16日に、久しぶりに全幕バレエを観ました。
熊川哲也&ヴィヴィアナ・デュランテの
『ジゼル』。
古典の名作ですが、生で全幕見るのは初めて。(*'-'*)
しかも、日本初バレエ団専属オーケストラ付き♪
立ち見が出るなんて凄いですわ~。
熊川さんもデュランテさんも、すごーく久しぶりに見る。
お二人とも英国ロイヤルバレエのプリンシパルでしたし、
大変相性のいいペアなんですよね~。
私が観てたころは、熊川さんもまだ20代で太陽のごとき輝きを
放っていたものです。^^
いや今ももちろん凄いです。
ゆるぎない技術と注目を集めるカリスマ性の他、役の解釈や表現に深さが増していましたよ。
熊川アルブレヒトは、以前の解釈では
「貴族身分で軽い気持ちで二股をかけたことが、
取り返しのつかない事態となって初めてジゼルへの本当の思いを知る」というものだったと
記憶していますが、最近では、
「自分の住む社会の息苦しさ、しきたりに反発があり、自らの意思で本気でジゼルを
愛していた」というふうに変わっているそう。
そのため、アルブレヒトの従者の演技も他とは全く違っていました。
たいていは、若い小姓がただアルブレヒトの言うがままに従っているんですが、
K-バレエでは、“爺”という感じの従者が、ジゼルに会うことを反対しているという演技。
あそうそう、周囲のキャラクター(母親・従者など)にロイヤル出身の方々が出演していて、
お見事!だったんですよ。
(ロイヤルはとっても演劇要素の濃いバレエ団で、コールドの一人ひとりが全て
キャラクターをもって演技しているようなバレエ団なのです)
さて、裏切りを知ったジゼルは狂乱し、息絶えます。
「失恋したくらいで、心臓が止まるか?」という疑問がよく出て、
だからリアリティを感じないという人もいるようですが、私はストレスの勉強をしたおかげか、
「あり得るんだよなぁ~・・・」という、演技以外でのリアリティを納得してます。
一気に強烈なストレスがかかり、自律神経などが極端にバランスを乱した場合、
それが引き金となって持病などに作用したならば(ジゼルは心臓が弱かった)、
十分に起こり得る事態です。
しかもジゼルはとてもピュアで、疑うことや勘ぐることなど微塵も考えていなかった。
その分ショックに耐える耐性は低かったということになるでしょう。
かくして、ジゼルはウィリーとなるのでありますね。。。
◆◇◆◇◆◇
さて2幕では、秋の明るい日差しの村から一転。
月明かりに沈む墓地の中、女王ミルタが率いるウィリーたちが現れるんですが、
ここの演出は良かったですよ、っていうか怖かったですよ。
ウィリー、きれいだけど怖い・・・。
照明の使い方、登場の仕方、白いヴェールが宙を飛ぶ・・・ひぃ~・・
女王ミルタは激しかったです。熱いミルタっていうのは初めて観たのでちょっと違和感。
イメージとしては氷のように冷た~~いっていうのでしたので。
人目を忍んでジゼルの墓に来たアルブレヒトの前にジゼルが現れる。
妖精・・というか亡霊となったジゼルは月明かりに漂うようで、1幕とはまったく別の存在感。
この切り替えは見事です。
ウィリーたちに見つかってしまったアルブレヒト。
ジゼルは彼を守ろうとします。しかしミルタの命令には従わなければならない。
死ぬまで踊り続けさせるようにという命令に、従いつつ庇い、時間を稼いで、
許してくれるよう懇願するジゼル。
もうだめかというとき、朝を告げる教会の鐘が響きアルブレヒトは助かるけれど、
彼にはもはやジゼルを捕まえることはできず、ジゼルは墓の中へ消え去っていく‥。
この、母性ともいえるほどのジゼルの愛ですが、
今回のを見たときに、これはジゼルが死んで間もないからできたことかなと思われた。
ジゼルは、恋人に裏切られて処女まま死んだ少女がなるという、
道に迷った人間を踊り殺す亡霊ウィリーとなった。
だからいずれ、アルブレヒトのことも生きていたときのことも忘れて、
冷たく、人を踊らせ殺すウィリーになっていくのだな‥と、思われたんですよ。
これはちょっと、初めて感想として持ちました。
デュランテさんがそういう解釈なのかどうかは、確認できないんですけども‥。
いやしかし
K-バレエの演出や振り付けは新しかった!ストーリーからあまりに関係のない踊りなどはばさっと切捨て、
通常見せ場のあとの拍手に応えてする、客席への挨拶もなし。
踊り終わった姿勢で少しの間、静止しているくらいです。
そのぶん、気持ちがぷつぷつと切られることもなく、とても充実した舞台でした。
仙台ではあまり無い、
スタンディングオベーション!!オケの人たちもびっくり顔でしたわ。笑
席が4列目だったので、オケピのようすもよく見えて面白かったですよ。
角笛の音のシーンでは、「がんばれホルン!」とか密かに応援。^□^
実は仙台公演でのジゼル役は、康村和恵さんの予定だったんですが怪我で休演。
急遽というカタチでデュランテさんになりました。
康村さんも楽しみだったんですが、仙台でデュランテさんが観れるとは思ってなかったので、
ラッキーとも思えますね。
イタリア人らしい、情熱的で繊細で愛情の表現豊かなところはジゼルにぴったり。
そしてつくづく、熊川哲也さんのスーパーマンなことよ。
あれだけの技術とスター性をもって踊るだけでも稀有なことなのに、
バレエ団を作り、バレエスクールを作り、経営し、専属オーケストラを作り。
ステージセットや衣裳についても、その時代の建築や衣服・習慣などについて
すごく勉強しているんだとか。
初めて観てから10年くらい経つかなぁ。
“ロイヤルの放蕩息子”なんて言われてたよねぇ~。´▽`
今後もね、チケット高いけどなんとか頑張って観に行きますわ♪
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