安全な会山行のために
2020/10/7
アルパインクラブモルゲンロート リーダー会
1.はじめに
2019/4/28、春合宿(穂高涸沢)で遭遇した雪崩では、幸いにして大きな被害は無かったが、今後、会山行を安全なものにするための行動指針をまとめておくこととした。
2.主なリスク
本資料では、以下の2つを代表的なリスクとして扱う。
2.1 雪崩
以下の要因で雪崩が発生する可能性がある。
・天候の変化: 日差し気温は積雪の不安定性に影響しているか注意する。
・積雪の安定性: 雪は崩れるだろうか? 積雪15cm以上スラブの生成、弱層の形成。
・地形把握: 雪崩を作り出す能力があるか? 斜度30~45°。雪崩は斜面のフォールラインを流れてくる。
・ヒューマン: 雪崩の起きそうな斜面を避ける、弱層を破壊しない行動を意識する。先行トレースを盲信しない。
2.2 滑落(岩、雪)
以下の要因で滑落が発生する可能性がある。
・登路の選択ミス
・バランス感覚の欠如
・ロープワーク等の不慣れ
3.リスクの高い会山行への参加について
山行リーダーは上記のリスクが高いと考えられる山行への参加については下記の条件を基に、参加の可否を判断する
3.1 事前トレーニングへの参加
・岩トレーニング(フリークライミング、ロープワーク等)
・雪上トレーニング(アイゼン歩行、ピッケルワーク、滑落停止訓練、雪崩救出訓練等)
3.2 参加希望者の技量、体力、装備、過去の経験
4.安全な会山行のための行動指針
・登山開始前に危険予知ミーティングを行い、天候確認、ルート確認、装備確認、メンバーの体調確認を行い、リーダーが実行判断をする。
・山小屋等での情報収集を積極的に行なう。
・メンバーが不安に感じた事は、山行前、山行中に関わらず、山行リーダー又はサブリーダーへ遠慮せず訴える。
・山行中の気象変化、メンバーの体調不良、けが等が発生した場合は、リーダーが迅速な判断を行い、計画変更、又は中止判断を的確に行なう。
・雪山に入山する際、雪崩対策装備(ビーコン、プローブ、スコップ、ヘルメット)の携行を推奨する。
・自然の中では、(各メンバーが持つ)経験や知識を超越した思いもよらぬ事態が発生することもあるので、過信しないように戒め、慎重に行動する。
以上。