─光る波の間─

現在ほぼツイッターまとめ投稿。アート(名和晃平、奈良美智他)映画・音楽・食べ物(日々のご飯)・雑貨etc...

黒い哀しい歌

2004-07-02 22:02:06 | 音楽・映像・アート
音楽というか、本というか。

会社に飾ってあった花から、甘い香りが漂った。
くちなしだ。

くちなしの花を髪に飾って歌っていたのは ビリー・ホリディ。
今でこそ珍しくもないけれど、楽器のアドリブのように自由な
フレージングで歌う歌唱方法の先駆け。

歌を聴く前に、彼女の自伝を読んだ。
中学のときだったか‥ 読書感想文のために、何を読もうか
本棚の文学全集の背表紙を眺めていたら、それはあった。
『黒い哀しい歌』 タイトルに惹かれた。

貧しい家庭。まだほんの子供のころに奉公先の主人(白人)にレイプされた。
それが発覚しても、悪いのはビリーの方にされ、感化院に入れられる。
彼女は膝を抱えて座ったまま、そこから動かない。
「じっとしていよう。動かなければ、何も起こらない‥」
そう思いながら。

やがて歌手として有名になっても、激しい人種差別を受けた。
ステージではスターであっても、そこを降りれば出入り口も宿舎も車も白人とは別々。
やがて麻薬と病魔が彼女の命を奪った。




彼女はくちなしの花を髪に飾って歌う。
くちなしの花言葉

 沈黙 純潔 私は幸福です


*



帰り道で

2004-07-02 19:01:12 | つれづれ
駐車場から河原の遊歩道に上がる道が、ここ数週間工事で通れなかった。
ようやく終わったみたいで、きれいにアスファルトが敷かれて
排水溝も整備された。
ほんの10Mくらいなんだけど、かなりぼこぼこしてて歩きづらい道だったんだ。

遊歩道の階段を杖をついてよっこらしょと降りてくるおばあちゃん。
下に知り合いらしいおばちゃんがいて、話をはじめた。
そのときちょうど、私は通ったんだけど、そのおばあちゃんが
「まぁーーきれいになったねぇー。お国のおかげでこんなに広くなって、
 きれいにしてもらって、ありがたいねぇー。
 なんだか歩くのもったいないねぇ。」
と言ったのを聞いて、なんだかほのぼのした気分になった。

絶対、戦前か戦中の人なんだよね。
私には想像もつかない思いをたくさんして、国に対してだって
いろいろ思うことがいっぱいいっぱいあるだろうに。
無邪気と言えるほどに「ありがたい」って言うおばあちゃんは
なんだか素敵だなーと、感じた。

明るい、元気、素直。
そういうのを、時々煩わしく感じたり、ひねくれた見方をすることは正直 ある。
でも彼等もそういったものを抱えて乗り越えて、あの年になったんだ。
で、なんか最近思うのだけど、老人てほんとにその年まで生きていったってだけで
尊敬に値するよね。って。

私は、今まで生きてた分を倍重ねてもまだ、平均寿命にさえ到達しないヒヨッコです。