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●『松下竜一未刊行著作集1/かもめ来るころ』読了(6/8)

2009年01月13日 07時29分24秒 | Weblog
【梶原得三郎・新木安利編、『松下竜一未刊行著作集1/かもめ来るころ』
蜂ノ巣砦に起つ室原知幸 昭和の阿蘇山中に咲いた大正デモクラシーの花(p.166)。「人の一言が人を烈しく動かすほどに〈言葉が力を持っていた〉時代を」(p.166)過ぎる老人、蜂ノ巣城主の物語が簡潔に25頁程にまとめられている。必読である。「だが彼を訴訟狂の如く呼んではなるまい。彼は国家の権力行為に抗する武器として法を最大限に活用した最初の国民であったのではないか。・・・国とはなんと便利なものであろうか。この老人に弱点を衝かれて困り果てる度に、法を好都合に改「正」していけばよかった。土地収用法が改「正」され、河川法が改「正」されていった」(p.176)。「・・・この両ダムが公共性をいうに足らずと見抜いた・・・電力資本はしばしばダムを国に造らせて、不当に安い分担金でそれに水力発電所を附設していくのであり・・・九州電力の不当利益の莫大さを、知幸は計算してみせる。元来、治水の為であればダムは常時空・・・発電の為には満湛がのぞましいという相反する機能を両立させうるのかという技術的疑問もある」(p.178)。「――室原さん、あなたは敗れた。・・・あなたが負けながら残したものははかり知れず大きい。・・・川辺川ダムが十年を超えてなお着手出来ない程に・・・慎重であるのも、あなたが残した教訓の重さゆえでしょう。・・・三里塚空港での一坪地主、鉄塔共有運動も、あれは室原さんが編み出した闘争記念樹林の共有運動の巧みな伝承だと聞いています。・・・なによりもあなたのような人が居たということを想うだけで、いかに多くの人々が励まされ続けることでしょうか。あなたを想う時、私はかろうじて今の敗北に耐えられるのです。・・・私は周囲から、売名の徒だとか社会の敵だとか罵られています。ともするとくずれおれそうな時、私は、あなたの孤影を想うことで立ち直ります」(pp.182-183)。「維新後、人民が築いた抵抗の砦としてこれほど壮大なものは無かったはずである。・・・デモクラシーの花・・・蜂ノ巣城はその象徴的具現であったろう。・・・国の公共事業とは、理に叶い法に叶い情に叶うものでなければならぬと」(p.187)
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室原さんの闘いが再注目か? (AS)
2009-09-26 18:21:20

 報道特集に、室原知幸さんの「公共事業は、理に叶い、法に叶い、情に叶うものであれ」の碑が。蜂の巣城。浅川ダムについて内山卓郎さんも出演。八場ダム・川辺川に続いて、脱ダム宣言後に復活した浅川ダムはどうだろう? 
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蜂の巣城が映画化 (A.S.)
2010-01-03 21:07:22

CML(http://list.jca.apc.org/public/cml/2009-December/002458.html)にて、室原さんの記事が。
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