─光る波の間─

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『予定不調和』を読んだあと。2

2010-05-06 20:24:52 | 
そしてもう一つ引っかかったのは、「デザイナーベビー」の中の
“目の前にある命を救える可能性”という一文。

私が関わっている仕事のクライアントには意外と看護師が多く、
医師も訪れたことがあります。
コンサルテーションを行って多く出てくる問題は、「無力感・燃え尽き」
「医学的限界への苛立ち」など、目の前にいる人を“今”救えないこと、
救えない自分を責めていたりすること。

頭ではこれ以上どうしようもないと分っていても、感情は、医師であろうと誰であろうと、
よほど強靭でなければ割り切れないものではないでしょうか。
また、本人に自覚は無くても、意識のどこかにいびつに押し込められているかもしれません。
「解ってるんです、頭では。子供のころからなりたかった職業だし、
 嬉しいことも沢山あります。
 でも、奥底に積もっている虚しさがどうしても消えない。
 そうすると、この仕事をする資格が無いのではと思えてきたり…」
そういう思いに触れるとき、「医者なのに、ナースなのに、非科学的な方向に
行ってしまって!」とか、「そんな気持ちの人がそういう仕事をやっていていいのか」
という意見は、正直、だいぶ乱暴なものに思えるときがあるのです。

さて、科学、技術、芸術、哲学、信仰や、政治、経済など、人間の活動のあらゆる在り方と、
その関わる姿勢は、同じところを目指し同じところにいつか行きつく、
と私は信じています。
交わらない“部分”でなく、重なり合うその場所を、自分なりに見つめていきたいと思うから
<力>をつけないとな…と、そう考えているところです。

*

『予定不調和』/長神 風二 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン社

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