ・カナタチ氏/22日付) ほ~ら、マスコミが安倍政権のやり方――嘘をついても居直る、反論にならない反論で誤魔化す、ときに意味のわからん逆ギレ…》。

==================================================================================
http://lite-ra.com/2017/05/post-3181.html

国連報告者が安倍首相に「共謀罪は人権に有害」の警告文書!「国際組織犯罪防止条約のため」の嘘も明らかに
2017.05.23

     (左・安倍晋三公式サイト/右・菅義偉ホームページより)

 きょう23日午後にも衆院本会議で強行採決される見通しの「共謀罪」法案。その後、参院での審議にはいるが、政府・与党は数の力で押し切り、この戦後最悪の言論弾圧法案を、会期中の成立に持ち込む目算だ。
 そんななか、ついに国際社会からも、日本の共謀罪法案とこれを強行する安倍政権に対する強い懸念が出され始めた。
 5月18日付で、国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏(マルタ大学教授)が、共謀罪法案について「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と指摘する書簡を、直接、安倍首相宛てに送付したのである。ケナタッチ氏は、マルタ出身のIT法の専門家。一昨年より国連人権理事会によりプライバシー権に関する特別報告者に任命されている。
 国連の特別報告者が、直々に日本の首相へ書簡を送った意味は非常に重い。というのも、安倍首相は「国内法を整備し、国際組織犯罪防止条約を締結できなければ、東京五輪を開催できない」などと言って、共謀罪の理由を国連条約締結のために必須であると説明してきたが、これが真っ赤なウソであることが、他ならぬ国連特別報告者に暴露されたからだ。
 書簡は国連のホームページで公開されている。タイトルは“Mandate of the Special Rapporteur on the right to privacy”(プライバシー権に関する特別報告者の命令)。ケナタッチ氏は〈人権理事会の決議28/16に従い、プライバシー権の特別報告者の権限において〉この書簡を安倍首相に送るとして、英語でこのように書いている。

   〈いわゆる「共謀罪」法案は、その広範な適用範囲がゆえに、
    もし採決されて法律となれば、プライバシーに関わる諸権利
    表現の自由の不当な制限につながる可能性がある〉

   〈同法案は、国内法を「越境的組織犯罪に関する国連条約」に
    適合させ、テロとの戦いに努める国際社会を支える目的で提出された
    という。だが、この追加立法の適切性と必要性について
    数々の疑問がある。
     政府は、この新法案によって捜査対象となるのが「テロ集団を含む
    組織的犯罪集団」との現実的関与が予期される犯罪に限定される
    と主張している。だが、何が「組織的犯罪集団」に当たるかの定義は
    漠然で、明白にテロ組織に限定されているわけではない〉


国連特別報告者が「恣意的に適用される危険性」に深刻な懸念

 すでに国内の専門家からは、共謀罪がテロ対策等の国際条約の批准条件ではないという事実が指摘されていたが、国連の特別報告者もその安倍政権の欺瞞を冷静に指摘しているのだ。
 書簡では、ほかにもこの共謀罪に対する懸念・疑問点が極めて論理的に示されている。たとえば、共謀の対象となる277種の犯罪のうち、森林法や文化保護法、著作権法など〈組織犯罪やテロとまったく無関係であるようにしか見えない〉法律についても共謀罪が適用されてしまうこと。捜査のなかで犯罪立証のため起訴前の監視の激化が予想されること。そして、〈「組織的犯罪集団」の定義における漠然性が、たとえば国益に反するとみなされたNGOへの監視を合法化する機会を生み出すと主張されている〉とも踏み込んでいる。
 つまり、共謀罪が政府の恣意的運用による一般市民への不当な監視活動を正当化すると、国連の特別報告者も認めているのだ。ケナタッチ氏は、共謀罪が導く看過できない人権侵害を強く憂慮している。

