南の海のワナビ

小説家を目指す「南野海」の野望ははたして達成されるのか?

黄色いやつは三倍速い

2007-05-21 23:08:30 | カメラが好き
 アクセス解析を見ると、密かに人気のある「カメラが好き」のコーナー。
 ということで、きょうは水中撮影の話を。

 じつは水中撮影には水中ストロボが必要不可欠です。
 これは暗いからというより、これを使わないと、青みがかった写真になってしまうからです。
 まあ、それがねらいの時は無理してストロボをたく必要はないのですが、サンゴだの魚の鮮やかな色が欲しければ、ストロボの光が必要なわけです。

 じつはこの水中ストロボの世界、かつては実質二社の独占状態。
 すなわち、ニコンとSEA&SEAです。

 ニコンはいまさら説明の必要もないと思いますが、SEA&SEAとはいったいどういうメーカーなのか?
 まさに水中撮影機材専門のメーカーです。
 ニコノスよりも安い水中カメラを作り(今は生産終了になったみたいです)、さらにいろんなカメラのハウジング(耐圧水中ケース)をそろえた水中カメラマン御用達の一大メーカーになったわけですが、南野が水中写真をはじめた当初、ニコンの作る水中撮影機材の補助的なメーカーというイメージがつきまとっていました。

 だから南野もとうぜんのように、ニコン純正がえらい。と思ってました。
 ニコノスといっしょに買ったストロボがSEA&SEA制だったのは、たんにそっちの方が安かったからです。

 ところがです。ある日、友達にニコンの純正ストロボを借りたことがあります。
 NIKON SB102という馬鹿でかい赤いやつ。
 でかいだけあって、ハイパワーかつ、照射角が広いという優れもの。
 ところが使ってみて、まず感じたことは……。
 チャージが遅え!ということです。
 チャージとは、つまり一度ストロボをたいたあと、次の発光に必要なパワーを溜めること。
 これが終わる前にシャッターを切っても、ストロボは光りません。
 つまり、連写に向いていないのです。
 しかもストロボが馬鹿でかい上、アームが折りたためず、かさばるし、ライティングの自由がききません。
 その点、SEA&SEAのストロボはアームが自在に動くし、チャージが速い。
 「ひょっとして、SEA&SEAのストロボって、えらい?」
 南野がこう思ったのは、このときが最初です。

 やがて15ミリのレンズを買い、照射角が広いストロボが欲しくなりました。
 ここで南野が選んだのは、ニコンの純正ではなく、SEA&SEAのYS-200。馬鹿でかい黄色いやつです。
 こいつは、すごいやつでしたぜ、旦那。チャージがニコンの三倍速い。いや、もっとかも。
 バシバシ撮るにはもってこいです。
 もっとも欠点もありました。オートがききません。まさにただ光るだけ。
 ただ、それはすぐに慣れました。どっちにしろニコノスのオートは不完全なものですし、それならフルマニュアルで撮ってもさほど手間はかかりません。っていうか、被写体との距離はだいたいいっしょですから、あとは絞りに応じてフル発光かハーフ発光か選ぶだけ。それは一回テスト撮影すればだいたいわかってしまいます。

 こうして南野の中では、「SEA&SEAはえらい」は確定しました。

 もっともレンズだけは、「ニコン純正はさすがだぜ」という思いは消えませんでしたけど。

 もっともニコンが水中撮影機材から手を引いてしまって、今はまさに「SEA&SEAえらい」状態なのかもしれませんが。
 だけど、知らない間に、水中写真はハウジングにデジタル一眼レフを入れて、フルオートで撮るのがあたりまえの時代になってしまったんですね。

水中デジカメデビューブック―ダイビングライフをもっと楽しく!!

水中造形センター

このアイテムの詳細を見る





ブログランキングに一票お願いします
  ↓ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サンニッパってかっこいい!

