南の海のワナビ

小説家を目指す「南野海」の野望ははたして達成されるのか?

ガガガ賞受賞作「学園カゲキ!」

2007-05-27 12:23:34 | 読書
 ガガガでさっそうとデビューした山川進さんの「学園カゲキ!」を読み終わりましたので、これについてちょっと述べてみたいと思います。

 じつはこの作、スーパーダッシュ小説大賞の二次選考で落ちているのですが(タイトルもペンネームもそのまんまですから、まちがいないと思います)、その作品がガガガで賞を取ったということで、単純に作品のおもしろさ以外のところにも興味があります(南野も同じようなことをやって、ガガガでは一次落ちしたのでなおさらです)。

 とりあえず、読み進めてみると、すらすら読めます。
 ど派手なアクションやバトル、ややこしい設定などがない、明るく楽しい学園ラブコメディーって感じでしょうか?
 そう言えば、こういうファンタジー要素の全くない学園ラブコメって、マンガでは普通にありますけど(とくに一昔前)、ラノベではけっこうめずらしいかも。

 まあ、ラブコメとしては、キャラの設定とかかなりべたべたですが、とりあえず楽しく読み進めることができます。

 ところが、最後の方である事実が明らかにされます。
 やっぱり、こうきたのか? と思いました。
 けっこうヒントになりそうな複線を張っていてくれましたから。
 同時に、この作品がスーパーダッシュ小説大賞で予選落ちした理由がわかった気がしたのです。
 なにをえらそうにと、思われるかもしれませんが、あくまでも南野の仮説ですのでそのつもりで聞いてください。

 この作品には、ある仕掛けがほどこされています。
 読者をだますというか、驚かせるというか、まあ、本格ミステリーのトリックのようなものです。
 それがある映画と酷似しているのです。(作者が知っているかどうかは知りませんが)
 それはタイトルをばらせば、それだけで物語の構造がわかってしまい、ネタバレになってしまうのでタイトルはふせますが、それほどマイナーな映画ではありません。
 これはまずいだろうと思いました。
 もちろん、ストーリーなり、キャラなりが既存の作品と似てしまうのはよくあることですし、それだけでパクりと断定することはできません。
 部分的に似ていても、あるいは肉付けをそぎ落としたストーリーの骨格部分が同じでも作者が独自におもしろいものに仕上げれば、読者は文句を言いません(一部でパクりだパクりだとさわぐ人もいるかもしれませんが)。
 しかし本格ミステリーの場合、他作品のトリック(それもかなり有名なもの)をそのまま使えば、パクりと言われてもしょうがないでしょうし、すくなくともミステリーの新人賞でそれをやったら落ちるでしょう。
 「学園カゲキ!」の物語構造のそれは、本格ミステリーのそれに近いものがあると思うのです。
 途中まで表には出ず、水面下で進行していって、最後にそれを明かし読者を驚かせる。そういう類のものですから。
 そして、最後に明かされたとき、その仕掛けが既存のものとまったくいっしょであれば、読者は「パクりじゃん、これ?」と思っても仕方がないと思うのです。
 たとえ、それ以外の設定や、ストーリー進行が違っていても、どうしてもそう思ってしまいます。
 スーパーダッシュの下読みさんが、落としたのは、まちがいなくこれが原因だと思いますよ、南野は。

 では、ガガガの下読みさんなり、編集さんはそれに気づかなかったのか?
 そんなことは信じられません。
 たぶん、ガガガの方は、そういうことよりも全体的なおもしろさを優先したんだと思うのです。
 あるいは、そういうことを抜きにして考えた場合、それ以外の部分で才能があると判断したのかもしれません。
 実際、全体的にはかなりおもしろいものになっていると、南野も思います。

 ガガガとスーパーダッシュのどちらの判断が正しいのか、南野にはわかりません。
 それは作者が今後どんな作品を書いていくかによるのではないでしょうか?

学園カゲキ!

小学館

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