   〈提案された法案は、広範に適用されうることから、他の法律と
    組み合わせることで、プラバシー権やその他基本的な人々の
    自由権の行使に影響を及ぼすという深刻な懸念が示されている。
    とくに、私が懸念しているのは、この立法において何を「計画」や
    「準備行為」とするのかという定義が漠然であり、そして(法案の)
    別表にテロ及び組織犯罪とは明白に無関係な広範すぎる犯罪が
    含まれていることから、恣意的に適用される危険性である〉

   〈法的明確性の原則は、法律のなかにおいて、刑事責任が明確で
    緻密な規定によって限定されねばならないと求めており、不当な
    禁止行為の範囲拡大なしに、どのような行為がその法律の
    範疇であるかを合理的にわかるよう保証する。現在の「共謀罪法案」は、
    漠然で主観的な概念が極めて広範に解釈される可能性があり、
    法的不確定性を招くことから、この原則に一致しているようには見えない〉

   〈プライバシー権は、この法律が広範に適用されうることによって
    とりわけ影響を被るように見える。さらに懸念されるのは、法案成立の
    ために立法過程や手順が拙速になっているとの指摘から、人権に
    有害な影響を与える可能性だ。この極めて重要な問題について、
    より広い公共的議論が不当に制限されている〉


官邸は国連を批判、まるでリットン調査団を拒否した戦前日本

 こうした指摘は極めて重要だろう。国民のプライバシー権や思想の自由などがこの法案で否定され、憲法が保障するはずの「通信の秘密」も骨抜きになるのはもちろん、周知のとおり、共謀罪の審議過程では、担当大臣の金田勝年法相が答弁不能の醜態をなんどもさらけだし、政府も説明を二点三転した。それは、逆説的に法案の目的から対象までが時の権力の解釈次第でなんでもありになるという、おおよそ近代法とは思えない欠陥法案であること意味しているが、一方で、こうして政府が説明責任を放棄したことにより、国民にこの法案の意味するところが伝わらず、国連特別報告者が指摘する「より広い公共的議論」は皆無だった。
 逆に言えば、安倍政権がここまで成立を急くのは、「国民が共謀罪の危険性をよくわかっていないうちに通してしまおう」という魂胆があるからに他ならない。あまりに国民軽視としか言いようがないが、しかもこの悪法によって制限される国民の諸権利は、成立後には二度と戻ってこないという悪夢のような状況にある。何度でもいうが、国連の懸念は、この安倍政権のやり方が国際社会から見てもいかに異常であるかを証明するものなのだ。
 ところが安倍政権は、この国連特別連報告者から送られた書簡さえも、まったく聞く耳を持たず、撥ね付けるつもりらしい。菅義偉官房長官は昨日の会見で、書簡について「不適切なものであり、強く抗議を行っている」「政府や外務省が直接説明する機会はない。公開書簡で一方的に発出した」などとうそぶき、国連との“徹底抗戦”の構えまでみせた。
 するとケナタッチ氏は、今日の東京新聞朝刊で菅官房長官に猛反論。同紙の取材に対し、日本政府の対応を「中身のないただの怒りと鋭く批判した。ケナタッチ氏によれば、菅官房長官の言う「強い抗議」は19日午後にあったが、それはたったの約1ページ余りの文書にすぎず、「プライバシーや他の欠陥など、私が多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」という。つまり、安倍政権は完全に説明を放棄し、国連にまで矛を向けているのだ
 ネットでは安倍政権のこうした姿勢に「まるでリットン調査団の報告書を拒否して、国際連盟を脱退した戦前の日本」などというツッコミもされているが、このままでは、この「平成の治安維持法」が強行されてしまうだけでなく、日本が国際社会から孤立してしまうのは火を見るより明らかだろう。
 安倍首相は21日の北朝鮮によるミサイル発射実験に対して「世界に対する挑戦」と凄んだ。しかし、国際社会の懸念を無視し、暴走を続けているのは安倍政権も同じだ。共謀罪を廃案にするため、最後まで徹底して反対の声を上げ続けるのはもちろん、一刻も早く、この暴走政権を国民の手で終わらせなければならない

(編集部)
==================================================================================

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする