
安野光雅「会いたかった画家」山川出版社 (2016/5) の中で東勝吉が紹介されていた.
東さんは木こりだったが,大分県湯布院の特養ホーム温水園(ぬくみえん)に入所した.園長に勧められ,小さいころから好きだった絵を描きはじめ,99歳で亡くなるまで16年に百数十の作品を残した.
NPO法人・由布院アートストックのHPには東勝吉・作品のページがある.借用した3点のうち一番上の「湯布院町乙丸湯布院雪」についての「雪の山はこのように描けばいいのか,と学んだような気がする」など 先の安野さんの本には数点について感想が述べられている.
ぼく個人の感想では,大きな風景画にはやたらと細部にこだわることなどで,山下清の作品と共通するものもあるように思う.
しかしあとの2点「草取り」「イモリガジョウ」は山下との共通点はない.前者はいろっぽく,後者はむしろ熊谷守一みたい.
「...をおもわせる,...みたい」という鑑賞態度は重々くだらないとは思う.そもそもネットで見ただけで,実物を見ないであれこれいうべきではない.でも,東さんがたくさん引き出しを持っていたのは確かだ.
由布院アートストック主催「東勝吉賞水彩画公募展」の出品資格は83歳以上で,東さんが83歳で初めて絵筆を握り水彩画を描き始めたからだそうだ.