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なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

大人になるとは社会と自分の折り合いをつける事、フランシス・ハ

2015-11-29 | 授業
【題名】
『フランシス・ハ』(原題『Frances Ha』)(2012)
フランシス・ハ

【あらすじ】
主人公のフランシスは、ダンサー見習いの27歳。大学時代の同級生で親友で出版社に勤めるソフィーと共にルームシェアをしてニューヨークで楽しく気ままに暮らしている。そんなある日、フランシスは彼氏から同居を持ちかけるもソフィーとの生活が手放せず、その申し出を断り彼氏とも別れてしまう。ところが、フランシスが彼氏を捨ててまでソフィーとの生活を選んだにも関わらず、当のソフィーは以前から憧れていた地区へ引っ越すためにあっけなくフランシスとの同居を解消してしまう。そこからフランシスの生活は大きく様変わりをしていく。

【感想】
映画全体のトーンとしては、コメディというよりもユーモアといった感覚が近く、特にフランシスとソフィーがふざけている場面などはBGMも陽気な音楽に変わっている。冒頭のシーンなどは『女は女である』を想起させるようなポップなユーモアが漂っている。ただ、この陽気さは単なる陽気さではなく、悪い意味での子供っぽさの象徴のように描かれていく。ちなみに彼女の服装は映画を通してほぼ変わらない。お気に入りの服だけ着ている。いつも同じ革ジャン。


大人になりきれない行動や周囲との経済的・社会的な価値観の差異が露呈し、次第に周囲との軋轢を繰り返し、負のスパイラルに落ちていく。前半で同様の振る舞いをしているときは天真爛漫さが微笑ましく見えるが、後半に同様の振る舞いをするシーンでは痛々しさが際立っていく。

自分の好きなものを優先し、何事にも反発して、見栄を張って、大人になりきれない子供っぽい大人が如何にして大人になるかというお話。夢が必ずしも叶うとは限らない。「夢が叶わなかったときにどうするべきなのか」という結構重たいテーマではあるけれども、主演と共同脚本を手がけたグレタ・ガーウィグが実際に27歳の時に執筆したというだけあって、厳しくも優しい。


全編を通して、本作は白黒で撮影されており、その意図に関して監督のノア・バームバックは「映画の本質を分かり易くさせるためであり、且つ映画自体に歴史やノスタルジーを感じさせるため」とIMDBに記載がある。(出展不明)確かに色が無いほうが人物に集中できるし、且つiPhoneやMac Bookなどが存在しているのに白黒という画面はノスタルジーと共に趣を与えているように感じる。


様々な変化を通して、ラスト『フランシス・ハ』という題名の持つ意味に到達する。大人になるということは社会というよりはむしろ自分自身と折り合いを付けることなのだと思う。


【参考】
映画『フランシス・ハ』 ノア・バームバック監督独占インタビュー(東京WISE)
Frances Ha(IMDB)


【予告動画】
Frances Ha Official Trailer #1 (2013) - Noah Baumbach Movie HD



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