2007-05-06 14:15:37 | カメラが好き
 南野はニコンF4などという高いカメラを使って、水中写真以外、なにを撮るかというと、ほとんどなにも撮りません。
 たまに風景を撮るくらいです。それも旅行に行ったとき、ついでに。
 ただ、南野とて、たまにはこんなことを思うこともありました。
 「ひょっとして、こんなお魚だの、風景だのを撮っている場合じゃないんじゃないか? やはり、こんなカメラを持ってるなら、かわいい女の子を……」
 そうです。このカメラを使えば、雑誌のグラビアに載っている女の子の写真並みのものを撮ることも可能なのでは?(撮影の腕は? とりあえずおいときます)
 手持ちのレンズで女の子を撮るなら、なんだ?
 16ミリ対角線魚眼。絶対無理。女の子の顔もプロポーションもゆがんじゃいます。
 じゃあ、28ミリは?
 無難だけど、南野の腕じゃただのスナップ写真になります。
 60ミリマクロ。
 顔のアップでも撮るんならいいかもね。
 こんなにカメラに金をかけてるのに、女の子を撮るレンズひとつないのか?
 ちなみにグラビアアイドルを撮ってるレンズはどんなものが多いのか?
 望遠レンズです。それも解放F値が22だの11だのといった暗いレンズではなく、2.8とかの。
 たとえば、サンニッパ。
 これは解放F値が2.8の300ミリレンズってことです。
 F値が小さくなればなるほど、暗い場所でも撮れます。
 その分、レンズは馬鹿でかくなり、値段も天井登り。
 「なんで女の子を撮るのに、そんなレンズがいるんだ? 暗い場所で隠し撮りでもするのか?」
 そう思われた方もいるかもしれませんが、べつに盗撮のために使うわけじゃありません。
 そういうレンズを使った方が、バックがふんわりぼけるんです。
 アイドルの写真集とかをよく観察したことのある人はわかるでしょうが、背景がふんわりときれいにぼけている方が、人物が引き立ちますよね。
 あるいは、目だけがシャープにピントが合っていて、他の体の部分が微妙にぼけていると、なんかみょうにかっこよかったりします。

 ただ、このレンズ、馬鹿でかいです。
 スポーツの試合なんかでよく見る、大砲みたいなやつです(スポーツの場合、もっと長いレンズを使ってる場合もあると思いますけど)。
 こんなレンズを使えば、撮る方も撮られる方も気合いが入るってもんです。
 撮る方「うおおお。こんなレンズを振りまわして写真とってる俺ってかっこいい。まるでプロだぜ」
 撮られる方「ああ、この人って本気なんだわ。そんなにあたしのことを撮りたいの? じゃ、じゃあ……ちょっとくらいなら、撮らせてあげてもよくってよ」
 ひょっとして恋が芽生えるかもしれません。
 なのに、南野がこのレンズに手を出さなかったのは、めちゃくちゃ高いということもありますが、結局、撮るものがないからです。
 え、今まで語ってた女の子を撮る話はどうなったかって?
 モデルになってくれるような女の子がいないんですよ。
 もしなってくれそうなかわいい女の子がいれば、無理してでも買ったかもしれません。
 でもそんな当てはまったくありませんでした。
 まあ、南野には野鳥を撮る趣味はありませんから、そんなレンズを無理して買っても他に使い道はありません。
 水中じゃまったくなんの役にも立たないレンズですから。
 なにせ、水中では水というものがありますから、いくら透明度がよくてもあまり遠いものは撮りません。なるべく被写体に近づくのが基本中の基本です。
 サンニッパなんて、至近距離ではピント合いませんから。
 おまけにあんな馬鹿でかいレンズ、ハウジングには入りません。
 もし特注で作ったら、ものすごく馬鹿でかく、糞重く、なおかつバランスが最悪で、値段はどれくらい高く付くか見当が付きません。
 おまけにもし水没でもすれば、一財産ふっとびます。

 南野が、どんなにかっこいいと思っていても、サンニッパを持っていないのはそういうわけです。


ブログランキングに一票お願いします
  ↓ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水中フォトグラファーは両極端に走る

2007-05-05 16:00:06 | カメラが好き
 過去、なにげなく書いたニコノスやらF4やらの記事が定期的に検索にかかるので、調子にのってニューカテゴリー「カメラが好き」というのを作ってしまいました。
 その記念に、きょうは水中写真に関する記事を。

 ダイバー、とくに水中カメラマンたちにとっては常識であることも、世間一般ではまったく知られてない、なんてことは多々あること。
 たとえば、水中カメラマンたちは(アマチュアふくむ)高い器材を買って、いったいどんなものを撮影しているのでしょうか?

 魚? ダイバー? 景色?

