Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「酔っ払いは二度お会計する」

2022-05-17 09:39:40 | 読書
田中 開,産業編集センター(2022/4).

見開きの著者紹介に「直木賞受賞作家の田中小実昌を祖父に持つ」とあったので,図書館で借用.著者の家系図はこの本を読めば徐々に明らかになるが,要約すると.

祖母すなわち田中小実昌夫人は画家 野見山暁治の妹.
母は小実昌の次女で作家の田中りえ (この方の作は読んだことがない).
父はドイツ人で著者はドイツ生まれ,である.

Amazon の紹介 *****
新宿ゴールデン街は、直木賞作家の祖父・田中小実昌との思い出の街。
 おじいちゃんが愛した夜の街と酒場を、人気レモンサワー店「OPEN BOOK」店主が語る、珠玉のエッセイ。 田中小実昌 単行本未収録を含む7作品を収録。祖父と孫のエッセイが時空を超えてコラボします。

■対談 ゴールデン街「ロベリヤ」の玲子ママと,小説家/劇団「鉄割アルバトロスケット」主宰・戌井昭人さんと
■特別寄稿 角田光代さん : コミイズム、カイイズム

目次
第 1 章 ぶらぶら 〜新宿ゴールデン街でレモンサワー
第 2 章 ふらふら 〜旅の目的はあったりなかったり
第 3 章 ほろほろ 〜酔っ払いは二度お会計する *****

表紙・扉のイラスト (山田参助) に登場する禿頭・短足が祖父,長髪長身が著者らしい.

第1章の舞台,新宿はぼくには未知のワンダーランド.高校へは山手線で渋谷経由・高田の馬場下車だったので,新宿は通学路ではあったが,新宿は新宿高校のナワバリだった.だいいち.高校生がゴールデン街をうろつくわけがなかった.
祐天寺「ばん」がレモンサワー発祥の店だそうな.70 年近く前に通った中学校のあたりに中目黒から移転した,もつ焼きの店らしい.

第 2 章は広島・呉から始まる.祖父・小実昌は呉育ちだそうだ.
「温泉町うらおもて 中年3人組,城崎を行く」はその祖父のエッセイで,3人組の残りの2人はカメラマンの渡辺克己と,つげ義春である.遊興した祖父に,懐紙にきちんと包まれた「お釣り」に記憶がなく,しかもお釣りに万札が入っていたことから始まる.貧乏紀行文を読み慣れていた つげ義晴の同行に,かなりびっくりした.戌井昭人によれば,この温泉取材旅行については,つげ義春が書いた文章もあるらしい.

第3章の前にカラー写真が数ページだが,なくもがなと思った.第3章はレモンサワー・バー経営者の視点からの飲食店案内かな.地方在住者にとってはフィクションと変わらないが,それなりにおもしろかった.

本としては,校正が行き届いていない箇所がある.


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