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フェライトとトルースタイト

2008年01月13日 | 刃材や金属そして錆

フェライト

米国のハウによって命名されたもので、純鉄のことを組織学上フェライトと呼びます。
語源はラテン語の鉄(フェルーム)にもとづきます。

フェライトは鉄鋼組織中、一番軟らかい組織です。

なお、フェライトには磁石(フェライト磁石)の意味にも使われますが
磁石のそれは、組織名ではありません。


トルースタイト

フランスのトルーストの名に因んで、トルースタイトと命名されました。
マルテンサイトを約500℃に加熱(焼戻し)したときに得られる
組織で、フェライトと極微粒のセメンタイトが混じり合った
状態を呈しています。

ちょうど、マルテンサイトからセメンタイトの微粒が吐き出された様相を
呈しているので、本多博士により吐粒州(トルース)と宛て字されています。

トルースタイトはマルテンサイトに次ぐ硬さを持っており、マルテンサイトより
粘いので、高級な刃物の組織として賞用されています。
しかし、鋼の組織のうちで一番腐食しやすい組織ですから
錆には注意を必要とします。

誤解の無いように、ここでの鋼は、高炭素鋼を説明していますので
他の元素を合金した、合金鋼とは混同しないでください。
鉄と炭素の鋼の事です。

タングステンだのバナジュウム・コバルトやニッケルといった
鋼のビタミン剤は含まれていない状態です。

前、説明文のパーライトやマルテンサイトもビタミン添加はありません。


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