竹本健治,講談社(2016/3).
出版社のCM ***** 明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのは、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久! これぞ暗号ミステリの最高峰!
いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作るという、日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。
そこに仕掛けられた空前絶後の大暗号を解読するとき、天才しかなし得ない「日本語」の奇蹟が現れる。
日本語の豊かさと深さをあらためて知る「言葉のミステリー」です。*****
12 の部屋の東西南北 4つの壁にそれぞれ「いろは歌」を彫った青銅板が埋めてある.これらの「いろは歌」はどれも著者の新作らしい.しかし,実際にストーリーに関係するのは,そのうちの一つと,48 の最初の1文字から作ったもう一つ (49th) という贅沢.最後に浮かび上がる 50th がすごい...と書いてしまうとネタバラシ気味
印税ではとうてい元が取れないだろう...というのは余計なお世話だ.本書によれば,ひとりで 1000 の「いろは歌」を作った猛者もいるそうで,いちど作り出すと止まらないのかもしれない.
竹本健治作品は結構読んでいるが,氏の大学在学中のデビュー作「匣の中の失楽」の印象が強く,これを超える作品はないのかなと思っていた.比較的最近の「...の基礎論」「...の偽書」などのウロボロスシリーズは,ハチャメチャを開き直って売り物にしているみたいだった.
この作品はわりにすなおなミステリ.牧場智久が探偵役で登場するが,1980 年の囲碁殺人事件以来 2-3 歳しか歳をとっていない.彼女・類子さんも足を怪我した彼を負んぶして山登りをするなど大活躍.
暗号解読と殺人事件が並行して進むが,両者の関係はいまいち希薄.
天才囲碁に対する周囲のおべんちゃら会話が鼻につくが,過去の同じ作者の作品に比べると読みやすい.
涙香にひっかけた役に立たない衒学群を,おもしろがるかどうかで 読者を選ぶ作品.
図書館で借用.
出版社のCM ***** 明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのは、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久! これぞ暗号ミステリの最高峰!
いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作るという、日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。
そこに仕掛けられた空前絶後の大暗号を解読するとき、天才しかなし得ない「日本語」の奇蹟が現れる。
日本語の豊かさと深さをあらためて知る「言葉のミステリー」です。*****
12 の部屋の東西南北 4つの壁にそれぞれ「いろは歌」を彫った青銅板が埋めてある.これらの「いろは歌」はどれも著者の新作らしい.しかし,実際にストーリーに関係するのは,そのうちの一つと,48 の最初の1文字から作ったもう一つ (49th) という贅沢.最後に浮かび上がる 50th がすごい...と書いてしまうとネタバラシ気味
印税ではとうてい元が取れないだろう...というのは余計なお世話だ.本書によれば,ひとりで 1000 の「いろは歌」を作った猛者もいるそうで,いちど作り出すと止まらないのかもしれない.
竹本健治作品は結構読んでいるが,氏の大学在学中のデビュー作「匣の中の失楽」の印象が強く,これを超える作品はないのかなと思っていた.比較的最近の「...の基礎論」「...の偽書」などのウロボロスシリーズは,ハチャメチャを開き直って売り物にしているみたいだった.
この作品はわりにすなおなミステリ.牧場智久が探偵役で登場するが,1980 年の囲碁殺人事件以来 2-3 歳しか歳をとっていない.彼女・類子さんも足を怪我した彼を負んぶして山登りをするなど大活躍.
暗号解読と殺人事件が並行して進むが,両者の関係はいまいち希薄.
天才囲碁に対する周囲のおべんちゃら会話が鼻につくが,過去の同じ作者の作品に比べると読みやすい.
涙香にひっかけた役に立たない衒学群を,おもしろがるかどうかで 読者を選ぶ作品.
図書館で借用.