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なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

狂い咲きサンダーロード

2010-03-29 | 休み
ある意味でまたミッシェルつながり。名前は聞いたことはあるが観たことのない映画を観るブーム。石井監督の日芸の卒制らしい。今で言えば、真利子哲也監督の『イエローキッド』みたいなものか。


狂い咲きサンダーロード


大学の卒制らしく一目見て安い。安い世界の世紀末覇王伝というか『マッドマックス』なサイバーパンクのような雰囲気の中で暴走族の抗争。上部組織としてのスーパー右翼。中学生とセックス、ドラッグ、おっさんと同性愛で全員パンクスというかデニムに革ジャンで剃り込みリーゼント。かといってSFかというとそうでもなく日常の風景も映り込んだりする。荒廃した工場跡地からの見知った福岡天神地下街には意表を突かれる。だからやはりSFじゃないんだろう。

変な雰囲気は嫌いじゃないけれど、ヤンキー文化の暴力性とホモソーシャルな上下関係がやっぱ嫌だなぁ。実際にスーパー右翼の幹部(小林稔持!ことミラーマン)と幹部候補生がホモ関係に。サントラに泉谷しげるやThe MODSとかを使っていてサントラのクオリティは高すぎるけど、演出をしてはどうなんだろうかと疑問が。端的に言えば曲をかけ過ぎ。10曲以上はかかってるんじゃないか、90分ちょっとの映画に。故・山田辰夫の主人公は確かにぶち切れ系の狂犬主人公で格好良い。しかも珍しい。けど中盤までは苦手だ。

でも中盤以降、主人公が敵対組織に襲われチェーンソーで片方の手首から先とつま先を切り落とされてバイクに乗れなくなるところから一気に面白く。ブラックマーケットで武器商人から武器を買い、失くした手にはフックを付けてキャプテンクックというかライダーマンの様相。その姿で買い込んだ武器を片手にバイクでスーパー右翼を襲うラストシーンが素敵過ぎる。バカっぽい設定、灰汁の強いキャラクター、強烈なアクション、そして低予算って鉄板だ。ただぼくはちょっと合わなかった。カメラワークとかも強烈な実験作。



それにしても凄い熱量の映画だなぁ。カオス。