よみびとしらず。

あいどんのう。

Labyrinth

2019-09-02 16:03:14 | 散文
眠りにおちた人魚は出口を探すため足を得た

美しき歌声を引き替えにして

地を駆ける足で懸命に出口を探す人魚は

足があるだけでは出口に到れないことを知る

夢のなか人魚は懐かしき歌声に耳すまし

地面を蹴りあげ海へとダイブした

そこにあるのは泳ぐには不自由な足と失われた歌声

それでも人魚は出口を探す

王子さまの口づけで目をさますことのなきよう

蛇は丘の上から海をにらんだ

月のない夜に海は姿なくただ波音だけがどこまでも続く

その波音は美しき人魚の歌声を知る

いまはもう聴こえぬ 懐かしき調べ

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