南の海のワナビ

小説家を目指す「南野海」の野望ははたして達成されるのか?

「天帝のはしたなき地雷」踏んでみた

2007-05-12 13:13:45 | 読書
 メフィスト賞にはいろいろ思い入れがある南野が、第三十五回メフィスト賞である「天帝のはしたなき果実」を読んでみました。

 じつはこの小説、ネット上の評判では「地雷」の名を欲しいままにする超問題作らしいです。

 まあ、南野はけっこう地雷好きですから、逆に読んでみたくなりました。

 第一章の出だしから飛ばしてくれます。
 いきなり吹奏楽の専門用語が飛び交い、さらにリズムを表すのに、
 タン、タン、ターン、ターン、タ、ターンだの
 ターラータラリラだのといった音が会話にはさまれ、
 ペットにトロンペーテ(何語だそれ?)といったルビが付いたり(他にもいろいろルビの嵐)、相手の心の声が聞こえたり、やりたい放題。
 登場人物の高校生たちは、なぜか会話に外国語をまぜて(それもフランス語だかドイツ語だか)話しますが、誰もそれを不思議に思いません。
 っていうか、普通に日本語話せよ、おまえら。
 しかもいきなり太字で叫んだりするな。

 おまけに最初にかなりの人数が出てきますので、いったい誰が誰やら把握するのに、けっこう時間がかかります。

 そしてこれは一体いつの時代なのか?
 国家警察や軍隊が存在し、華族制度も残っています。
 そのくせ、会話の中に「ドラえもん」だとか、「雉も鳴かずばハーマイオニー」だの「ゼットンは星人じゃありません」だの、現代に近い設定としか思えない会話が出てきます。
 ようやく、この世界はパラレルワールドであることに気づきます。

 このあたりを乗り切ると、それほど読みづらいという感覚はなくなります。
 なんとなく世界観とか、ノリが理解できてしまうから。むしろこの変なリズムや、言葉遊びが楽しみに。

 そしてなんか青春しつつ、連続殺人事件に巻きこまれ、暗号だの、タロットカードで占って、殺そうとする太ったピエロだのが出てきます。
 さらに吹奏楽の大会の最中に顧問の先生が首なし死体で発見。
 彼らはこんなものが発見されたら、せっかく演奏がうまくいったのに、大会が台無しになるから発表まで事件を隠そうとします。
 そしてやってきた刑事(警視正)を半ば拉致し、全員が名探偵のごとく、持論を展開しつつ、推理合戦。
 ありえねえにもほどがあるぅ~っ! と思いつつも、その展開を楽しむ南野。
 だってしょうがありません。南野は推理合戦が大好きだから。
 しかし事件は意外な方向に……。
 さらにそこから、とんでもない方向(というか次元?)に。

 ここはどこ? わたしは誰? 状態です。

 ううむ。これをなんと表現したらいいのでしょう?
 地雷と斬り捨ててしまうのは簡単ですが、それだけではすませない魅力もあります。
 もっとも地雷とはそういうものであり、単につまらないものや、出来の悪いものは地雷とはいいません。

 同じメフィストの「コズミック」しかり、「六枚のとんかつ」しかり、富士見ミステリーの「ブロークン・フィスト」しかり。
 ある種の天才的なひらめきを持った人たちだけが、地雷を生産できるのです。
 そうです。地雷とは、常人に理解できるかできないかの境界線を綱渡りするようなものなのです。さらに地雷にはよい地雷と悪い地雷があります。綱を渡っているうちはよい地雷で、それはある種の傑作です。向こう側に落ちてしまったものは悪い地雷となり、たんなる駄作になってしまいます(南野定義)。
 ただ「コズミック」や「六とん」「ブロークン・フィスト」などが南野のツボにはまった(つまり境界線上の綱の上をしっかり歩いてる)の対し、「天帝」ははっきりいって、向こう側に落ちかけています(かろうじて残ってる)。
 ただその境界線の位置は、ひとによって激しく違います。

 ですから、あなたも綱の上を渡る「天帝」を見てみては?
 綱の上で華麗に舞うか、綱から落っこちるかはあなた次第です。

天帝のはしたなき果実

講談社

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南野は「目玉親父」?

2007-05-12 00:43:10 | 雑記
妖怪はもうひとつのあなたの姿。あなたの妖怪を占おう。
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 ゲゲゲの鬼太郎妖怪占いによると、南野は目玉親父だそうです。
 人当たりはいい方だと思いますが、べつに親分肌じゃありません。
 それになんですか、短所。
 キレると手がつけられないとか、本気になるまで役立たずって。ぷんぷん。
 中村主水ですか、南野は?
 役立たずっていうのはともかく(認めるんかい?)、キレませんよ、南野は。よっぽどのことがないかぎり。

 占いの神様はまちがってます、きっと。


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