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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

エントロピーの正体

2016-01-27 10:52:43 | 読書
アリー・ベン=ナイム, 小野 嘉之 訳,丸善出版 (2015/12).

面白そうな書名だが,原題 Entropy and the Second Law, Interpretation and Misss-Interpretationsss を反映しているとは言い難い.丸善でバラバラと見て,挿画もたくさんなので,ふらふらと買ってしまった.

大学では熱力学なるものに出会って面食らった.力学や電磁気学は数式を追って行けば良いのだが,熱力学で突然物理が哲学と化したように感じた.統計力学は熱力学に比べれば組みしやすかった.この本でその理由がわかったような気がした.あのとき講義を担当した先生はどの程度熱力学を理解しておられたのだろうか... 自分を引き合いに出すのは適当ではないかもしれないが,教師になってわかったことは,よくわからないことでも講義しなければならないし,それなりになんとかなるということである.
その後コンピュータで飯を食う時代があって,情報理論をかじったが,大学で勉強するようには身がつかない.エントロピーという言葉も聞きかじった堤度である.

この著者の立場は,情報の部分集合として SMI すなわちシャノンの情報測度があり,さらに SMI の部分集合としてエントロピーがあるとするものである.情報エントロピーを熱力学エントロピーの上位に置くことは論議の種らしく,著者はこの本でなんとかして論争相手を名指しでやり込めようとしている.純粋物理でこういう本も珍しい.原発論争本みたいだ.

使っている数学は大学初年級のものだが,やっぱりエントロピーは難しい,というのが実感.

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