Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●『疑似科学入門』読了(1/2)

2008年11月25日 08時02分16秒 | Weblog

『疑似科学入門』、10月に読了。池内了著。岩波新書。20084月刊。

疑似科学を以下のように分類している点がユニーク (pp.v-vii)
[1]第一種疑似科学: 科学的根拠のない言説にって人に暗示を与えるもの。占い系 (御神籤、血液型、占星術、幸運グッズなど)、超能力・超科学系 (スピリッチュアル、テレパシー、オーラなど)、「疑似」宗教。
[2]第二種疑似科学: 科学を援用・乱用・誤用・悪用したもので、科学的装いをしていながらその実態がないもの。物質世界のビジネスと強い結びつき
(a)科学的に確立した法則に反しているにもかかわらず、それが正しい主張であるかのように見せている言説 (永久機関、ゲーム脳、水伝など)
(b)科学的根拠が不明であるにも関わらず、あたかも根拠があるような言説でビジネスの種となっているもの (マイナスイオン、波動、健康食品など)
(c)確率や統計を巧みに利用して、ある種の意見が正しいと思わせる言説 (月齢と交通事故の相関、ことわざとしての言い伝えなど)
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●『疑似科学入門』読了(2/2)

2008年11月25日 08時00分25秒 | Weblog
【池内了著、『疑似科学入門』
[3]第三種疑似科学:「複雑系」であるがゆえに科学的に証明しづらい問題について、真の原因の所在を曖昧にする言説で、疑似科学と真正科学のグレーゾーンに属するもの (環境問題や電磁波、地震予知など)

社会や生態系の脆弱性や回復性
に注目するアプローチについても納得。ハリケーン・カトリーナの例にも見られるように、補修が必要と指摘されていた堤防 (社会的に脆弱なところ) が決壊して被害拡大。社会の弱いところ (脆弱性) を発見して補強していき、また、被災しても被害を最小化し、復興を早める (回復性強化) 政策により、異常気象が起きたとしても、また、気温が上がっても下がっても対応でき、社会の持続性は高くなる。条約やエネルギーは長期的・グローバルに検討すべき課題、社会の脆弱性・回復性は短期的・ミクロ的な課題であり、両政策を組み合わせていくことこそが効果的。
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