Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

決定版カフカ短編集 フランツ・カフカ/著 、頭木弘樹/編

2024-05-24 08:42:44 | 読書
 フランツ・カフカ,頭木弘樹 編「決定版カフカ短編集」新潮社 (文庫 2024/5).

出版社による紹介*****
この物語はまるで本物の誕生のように脂や粘液で蔽われてぼくのなかから生れてきた――。父親との対峙を描く「判決」、特殊な拷問器具に固執する士官の告白「流刑地にて」、檻の中での断食を見世物にする男の生涯を追う「断食芸人」。遺言で原稿の焼却を頼むほど自作への評価が厳しかったカフカだが、その中でも自己評価が高かったといえる15編を厳選。20世紀を代表する巨星カフカの決定版短編集。*****

新潮社版 決定版カフカ全集 (1980-81) から選ばれた短編集.新訳ではない.訳者を目次に明記して然るべきと思うが,最終ページに「底本一覧」があるだけ.編者は思うところがあって,敢えてこうしたらしい.
冒頭の5篇はカフカの自己評価に従って選出,最後の7篇は生前未発表だった作品群ということだが,冒頭のは概して長く,5篇でこの本のページの7割を占めていて,読み応えがある.

タイトルの「決定版」は「決定版...全集」から選んだから,と言うのがひとつの理由だそうだが,岩波文庫版カフカ短編集も意識しているのだろう.後者は池内紀 訳で統一されている.

ところで,カフカといわれて反射的に思い出すのが可不可の文字である.大学教養課程の試験で可 (その上の良・優) なら及第,不可なら落第.カフカはドイツ語のテキストだったのは覚えているが,内容は忘れた.この短編集のひとつだったのかもしれない.

でも講義に触発されて「変身」を読んだ覚えはある.ただし日本語で ! 実存主義・不条理文学・シュールリアリズムといった言葉が当時は好きだったのだ.
いま読むと,陰陰滅滅,無茶苦茶な設定なのに理屈っぽい.閉口だ,とか言いながら つぎからつぎと 結局読了.

装丁 緒方修一.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg