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なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

青い春

2010-03-27 | 休み
ミッシェルつながりで『青い春』。良い映画と噂だけは聞いていたけど、ミッシェル楽曲使用、松田龍平、新井浩文出演の学園モノという程度の知識のみで観る。


青い春


不良じゃなかったし、というか成れなかったし成る気もなかった人間で、不良マンガも映画も通ってきてないので『クローズ』も”close”だと思ってた(本当は”crows”)。というか嫌悪感しか抱かなかった。この映画の不良描写も嫌悪感を抱くんだけれど、嫌いじゃない感。単純な美学に終わってないところが凄い。美学は美学なんだけれど、どうしようも無いどうしようも無さがちゃんと描かれていて不良映画というジャンル映画を超えて普遍的な青春映画に成れてる。すげー。

暴力描写が徹底的に”痛い”。肉体的に痛い感じ。初めのうちはユーモアも交えて緩い感じに話も暴力も進んでいくけど、徐々に痛い暴力に。便所で雪男が大田を刺し殺してしまう場面の緊張感と暴力性。直接的には描かれない刺殺シークエンスは直接じゃないからこその暴力感。雪男が大田に徐々に苛立ちを募らせていく描写が見事で、観ている側にも雪男の苛立ちとその場の緊張感が伝わってくる。些細なことの積み重ねが状況を生み出してしまうのがよく解る。

それにしてもこの映画、サントラの質と量と演出が半端無い。ミッシェルとブランキーの既存の楽曲の選曲も良く、しかも映画音楽も二組とも違和感の無いものになっていてどの曲もしっくりきて映画に馴染んでる。この雪男のシーンで流れる「モナリザ」も、ラストの「ドロップ」も楽曲が映像に負けることなく、映像が音楽に食われることも無く、映像と音楽とが見事にシンクロしていて違和感無く眼にも耳にも入ってくる。特にラストにドロップ使って、エンドロールにもライブ版「ドロップ」を使ってしまうところに脱帽。

―「ドロップ」(Youtube)


友情が些細なことが積み重なって次第に瓦解してしまうことを淡々と描いてる。番長争い、部活での挫折、暴走族入り、ヤクザ入り、下克上、学校の仕切りなどなど文字にすると物々しいけど、映画での熱量は控えめでぼくみたいなもんでも観られる。その中で主人公?の九條と親友の青木の離別が本筋として描かれるんだけれど…たぶん多くの人が主人公である九條よりも一応はサブキャラクターでしかない青木に感情移入しちゃう。持たざるものが持つものを超越しようというプロットは来る。


松田龍平演じる九條は確かに単純に格好良いんだけれど、結局実の所青木が主役だったと。見事に新井浩文が松田龍平を食っちゃってる。ラストシーンはまさにpaint it blackという感じで鳥肌モノ。これ、観る人が観たら人生でナンバー1映画に成ってしまうんじゃなかろうか。本当に青い春だわ。そして2001年って9年も前なんだなぁ…今観るとキャストが非常に豪華。でも豪華に感じられないのが良いなぁ。とにかく面白い青春映画だ。ヤンキーモノが嫌いでも。


小人俳優を日本の映画で久しぶりに観れたので得した気分。小人俳優の人が凄い良いわぁ。九條たちと普通に話していたりするのが。九條とのサッカーのくだりも良い。