Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

式場隆三郎 脳室反射鏡

2020-06-11 09:07:40 | エトセト等
広島現代美術館.さぞかしガラガラだろうと思って11時ごろに入ったが,1時間ほどで出会ったのは中年のおばさんがふたり.大きな声で展示とあまり関係のなことを喋っていた.

式場というと,山下清を世間に紹介したことで知られているが,その活躍の場は冒頭の図面のように多岐にわたる.ホテルも経営した.いかがわしい分野では,終戦直後のカストリ雑誌でも稿料を稼いでいたそうで,けばけばしい表紙が多数展示されていた.下右の「シキバ ブレイン」という内服薬もなんだかなー.

ゴッホに関連する著作も50冊だそうだ! 下中のゴッホ・ワンピースというのもデザインした.戦後に展覧会として全国巡回させた複製画たち (変色したものも多数) が,この会場に延々と展示してあるのにはちょっと閉口.現代でもフェルメール複製画展というのを見たことがあるけれど.



後述の都築響一の文章によれば,「山下は知名度に欠けたのではなく、知名度がありすぎて過小評価されてきたアーティストだ」そうだ.その山下作品では,八幡学園時代の鉛筆で描いた毛虫が面白かった.彼は後年どんどん上手くなるが,サービス精神を発揮し周囲の気にいるように描くに至ったと言うこともできそうだ.
白樺派がロダンに浮世絵を送ったお礼として,ロダンから送られてきたという3点の小品が展示されていた.上左は岸田劉生「人類の意志」(1914).展示作品は黒っぽくてよく分からなかったので,ネットで拾った映像を明るくしてしまった...ごめんなさい.

式場が「狂人が金に飽かせて作った住宅」として戦前紹介した「二笑亭」の1/2くらいの模型があった...どうせなら実物大に作ってヒトを入れてくれればいいのに.下はこの住宅の「和洋合体風呂」で,木村荘八作を写真と比べると,やはり絵画は雄弁だ.



展覧会のカタログはなく,ショップに式場著作を売っているわけではない.代わりにネット上は「おうちで式場展」と充実している.読み応えがあるのは都築響一「怪人シキバ二十面相」

地階ではビデオアートプログラム,ローザ・ヌスバウム「処女航海」.


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