 そう思われた方はいい勘してます。まあ、だいたいそんなものでしょう。
 水中カメラ初心者も、だいたい漠然とそんなものを撮ろうと、水中写真をはじめます。
 そこで選ぶのが、かつてならニコノスの20ミリレンズ。これはダイバーや、すこし大きめの魚を撮るのに適してますし、風景もそれなりに撮れます。
 最近ならいきなりハウジングの人も多いでしょうが、その場合も28ミリから20ミリくらいの間のレンズからはじめる人が多いんじゃないでしょうか? 理由はニコノスの時とほぼ同じです。

 ところがいざはじめて、水中写真に嵌ると、それじゃあもの足りなくなってしまいます。
 たとえば、とにかく魚を撮りたい。しかもかわいい魚がいいな。
 とか思い出すと、さあ大変。
 ちっちゃくて、きれいで、かわいい魚ばっかり撮りたくなります。
 そうすると、もう選択肢は、一眼レフにハウジング、それにマクロレンズしかなくなります。
 それでも60ミリマクロくらいなら、その気になれば、ちょっと大きめの魚とか、ダイバーとか(全身はちょっときついけど)も撮れます。
 ただ、このあたりまで来ると、マクロ派フォトグラファーはそんなものはどうでもよくなってきます。
 おれぁ、そんなものより、ハタタテハゼのペアを画面いっぱいに撮りたいんじゃ。
 たとえば、そう思ったとしましょう。その場合、60ミリじゃきつい。もちろん、近くまで寄れれば撮れるんですが、相手だってわけのわからん機械持ったダイバーがすりすりと近づいてくれば、逃げるに決まってます。ハタタテハゼなら砂の中に潜ってしまうでしょう。
  60ミリ? そんな半端はレンズじゃいかん。男ならやっぱり100ミリマクロじゃあ!
 こうして小さいものを写真に撮る以外は興味がない、マクロ派フォトダイバーのできあがり。
 こうして彼は、ニシキテグリだの、カニハゼだの、キンチャクガニだの小さくてかわいくて変でめずらしいやつをもとめて、世界中の海を駆けめぐるのです。


 一方、ワイド派フォトグラファーという人種がいます。
 これは大魚群を画面いっぱいに収めたり、マンタのような大物をぐわっと撮ったり、あるいは画面いっぱいに広がる珊瑚礁や真っ白い砂地などを画面に収めることにエクスタシーを感じる人たちです。
 南野はまさにこれです。
 こういうひとたちはすぐに20ミリくらいのレンズじゃもの足りなくなります。
 そしてまずほしがるのが、ニコノスと15ミリレンズの組み合わせ(これが高いんだ、また)。
 これがあれば、珊瑚礁も、マンタも、ギンガメアジの群れもばっちりです。逆に近場の伊豆あたりじゃあまり出番がありません(水の透明度悪いし、でっかい魚もあまりいない)。
 こういう人たちに対する最後の誘惑が、対角線魚眼。通称フィッシュアイレンズ。
 すごい。こいつぁ、すごいぜ。なにしろ、対角線方向には視野が180度あるんですから。もうワイドなんてもんじゃありませんぜ、旦那。
 ただしこいつを使うには、ドームポート付きのハウジングと一眼レフを使うしかありません。
 南野がF4とアクアティカを買ったのはまさにそのため。こいつが南野から湯水のように金を搾り取るのは、前に書いたとおりです。
 ただしこいつをつけて覗くファインダーの中は別世界。
 なにしろ、油断してると、ストロボが画面に映り込んじゃうくらいです。
 珊瑚礁だろうと、ドロップオフだろうと、砂地だろうと、どど~んと、ど迫力で映しこんじゃいます。
 いったんこの味を知ってしまうと、もう麻薬のよう。
 それにおさまる広大な風景や、魚群、大物を求めて、やはり世界中の海をさまようのです。

 なんか話聞いてるとイメージ違うね。ダイバーってもっとおしゃれな人たちかと思ってた。
 そう思った方、それは大いなるかんちがいです。

 で、でも、それじゃあ、まるで……オタク?

 そうです。ダイバーはオタクです。一部のちゃらちゃらしたのもいますが、それはむしろ少数派。大多数はオタクです。それもかなり重度でレアな。
 だってそうでしょう? 何百という魚の名前を知っていて、そいつを撮るにはどんなところにいって、どんな器材で撮影すればいいか熟知している人間。しかもそれをじっさいに行動に移す行動力。そのためにはいくらでも金をつぎ込む壊れた価値観。

 なんか、オタクっていうより、すこし頭のおかしい人のような気がしてきた(しょぼ~ん)。
 ええ、とにかくダイバーってそんなひとたちですから、おしゃれでかっこいい人だなんてくれぐれもかんちがいしないように。



