竹崎の万葉集耕読

日本人のこころの拠り所である「万葉集」を味わい、閉塞感の漂う現代日本人のこころを耕したい。

母娘の別れ(薄雲の巻)

2013-03-15 09:54:38 | 日記
「源氏物語」作中人物の歌(20)

   母娘の別れ(薄雲の巻)

末遠き 二葉の松に 引き別れ いつか木高き かげを見るべき         明石の上から源氏へ  
 生い先遠いこの姫君に今別れて、一体いつ、立派に生い育った姿を見ることができるのでしょう。
 
生ひそめし 根も深ければ 武隈(たけくま)の 松に小松の 千代をならべむ  源氏から明石の上へ
 母子の深い宿縁もあることなのだから、いずれあなたと姫君は末永く暮らすことになるでしょう。

 「松風の巻」に続く源氏31歳の冬のことである。大堰の明石の上は、姫君の将来を思って、この際、二条院の紫の上のもとに養女として引き取りたいという源氏の提案に苦慮するが、母尼君の勧めもあり、その意向に沿うことにする。こうして父・明石の入道の家門復活の執念は、ようやく実現の方途につこうとするのである。
 雪が降り積もった朝、源氏は自ら姫君を迎え取るため大堰の邸に出向くが、あとにひとり残される明石の上の胸中を忖度すると、心が痛む。冒頭の歌は、まだ幼い姫を二葉の小松に譬えて詠んだ明石の上の絶唱である。それに対して、後の歌は歌枕・武隈の二本松に擬えて母娘の将来を予祝したものである。

 年が改まってから源氏は、相継いで不幸な事態に見舞われる。舅の太政大臣(葵の上の父・もと左大臣)が亡くなり、3月には、永遠の慕情を抱き続けていた藤壺の宮が、37歳の厄年に崩御する。そんな折、冷泉帝は、旧くから藤壺に仕えていた夜居の僧都の密奏で、源氏こそが実の父であることを知らされ、衝撃を受ける。そうとは知らず、これまで父親を臣下としてきた背理に苦悩して、自分は譲位して、源氏が皇族に復帰するようにほのめかす。源氏は、帝を諌め、自分の官位、官職の昇進を辞退して、さしあたり義兄の大納言(もと頭中将)を中心に据え、冷泉朝の政治体制強化をはかるのである。
 秋の深まる頃、二条院に里下がりしていた梅壺女御に、源氏は秘かな愛恋の情を抑えながら往時を語り、女御に源氏一門の将来を託そうとする。春を好む紫の上、秋に心を寄せる梅壺女御を住まわせるために大邸宅・六条院の造営がやがて始まることになる。             

1 コメント

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めぐみです! (めぐみ)
2013-03-22 06:32:15
めぐみです!このあいだコメントしためぐみです!覚えてますか?覚えていてくれた嬉しいですw( ̄∇ ̄)せっかくなのでメールできませんか?私ブログとかやってないのでお話がしたいです、アドは megumi7704あっとyahoo.co.jpです、待ってますね!(*´ェ`*)ポッ

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