よみびとしらず。

あいどんのう。

太陽港

2022-06-05 16:42:12 | 散文
透明な歯ぎしりで
誰も傷つけることのないように
誰よりも自分を傷つけて
ただあなたを見つめていた
その後ろ姿に影は重なる
錨(いかり)は沈んで船着き場から
穏やかな水面は此処じゃない彼処を指し示す
海は離れてわたしのふるさと
風に揺らいで凪を待つ明かりは
手に届くことのない夜
月は過(よぎ)りて
わたしは朝へと落ちていく
あなたは思いの湊(みなと)から
明日のぼる朝の光に焦がれていた

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