ブログランキングに一票お願いします
  ↓ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スーパーツンデレ娘、アクアティカ

2007-04-23 23:39:34 | カメラが好き
 南野は、清水の舞台から飛びおりるつもりで大枚はたいて買ったF4を水中で使えるようにするため、ハウジングを買わねばなりませんでした。
 しかし、そこでまた、激しい出費が……。
 水中写真撮影はなんてお金を浪費する趣味なんでしょう。
 当時、あまり選択肢はなく、F4を海に入れるとなると、やっぱりアクアティカだろう。と、どえりゃあ、高えハウジングを買わざるを得ませんでした。
 しかもそれだけを買えばいいってもんでもありません。
 まず、アクションファインダー。
 ニコンF4のよいところは、ファインダーを交換できると言うことです。水中撮影の場合、そのアクションファインダーという馬鹿でかい視野を確保してくれるファインダーを買う必要があります(べつに買わなくてもいいんだけど、これを使わないと、わざわざF4を使う意味がない)。
 なぜなら、ダイビング中はマスクをしているため、目がファインダーからかなり離れてしまうのです。普通のファインダーだと四隅がよく見えません。だけどこのファインダーを使うと、四隅がばっちりみえる上、ファインダー自体がでかいために、ピント合わせが楽。
 さらに裏蓋を、データパックという、液晶デジタル表示のものに変えました。
 なぜなら、これを付けないと、シャッタースピードやら絞りやら、フィルム残量やらがよくわからないからです。
 ストロボはニコノスで使ってたやつをそのまま使うとして、それを取りつけるためのアームも必要でした。
 ほんと金食い虫です、こいつ。
 で、セットした状態で、どんな格好になるかというと、ボディ自体はほとんど弁当箱。それもドカベンです。
 そこにドームポートというまさに透明な球をまっぷたつにしたようなドームがレンズの前についてます。直径にして二十センチくらい。巨大な一つ目お化けです。
 さらに両脇にはグリップが。こいつはニコノスと違って、両手でがっちりホールドしないと使えたもんじゃありません。
 さらにグリップの先端にはストロボをつないだストロボアームが両サイドから。
 あるダイビングサービスの人はこれを見て、かに道楽と呼びました。
 南野もちょっとだけ、そんな気がします。
 それでも、こいつを両手にがっちりと持つと、すげえ、俺ってまるでプロカメラマンだぜ。と思うことまちがいなし。
 そのかわり、ずっしりと重い。半端じゃなく重い。
 水中じゃ浮力のせいで重くはないですが、陸上での移動の時は大変です。しかも簡単に人には渡せない。なぜなら、ドームポートはとっても傷つきやすいから。
 そう、まるで乙女の柔肌です。
 だから南野は、自分の部屋からダイビングボートまでけっして人任せにすることはしません。車に乗るときも、そこらにおっぽったりせず、膝の上にかかえるのはとうぜんのことです。
 ボートに置くときも、もちろん、ドームポートが上に来るように置き、他のダイバーがその上になにかを置いたりしないように見張ってなくてはいけません。
 なんか俺、カメラに使われてないか?
 そんなことを思うこともありましたが、きっと気のせいに違いありません。
 そんなこんなで、陸上ではわがままざんまいで、南野をいじめるアクアティカも、水中に入れば本領発揮。
 ファインダーを覗けば、また違った世界がそこに広がっていて、ダイビングを二倍楽しめてしまうのです。いや、上がったあと、現像することを考えると、まさに三倍も四倍も楽しめます。それこそが水中写真の醍醐味。
 こいつがなかったら、南野のダイビングライフはもっと味気ないものになっていたでしょう。
 もっとも水中でも欠点がないわけじゃありません。
 シャッターが固い、というかスプリングが強すぎ。
 シャッターを半押ししてると指がつかれてくるくらいです。
 あの、F4の羽根のように軽いシャッター感はどこにいってしまったのでしょう。
 しかし怒ってはいけません。きっとこいつはF4に嫉妬してるんです。南野がF4の軽くて優しいシャッターに惚れ込んでいることを知ってるので、意地悪してるのです。
 しょうがありません。なにしろ、このアクアティカはF4以上のスーパーツンデレ娘なんですから。
 きっとこの娘はこう言いたいのでしょう。
「いい? あたしを傷つけたら承知しないんだから。人にあずけるなんてもってのほかよ。重い? なに軟弱なこと言ってんの、それでも男なの? シャッターが固い? はん、それくらい根性で克服しなさいよ。え? いい写真が撮れた? ふん、よかったじゃない。だけど、それはあたしのおかげだっていうのを忘れないでよね」
 どうです、みなさん。こんな娘とつき合ってみる気はありますか?


