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Sixteen Tones

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「出世民主主義」の終焉

2016-01-21 06:43:35 | エトセト等

「出世」というのは前近代的な言葉だが,出世民主主義とは社会的地位の上昇の機会が平等に開かれていることを言うのだそうだ.少なくとも何らかの能力差以外の社会的出自の違いと社会的地位との違いが相関しないことを言う.
http://ci.nii.ac.jp/els/110002510160.pdf?id=ART0002783496&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1453290591&cp= に説明がある.早い話が,貧乏人でも出世出来るということである.

わが高校時代,受験民主主義という言葉もあった.貧乏人でも受験戦争を勝ち抜き,旧帝大を出ればそれなりの生活は約束されるということである.自分が出世したかどうかは疑問だが,とにかく公立の高校・国立大学を大学院まで学費の安いところを渡り歩き,奨学金は大学助手になることで免除された.世の中が出世民主主義を支持したおかげである.

今の日本ではどうか.

冒頭のグラフは昨年3月の朝日新聞による.ジニ計数は格差を表す指標とされ,0に近いほど平等.日本は「子どもの貧困率」が6人に1人で,OECD平均を上回る.子どもがいる片親世帯貧困率は5割を超え,OECDの中で最も高い水準だ.

子どもが (あえて出世という言葉を使わないとしても) 良い人生を送るには高等教育が条件になると仮定しよう.貧乏人が子どもを大学にやるには,学費が安く,奨学金がもらえることが必須である.



こちらの出典は OECD at a glance 2014.横軸が大学の学費,縦軸が給付奨学金をもらう人の割合.これで外国と比較すると日本は学費がとびぬけて高く,しかも給付奨学金はほとんどゼロである.ちなみに国際的常識では貸し付け奨学金は奨学金ではないそうだ.
政府は国立大の授業料をさらに40万円上げるつもりでいる.

今の日本では受験民主主義は成り立たない.学歴が出世の条件であると仮定すれば,能力があっても学歴がなければ駄目だから,出世の民主主義は終焉している.ことの重大性は世襲政治家・安倍晋三には理解の外である.

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