顔の特徴がよくわかる画像が公開されてから、わずか1日での逮捕だった。群馬県高崎市で複数の女性が硫酸とみられる液体などをかけられた事件で、群馬県警は7日、市内に住む無職、北村宣晃(のりあき)容疑者(30)を逮捕した。県警が前日6日に公開した防犯カメラに映る不審人物の鮮明な姿が決め手となった格好だ。「この10年での進化は仰天の世界」と専門家も驚く防犯カメラの最新事情-。
傷害と器物損壊の疑いで逮捕された北村容疑者。フジテレビなどによると、同容疑者は県内の高崎高時代、東大を目指したが失敗し、立教大に進学。その後、早稲田大に編入した。高崎高といえば、中曽根康弘、福田赳夫両首相を輩出した県下有数の名門校。北村容疑者も地元では優秀で通っていた。
だが、どこで道を誤ったのか、硫酸男と化し、何より驚かされるのは昨年、自分の体液や尿を入れた空き缶を女性3人のかばんに入れたとして、警視庁に器物損壊容疑で逮捕されていた。有罪判決を受けて執行猶予中だったというから開いた口がふさがらない。
群馬県警によると、画像を公開して以降、「似た男(=北村容疑者)を知っている」との情報が複数寄せられていたため、逮捕は時間の問題だったとも言える。
「男の画像は、もともとは動いている映像のはず。それをあれだけはっきり出せるということは相当いいカメラで撮られていたのだろう」
防犯ジャーナリストの梅本正行氏は、県警が発表した画像を見てそう話す。防犯カメラの近年の技術革新には目を見張るものがあるという。
「価格も手頃になってきており、数万円台から購入できる機種も出てきた。インターネットに対応するIPカメラはセンサーを内蔵して、センサーが働くと画像を転送してくれる機能を持つものもある。数百万円のモデルでは数百メートル離れた人間の顔を鮮明に映し出せるものもある」(梅本氏)
都市部では街中だけでなくタクシーの車内にまで広がる。2012年に逮捕されたオウム真理教の高橋克也被告(56)も、金融機関やコンビニエンスストア、飲食店などの防犯カメラに映った映像が次々と公開されて情報が集まり、逮捕につながった。
「都市部においては、いまでは街を歩けば必ず姿が映ると言っていい。その意味で、犯罪を抑止する効果も高い。今回のように犯罪が行われた場合でも、映像として残っている以上、取り調べの際に容疑者の自供をうながすきっかけにもなりうる」(同)
北村容疑者もまさかここまで自分が鮮明にとらえられているとは、思いもしなかったに違いない。