ブログランキングに一票お願いします
  ↓ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニコンF4の思い出

2007-04-23 00:24:38 | カメラが好き
 最近でこそ、ほとんどカメラをいじってませんが、南野はじつはカメラが大好き。
 前に、水中カメラのニコノスのことを書きましたが、一眼レフカメラだって大好きです。ちょっと前なら、せっせとあちこちに出かけては、水中写真とともに、陸上の風景写真なども撮っていたのに、最近ときたらもう、すっかり出不精(金もないし)。
 今はもう、カメラ=デジカメって感じになっちゃいましたが、南野が夢中になってたころは、フィルムを入れるのがあたりまえ。デジカメなんてものはなかったか、あってもちっとも実用レベルじゃなかったりしました。
 んで、当時、カメラ業界でしのぎを削っていたのが、ニコンとキャノン、それにミノルタでした。
 ミノルタはオートフォーカスとともに急速に発展してきたメーカーで、ニコンやキャノンが、俺はプロ仕様だぞ、えらいんだぞ。と言ってるときに(いや、ほんとうにそういってたわけじゃありませんが)、素人向けのカメラを売り出して、一気にシェアを伸ばしてきたわけです。
 そんなことを書くと、ニコンやキャノンに批判的なように聞こえますが、南野が一番お世話になったメーカーはニコンです。キャノンも嫌いじゃありません。
 キャノンはどちらかといえば、おしゃれで、先進的。新しいもの好きなイメージ。
 ファインダーを覗いた目の動きに応じて、オートフォーカスの位置を変えたり、超音波を使って駆動するレンズ内蔵のオートフォーカスなど、とにかくそういうのが好き。そういう、新しいことをやるためか、オートフォーカスに移行するときには、レンズマウントの径を変え、古いレンズが使えなくなりました。
 それに対して、ちょっと待てえ。古いユーザーは新しいレンズを使えないのか、こんこんちきめが?という態度を通したのが、ニコンでした。
 そう、ニコンは頑固で保守的。デザインだって、おしゃれなキャノンに比べて無骨なイメージ。
 でも、南野はそんなニコンが好きでした(べつに今だって嫌いじゃないですけど)。
 当時持っていたカメラは、ニコンのF3。まあ、ささやかな贅沢ってやつです。
 見てくれは、ごく普通のカメラ。四角くて、黒くて、せいぜい、紅い一本線がおしゃれ! ってくらいです。
 モータードライブをつけると、妙に縦に長くなった上に、ごつごつして、まさにプロの使う道具って感じ。そしてシャッター音がいい。
 バシャア、バシャア、バシャア!
 なんとも荒々しく、官能的ですらある音が、心地よく耳にひびくのでございます。
 このシャッター音の聞かされると、美人モデルは妙な気分になって、「ああ、あたしどうなってもいいわ」と服を脱ぎ出すことは間違いありません(まったくなにを言ってんだか、このおっさんは)。
 ある日、南野は新しく出るニコンF4の写真を見ました。
 な、なんじゃ、こりゃああ?
 それが偽らざる感想です。
 ニコンのくせに、四角くない。みょうにカーブがかかったボディ。
 そのくせ、なぜか軟弱なイメージがありません。おしゃれって感じでもないです。
 だって、でかい上に、ダイヤルやらなにやらがみょうにごてごてと上の部分で自己主張してたからです。
 そう、ニコンF4とは、最新のオートフォーカスやらなにやらを搭載しているくせに、シャッタースピードは頑固に、つまみを回して決める。しかもそれがでかい。さらにファインダーの横にもなにやらへんなダイヤルが付いているようなカメラだったのです。
 南野の「なんじゃこりゃあ」はあっという間に、「かっこいいぜ、これ」に変わってしまいました。
 そして、いざカメラ屋で実物にさわるチャンスがやってきました。
 持ってみると、たしかにでかくて重い。でもグリップ感は上々。
「シャッター音はどうなんだろうか?」
 南野にとってシャッター音はとても重要です。だって、がっせい音しか出せないんじゃ、シャッター切るたびにがっかりするじゃないですか?
 ちょっとどきどきしながら、シャッターを切ります。
 ぱしゃあ。
 はわわわ、なにこれ? 優しい。優しすぎる。
 そう、F4は無骨な外見に似合わない、優しくエレガントな声を発するカメラだったのです。
 よくよく見てみれば、このカメラ、ごついだけじゃなくて官能的な曲線をしてるじゃないですか。
 「あんたなんかにあたしを使いこなせるの?」とでも言いたげなボディのくせに、いざシャッターを押すと、優しく甘えるカメラ。

 ツンデレだ。いまでいうツンデレですよ、このカメラ!

