Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

芥川賞「プラックボックス」

2022-02-16 08:42:04 | 読書
砂川文による第166回芥川賞受賞作.文春 2022 3 月号には選評が載っていて,審査員の誰かが言っていることを断片的につなげるとぼくの意見になってしまうのが面白い.

「青春の殺人者」的要素を持った小説は,いつの時代でも生まれ続ける (山田).
退屈さは否めなかったが,ここには何かしら「切実なもの」があると感じさせるだけの迫力があった (奥泉).
自動車便メッセンジャーとしての日々が執拗なほど細密に描かれる.過剰に細密なものを見ると (若冲の絵を見ている時のように) 胸苦しくなる (川上).
その滑らかさ (端正に推敲された文体) から,現代のプロレタリア文学かという感想も浮かぶ (松浦).
.....

でも,長すぎる.

出版社 (講談社 2022/01) の内容紹介.*****
ずっと遠くに行きたかった。今も行きたいと思っている。
自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。
自衛隊を辞め、いまは自転車メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。
昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。(本書より)
気鋭の実力派作家、新境地の傑作。*****

文春の表紙は村上裕二「不二に光」.


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