 南野が夢中になったのは言うまでもありません。
 そして、ハウジングという水中に入れるケースとともに、南野の水中写真のオトモとなりました。
 そして、はじめてF4を入れたハウジングが、アクアティカというカナダ製。
 そしてこいつがまた、とんでもない代物だったのです。

 つづく


ブログランキングに一票お願いします
  ↓ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今どきレアな水中カメラ、ニコノスV

2007-03-16 15:49:13 | カメラが好き
 きょうはちょっと変わったところで、南野の趣味である水中写真について書いてみます。
 今、カメラといえばデジカメがあたりまえという時代になってきました。しかも撮影に関してはオートフォーカスやAE(自動露出)があたりまえ。まさに撮る人は構図を極めてシャッターを押すだけって感じです。しかも撮った写真はパソコンで加工できる。
 これは水中写真の世界にも入ってきていて、デジカメをハウジング(防水耐圧ケース)に入れて、撮影するのがだんだん普通になってきました。

 そこで南野が長年愛用しているカメラについてちょっと紹介させていただきましょう。
 その名もニコノスV。かつては水中カメラの代名詞のような存在でした。
 プロもアマチュアも、このカメラでばんばん撮っていた時代があったんです。

 しかしこのカメラ、今の価値観で言えばとんでもない代物です。
 まず、フィルム式カメラであること。まあ、これはさほど驚くに値しないですよね。もともと古いカメラですし。
 さらにフィルムの巻き上げが、モーターではなく手巻きであること。まあ、これもちょっと古いカメラを知っている人なら、許容範囲でしょう。
 ただしこっからはすごいですよ。

 一眼レフではなく、距離は目測であわす。

 目測、なにそれ? という方のために説明すると、被写体が一メートル先にあると思えば、距離のつまみを一メートルにあわせて撮影するってことです。
 しかも一眼レフではないので、レンズとファインダーの画像が連動していません。近くに寄れば寄るほど、レンズに映る絵と、ファインダーの画像がずれ込み、それを補整するのは勘です。もちろんピントを目で確認することもできません。
 さらに水中撮影ではストロボ撮影が普通ですが、ストロボを撮影するとき、露出はストロボの当たる部分に関してはオート機能が働きますが、バックに関してはマニュアルで合わせないとといけません。シャッタースピードがシンクロしないんです。

 最新のフルオートカメラに慣れている人には、なにを言っているか意味不明かもしれませんが、とにかくそういうカメラなんです。

 まあ、話を聞いただけで使いづらそうなカメラじゃありませんか。
 ところがじっさい使ってみると、そうでもありません。
 だってピントを合わせるのに困るだろうって?
 距離をあらかじめ一メートルくらいのところに合わせておいて、被写体にそれくらい寄ったときに、シャッターを切ればいいのです。多少の違いは、被写界深度というものでカバーできますから。とくにワイド系のレンズを使えばほとんどピントに気を使うことはありません。(それを説明するには専門的になる上、長いので省略します)
 慣れればそれでばしばし撮りまくれます。下手にオートフォーカスに頼ってると、被写体が真ん中にないときはフォーカスロックしなくちゃならないし(一瞬のシャッターチャンスにそんなことしてられない)、暗いとオートフォーカスが迷って、シャッターが切れなくなったりします。
 さらに一眼レフを入れたハウジングがでかくて重いのに対して、ニコノスは軽くて小さい。流れがあるところでもらっくらく。
 被写体が動き回っていようが、暗かろうが、水が濁ってようが、とりあえず押せばシャッターは切れますし、ふりまわすにも楽。

 泳ぎ回る大きな魚や、魚群を撮るには最適なカメラです。

 そう思うのは南野だけではなく、いまだにニコノスを使っている人は少なくないはず。
 とはいうものの、水中撮影自体マイナーな趣味ですし、その中でもさらにマイナーなニコノスは、やっぱり時代遅れなレアものカメラなんでしょうね。



ブログランキングに一票お願いします
  ↓ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする