南の海のワナビ

小説家を目指す「南野海」の野望ははたして達成されるのか?

歌舞伎町で工事

2007-03-31 19:20:37 | 南野監督の建築現場奮闘記
 このブログの方向性からずれるので、今まで触れずに来たのですが、たまにはこういう話を書くのもいいかと思って、ちょっと建築の話をします。
 前にも書いたかもしれませんが、南野、大学を卒業したあとは、ゼネコンで現場監督して働いてました。一級建築士じゃありませんが、一級建築施工管理技師という長ったらしい名前の資格は持ってます。
 それでいろんな建物の施工に携わってきたわけですが、きょうは興味を惹きやすい歌舞伎町での仕事を紹介してみましょう(もう、だいぶ前の話ですが)。
 いやあ、この現場いろんなことがありましたよ。
 場所としてはコマ劇場のすぐ近くなんですが、狭い敷地にけっこう背の高い店舗ビルを建てました。

 当時、この界隈には客引き連中がわんさかいました。

 まあ、そういった連中と本格的にもめることはありませんでしたけど、やっぱりやりづらかったですねぇ。

 この現場、最初の難関は山止めの杭を打ったときですね。
 要は地面を掘っても周囲がくずれないように、鉄骨を一メートルおきくらいに打ち込んでいくんです。あとは鉄骨と鉄骨の間に板を入れながら掘ってくわけですよ。
 それで、重機を入れて、ドリルのようなもので細長い穴を掘っていき、その中に鉄骨を入れて一メートル分くらいは打ち込むんですが、ちょうどそのとき、コマ劇場で某大物歌手が公演をやってまして、打ち込む音がうるさいと関係者が怒鳴り込んできました。
 それで公演時間を外して打ち込み作業をせざるを得ませんでした。

 さらにはその作業のあとさらなる大問題が。基礎工事のために掘削工事(根切りという)をしていると、なんととなりの敷地の基礎がこっちの敷地にはみ出してたんです。

 いや、冗談じゃないんです。ほんとのことなんですよ。

 しかも敷地ぎりぎりに建てる建物なもんで、そのままじゃこっちの躯体(コンクリート構造体)に入ってしまうんです。

 はつりましたよ、それ。

 いや、もちろん作業自体は作業員がやるんですが、基礎を機械でがんがん叩くわけですから、とうぜんとなりのビルは地震でも来たかのような振動がするわけです。
 当時、そこにあったのはファッションヘルス。

 とうぜん、そこのオーナーが怒鳴り込みにきます。

「知るか、ぼけ。建物はみ出してるそっちが悪いんじゃ」

 と、言いたいところですが、業種にかかわらず近隣には頭の上がらないのが、建築業者。まあ、その辺は所長がうまく話をつけたようですが、こちとら現場に張りつきっぱなしの下っ端でしたから、まっさきに文句を言われます。
 もっともその建物、もう壊すことが決まってたんで、その業者も早々と出て行きましたけど、出て行ったとき、ゴミを内の現場に投げすてて行きやがるんです。

 まあ、気持ちはわかりますけどね。Hなことしてるとき、壁ががんがん振動したんじゃ、商売あがったりです。
 他にもいろいろありましたよ。

 そう言えば、酔っぱらいが乱入してきたこともありましたね。

 もう歌舞伎町だからしかたないというか、もう、勘弁してほしいですよ。

 おまけにこのころは、日曜日にも仕事にかり出されることはしょっちゅうでしたし。いやあ、とんでもない仕事を選んだと後悔しましたね。

 この建物、今も建ってるんで、たまに新宿に行くとながめちゃいますよ。
 今にしてみれば、よくこんなところで仕事したなって、自分に感心してしまいます。


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海の中で一番美しい色はブルー

2007-03-30 15:47:19 | 雑記
 たまにはペンネームの「南野海」にちなんで、海の話をしようかなと思います。
 海の中にはいろんな色があふれています。これは南の海であればなおさらそうですが、伊豆あたりの海にだってカラフルな色はそこら中にあります。
 魚の色ってさまざまですから。
 オレンジやピンク、ブルー、そんな色の魚であふれていますし、沖縄あたりまで行けば、それにサンゴの色なんかも加わりますし、魚の色もさらに華やかになってきます。
 もちろん、そういうあざやかな色彩もダイバーたちの心をときめかせます。

 ただ、もし南野が海の中の色で一番好きな色を上げろと言われれば、
 やはりそれは海それ自体の色、ブルーでしょう。

 もちろん、海の青といったところで、千差万別。場所や時期、さらにはどういう角度から見るかとかによってさまざまに変化します。
 伊豆あたりでは濁っていることもめずらしくありません。その場合、すんだ青というより、場合によっては緑、ときにはすこし茶色っぽいときすらあります。
 だからこそ、たまたま透き通ったブルーの海に出くわすと、たまらなく嬉しかったりします。
 魚やサンゴの色はいつでも変わりませんが、海の色だけはその日行ってみないとわかりません。当たりだったときはそれだけで嬉しくなったりします。
 沖縄あたりだと、外れが少なく、だいたいブルーな海に出会えます。
 それでも、やはり、すこし濁りが入っているときと、すみ切っているときでは、青の質感がちがいます。
 さらに大きな要因になるのが天気の良さ。雨や曇りの日は、いくら海が澄み切っていても、暗くなってしまい、輝く感じが失われてしまうのです。

 もし、いつもにまして、すみ切った海の中、真夏の太陽がぎらぎらと照らしつけているならば、気分は最高。
 上を見上げれば、真っ白な太陽の輝きが見え、そのまわりにはコバルトブルーの海が広がり、太陽から遠ざかるにつれて、じょじょに色が濃くなっていくのです。そして視線を下の方に移動していくと、美しい青は深みを持った藍色に変化していく。そんな中をふわふわと漂うように泳いでいると、それだけで幸せになります。
 もう、魚なんか見なくてもいい。
 このまま、海の青に溶けていきたい。

 そう感じられるような海に潜れれば、ダイバー冥利に尽きるってもんです。


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がんばれ「二挺拳銃お姫様」

2007-03-29 20:16:31 | 作家への道
 木曜日、恒例のジグザグランキング更新です。
 今週の「二挺拳銃お姫様」は総合、ただ読みNET単独とも、10位。前回とほぼいっしょ。
 う~ん。個人的にはもうちょっと上でもいいんじゃないかと思ってますが。
 なかなか苦戦してます。

 と言うわけで、皆さん応援よろしくお願いします。

 次週より、いよいよ、サウスランド一家との超絶バトルが開始します。(先週もそんなこと言ってましたけど、今週は前振りで終わってしまいました。いや、ごめんなさい、かんちがいしてました。今週は千姫とジルのキャットファイト肉弾戦で我慢してください)
 お楽しみに。

 ジグザグランキングキングはこちらから
 http://zigzagbooks.jp/novels/ranking.html

 電子書店パピレス内のただ読みNETからもいけます。
 http://www.tadayomi.net/light/

 いずれも無料で読めます。
 毎週、更新ごとにひとり一票だけ有効です。

 ちなみに次週は、『役者』のジョニー対ジルの死闘勃発。





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超絶名探偵は誰だ?(6)

2007-03-28 23:13:29 | 読書
 メフィスト賞は、南野自身、何度か挑戦してやぶれた賞ですが、この賞の発端がそもそも伝説に彩られています。

 なんでも京極夏彦さんが会社勤めをしていたころ、同僚よりも仕事が速く終わるので、空いた時間に小説を書き、完成すると長すぎて出せる新人賞がなかったそうです。それで講談社に「持ち込みって受け付けてるんですか?」と聞くと、「返事、半年くらいかかるけどいい?」と言われ、いざ送ると、三日後には「ぜひうちで出版させてください」と言われたとか。そして出版すれば大ヒット。それで気をよくした講談社が創立したのがメフィスト賞とか。

 まあ、ワナビが聞けば、「ふざけんじゃねえ」と嫉妬で石投げたくなる話ですよ。

 こうして出された「姑獲鳥の夏」に出てくる探偵は、中禅寺秋彦。
 和服姿で蘊蓄を垂れ流し、普段売れない古本屋の店主でありながら、裏では拝み屋をやっているという変わり種。
 しかも事件の解決方法は、たんに推理で犯人を当てると言うよりも、まさにお払い。相手の心に巣くっている呪い(というか、強い思いこみか、洗脳に近いもの)を解体してしまうというもの。
 きわめて個性的というか前代未聞の名探偵です。もっとも本人は自分は探偵なんかじゃないと思っているようですが。
 さらにこのシリーズには、推理なんかしないけど真相に到達する名探偵、榎木津礼二郎や、強面の刑事、木場修太郎、鬱病気味の小説家、関口巽など、キャラの立ちまくった面子が大活躍。
 まあ、人気が出るわけですよ。
 で、事件の方は、デビュー作をふくめ、え? これってありなの?っていうトリックてんこ盛り。
 最初はぽか~んとするかもしれませんが、二作目からはだいじょうぶ。
 これはこういうジャンルなんだ。と思えばあとは物語を楽しむだけ。(あ、いや、けっしてけなしてるわけじゃないですよ。ほんとおもしろいんですから)

 そして勢いに乗った講談社は、メフィスト賞でつぎつぎにヒット作を出していくわけですが、やはり名探偵というテーマにしぼった場合、どうして語らないわけにはいかないのはこの人でしょう。
 その名は清涼院流水。
 この人、なんとJDC(日本探偵倶楽部)なる架空の組織を作り出し、膨大な数の名探偵を在籍させるばかりか、そのいずれもが超個性的。
 そもそも実力に応じて班分けされ、その中の第一班に所属する名探偵たちはそれこそ神のごとき推理力を発揮します。
 いやあ、この人のメフィスト賞でのデビュー作、「コズミック」を手に取ったときはほんとうにびっくりしました。なにせ、中に入ってるしおりに、探偵の名前がずらずらと書かれてあるんです。それもその推理方法がまるで必殺技かなんかのように。
 完全に意表をつかれましたね。今までこんなことを考える人は誰もいませんでしたから。
 もう、完全に「リングにかけろ」の世界ですよ。必殺技の名前を叫べば、相手が飛んでいく代わりに、必殺推理を使えば、どんな事件も解決してしまうみたいな。
 まあ、こんなですから、この人が出たときは、もう賛否両論だったみたいです。
 けなす人はそれこそ、ぼろくそにけなしましたね。
 なにしろ、この特異な設定だけじゃなくて、「コズミック」のトリックもまた、なんじゃこりゃあ?の世界ですから。
 ただ、南野はこの人、本気で天才なんじゃないかと思っています。
 だって常人の発想じゃないですもん。良くも悪くも。
 そして「ジョーカー」「カーニバル」と続くにつれ、この人の暴走はとまりません。とくに「カーニバル」シリーズは、もはやミステリーですらなくなってしまいます。なんというか、もはや人類の存続をかけた戦いですよ。完全にSFの領域です。
 もう、どんな不思議なことが起ころうと、まじめに推理しようとか思いません。
 だってそういう世界なんですから。

 メフィスト賞はこのあとも変わったミステリーを量産していきますが、それでもこの人の作品群と比べるとどうしても普通に見えてしまいます。
 それでもメフィスト賞作家に関しては、他にも語りたい人はいるのですが、それは別の機会にして、そろそろ超絶名探偵は誰だ? の話はいったん終わりたいと思います。

文庫版 姑獲鳥の夏

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コズミック流

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超絶名探偵は誰だ?(5)

2007-03-27 23:07:44 | 読書
 さて、最近のミステリーの話をしようと思えば、どうしても綾辻行人は外せません。前回の記事で書いた島田荘司御大の後押しがあったとはいえ、本格ミステリーが低迷していた時期に、彗星のように現れ、新本格ブームを打ち立てた立役者なのですから。
 南野にしたところで、この人のデビュー作「十角館の殺人」を読んで、忘れていたミステリーを読む楽しみを思い出してしまいました。(島田御大の作品を読み始めたのはそのあと)
 いやあ、衝撃的でしたねぇ、「十角館の殺人」。
 いや、これを読んだのはほんとたまたまだったんですよ。会社勤めしてたとき、南野しばらくの間フィリピンで勤務してたんですが(はじめて明かす衝撃の真実)、そのとき同僚が持っていた本がこれだったんです。ただでさえ日本の本を読む機会が少なかったので、借りて読んだらめちゃくちゃおもしろかったわけです。
 そのときには、いわゆる新本格ムーブメントがどうとか、そういうことはぜんぜん知らず(なにせフィリピンにいましたから)、ただただ、そう言えば、こういう小説しばらく読んでなかったなぁ。と懐かしみ、なおかつ感激したわけです。
 これ、ストーリーとしては、クリスティの「そして誰もいなくなった」とほぼ同じような展開ですが、それは本人もとうぜん意識しているはずです。

 つまり、孤島の中にある一軒家で、つぎつぎに人が殺されていく。というありがちな話。

 個人的には、本家の「そして誰もいなくなった」よりもずっと面白いと思います。
 クライマックスのあの台詞には、思わず「え?」と叫んで、もう一度文章を確認した記憶があります。
 で、この小説に出てくる探偵役ですが、島田潔と言いまして、はっきり言ってあまり特徴がありません。べつに特別かっこいいわけでもなく、権威があるわけでもなく(っていうか、初登場時は今で言うニートじゃなかったでしたっけ? のちにミステリー作家になります)、性格もおだやかで常識的。
 っていうか、よく考えたらこの人、この作品ではぜんぜん探偵役やってません。
 いや、よくよく考えたら、そもそも事件現場にいませんでしたよ、この人。
 そう考えたら、この人ぜんぜん名探偵じゃないですよ。この作品においては。(いや、そう考えると、ものすごく新しいパターンですね)
 島田潔が名探偵として活躍するのは第二作目からです。
 いや、とにかく南野、これでふたたびミステリーに目覚め、綾辻作品を読みあさりました。どれもおもしろかったですねぇ。(例外、暗黒館の殺人)
 ただ南野としては、やはりナンバーワンとして推すのは、デビュー作の「十角館の殺人」です。その次は「時計館の殺人」でしょうか? 島田潔の名探偵としての活躍を期待したい人はこっちですね。

 この人と同時期に、法月倫太郎とか、我孫子竹丸とか、有栖川有栖とか、やはり本格を書く作家がばんばんデビューして、新本格と呼ばれるようになりました。
 南野は知らなかったのですが、当時はその動きに批判的な人も少なくなかったらしいです。ようは、新人賞もとってないのにばんばんデビューさせやがって。ってことなんでしょう。
 ただ、もし島田先生がこの人たちのデビューに力を貸さなかったら、今のミステリー界はつまらないものになっていたでしょうね。(いや、新本格作家のデビュー全員に島田先生が絡んでるわけでもないんでしょうけど。その辺の事情はくわしくありません)

 ただでさえ、乱歩賞作家をかかえている講談社は、この新本格ブームでミステリー作家をほぼ独占状態にします(いや、さすがに独占は言いすぎですかね)。
 そしてさらにそれを決定的にする、メフィスト賞が始動します。
 この話は次回。

十角館の殺人

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時計館の殺人

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超絶名探偵は誰だ?(4)

2007-03-26 22:42:09 | 読書
 さて、今回は日本の名探偵にもどりますが、最近の乱立する名探偵たちと、前述した日本の三代名探偵の間をつなぐ名探偵として名前の挙がるのは、やはり御手洗潔でしょう。
 作者の島田荘司は低迷する本格ミステリーを支え続け、新本格で名を上げた綾辻行人ら数名のデビューをバックアップしてブームを巻き起こした人として有名です。
 いやあ、南野この人の存在を知ったとき、かたっぱしから読みあさりました。まあ既刊がたくさんあったせいで、しばらくは楽しめましたよ。
 この人の場合、トリックとかもすごいんですが、ストーリーテリングの点でずば抜けていると思います。「アトポス」とか「水晶のピラミッド」なんて、ミステリーの部分より、作中作というか、本筋と関係のない話の方がおもしろいくらいです。(え? ほめてないって?)
 でも、「水晶のピラミッド」なんて、最初のタイタニックの話とか、古代エジプトのファンタジーの話をわくわくしながら読んだ記憶があります。「アトポス」だって最初の吸血鬼の話がやっぱりおもしろいからしょうがありません。まあ、肝心のトリックはすこし大技すぎて、ぽか~んって感じもしましたけど。
 まあ、それ、ありかよ?ってなところですね。
 この人のすごいところは、年を取ってからもおもしろいものを書き続けることです。「アトポス」以降の御手洗シリーズとしては、「ネジ式ザゼツキー」がすごい。
 死体の首が、ねじで胴体に無理矢理ねじ込まれている。それはなぜか?という前代未聞の謎を提示しています。
 さらに脳と記憶とファンタジーという、今までのミステリーでは見たことも聞いたこともない展開もすごい。
 いやあ、さすが島田大先生。としか言いようがありません。
 ただ個人的には相棒の石岡君が出てこないのがすこし不満かも。
 やはりあくの強い探偵ですから、それを中和するためにも、人のいい石岡君が出てくれた方がほっとします。
 なにしろこの探偵、頭がよすぎて、ちょっと他人が馬鹿に見えるところがあるんじゃないでしょうか。石岡君に対しても、普段小馬鹿にしたような態度を取っているんですが、じつは熱い友情を感じているわけです。
 ええっと、ツンデレ?
 知りませんよ、そんなこと。でも、そのあたりが女性読者に人気がある理由かもしれません。
 それにしても、この人、最初はただの占い師だったのに、今や脳に関する偉い先生ですからね。出世したもんです。
 御手洗が出るシリーズは、摩訶不思議な謎が提示されますが、金田一の事件みたいに陰惨な連続殺人事件になったりはしません。なにしろ、この人が出張ると、あっという間に事件が解決してしまいますから。
 この人の事件で、南野が一番好きなのはやっぱり、「斜め屋敷の犯罪」でしょう。
 初登場の「占星術殺人事件」もいいのですが、やはりトリックのインパクトというか、馬鹿馬鹿しさではこれが随一。他の追随を許しません。
 南野は、こういう一発芸のようなトリックが大好きですから。
 真相を知ったとき、まさに開いた口がふさがりませんでした。
 まあ、感動するか、怒るか、笑うかは人それぞれです。
 未読の方はぜひ読んでみてください。

ネジ式ザゼツキー

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斜め屋敷の犯罪

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超絶名探偵は誰だ?(3)

2007-03-26 01:26:31 | 読書
 明智、金田一、神津と来たので、次は新本格の探偵かとも思ったのですが、やはりその前に海外の古典に付いてもすこしは触れておこうと思います。
 とはいえ、じつは南野、海外の翻訳本はあまり読んでいません。読みにくくてうんざりするんです。
 海外本格ミステリーの古典で必読と言えば、やはりエラリー・クイーン、アガサ・クリスティ、ジョン・ディクスン・カー、ヴァン・ダインあたりでしょうか? あるいはそれ以前のコナン・ドイルやポーも入るかもしれません。
 ドイルのシャーロック・ホームズのシリーズは、子供のころ、子供向けにリライトされたものはぜんぶ読んだんですが、オリジナルの翻訳本は読んでません。ただ、ホームズにはシャーロキアンと呼ばれる熱狂的なファンがいるくらいなので、南野のなまじっかな知識であまり論じたくありません。そういう人になにを言われるかわかりませんから。
 ポーは「モルグ街の殺人」と「黄金虫」くらいは読みました。もっともミステリーと言えるのはそれくらいでしょうか? あとは怪奇幻想小説って感じですしね。
 そもそも「モルグ街の殺人」ってミステリーとしてはどうよ? ってやつですし。

 となると、次に古いのは、やはりヴァン・ダインでしょうか?
 この人の作品ははっきり南野の好みから外れます。
 まあ、代表作の「グリーン家殺人事件」を読んでいないので、この人の評価は本来できないんですが、すくなくとも「カナリア殺人事件」と「僧正殺人事件」を読んだかぎり、今の日本のミステリーを読み慣れている人には、退屈でしょう。「僧正殺人事件」なんて代表作のひとつで、見立て殺人の走りですが、そういうのが好きな人は横溝正史の「悪魔の手毬唄」か「犬神家の一族」でも読んだ方がよっぽどおもしろいです。
 それにこのヴァン・ダインっていう人、ミステリー作家に書ける名作はひとり六作が限界だ。とかとんでもないことを言った人です。
 自分にできないことは、他の人にもできないって決めつけるな。って昔から思ってました。(この人、十二作発表してますが、後半六作は駄作で有名)
 それにこの人、本格ミステリーの十則だか二十則だかを勝手に作り、それを人に強要するあたりが大嫌いです。
 しかもその中には、中国人を犯人にしてはいけない。とか、今ならまちがいなく人種差別に当たる発言をしています。
 いや、まあ、そういう作品のでき以前の問題で、南野はこの人大嫌いなんですが、それでも作品がおもしろければ読むんですけどね。おもしろいはずの前半の二作があの出来ですから。
 肝心の探偵のファイロ・ヴァンスは、えらそうに蘊蓄を垂れ流す探偵の走りですが、京極夏彦の中禅寺秋彦が魅力的なのに比べると、ただの嫌味で知ったかぶりの気障男にしか見えません。
 ではクイーンはどうでしょうか?
 じつは「Xの悲劇」「Yの悲劇」「エジプト十字架の秘密」しか読んでません。
 この中で一番面白いと思ったのは、「Yの悲劇」です。とくに犯人はなぜ撲殺の凶器にマンドリンを使ったのか? のあたりはすごく感心しました。あの犯人も当時は衝撃的だったのでしょう。それに比べれば「Xの悲劇」の方は今ひとつで、「エジプト十字架」は正直言って、南野には合いませんでした。(退屈すぎて読み通すのが苦痛)
 探偵に関してはあまり語ることはありません。「X」と「Y」の探偵はドルリー・レーンというシェークスピア俳優上がりの耳の聞こえない探偵という点が変わってますが、それ以外とくにおぼえていません。「エジプト十字架」の方は作者と同名の探偵が活躍します。正直言って、あまり特徴のない探偵だと思います。強いて言うと、犯人を特定するさいの論理性を重視する探偵(というか、それがクイーンの作品の特徴)です。
 クリスティはどうか?
 じつはこの人のもあまり読んでなくて、むしろ映画で見た方が多いです。
 この人の作品に出てくる探偵、エルキュール・ポアロとミス・マープルはけっこう有名でしょう。ミステリーファン以外でも知ってる人が多いかもしれません。
 いや、正直言ってあまり語ることないです。思い入れもありませんし。
 映画の「ナイル殺人事件」と「オリエント急行の殺人」はおもしろかったとだけ言っておきましょう。

 では、カーはどうか?
 じつはこのカーこそが、南野が中学時代にそれなりの数を読んだ、唯一の海外古典の作家です。
 この人は不可能犯罪とオカルト、それにユーモアを追求した作家です。
 まあ、ユーモアの部分は、どうでもいいのですが(この人のユーモアはあまり笑えない)、密室殺人にこだわり続けたところが大好きです。
 探偵のギデオン・フェル博士もヘンリー・メルベール卿も、大柄(というか、デブ)でユーモラスな探偵で、クイーンみたいに細かいこと言いませんし、探偵方法もおおざっぱ(?)な気がします。
 まあ、不気味で怪奇な事件が多いですから、キャラにはそういうタイプを持ってきたのかもしれません。横溝正史が金田一を使うようなもんです。
 この人の作品でお気に入りのをひとつ紹介するとなると、やっぱりこれでしょう。
「プレーグコートの殺人」です。
 これは別名義(カーター・ディクスン)で発表したもので、
 不気味な雰囲気に、トリックの意外性と馬鹿馬鹿しさという点で秀逸です。
 いやあ、南野はこういう頭のねじが緩んでなければ考えつかないようなトリックが大好きなんですよ。
 もっともこれ、現実に可能なのかと言えば、はなはだしく疑問ですけど。
 どんな事件かというと、完全密室の離れの中で、男が特殊な剣でめった刺しになって殺されてるんです。しかも建物のまわりには足跡なし。
 ある意味、「本陣殺人事件」とそっくりの状況ですが、トリックはまるでちがいます。
 ヘンリー・メルベール卿はこの難事件をどう解決するのか?
 興味のある人は、ぜひご一読を。

Yの悲劇

東京創元社

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プレーグ・コートの殺人

早川書房

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超絶名探偵は誰か?(2)

2007-03-24 17:20:07 | 読書
 前回は日本の国民的二大名探偵のことを書きました。
 新本格ブーム以降は、さまざまな名探偵が目白押しで、南野もそのすべてを把握できているわけではありません。ただ、それ以前の、一時期絶滅寸前まで追い込まれた本格ミステリー(というか、当時は本格推理小説)の名探偵はさほど多くはありません。
 その中で、明智小五郎と金田一耕助は別格の有名どころなのですが、今回はそんな中のちょっとマイナーな名探偵、神津恭介について語りましょう。
 この神津恭介というのは、高木彬光の創作した探偵で、相棒の松下研三君とともに難事件の解決を目指します。
 この神津恭介シリーズは、いつもひとりの金田一耕助や、少年探偵を使う明智小五郎とはちがって、ちょっと足りない相棒(というか、助手?)の松下君とともに行動する点がちょっとちがってます。まあ、相棒が記述者タイプというのは、シャーロック・ホームズとワトソン博士にはじまって、よくあるパターンで、今の日本でも御手洗潔と石岡君とか、京極堂と関口君とか(これは四人一組だからちょっとちがうか?)が有名かつ超人気です。
 まあ、そういうのの日本での走りです。と思ったら、由利先生がいたか。(由利燐太郎、三津木俊介のコンビ。金田一耕助登場まで、横溝正史のメイン探偵。代表作「蝶々殺人事件」「真珠朗」)
 とにかく、そういう系統の探偵です。
 で、このタイプはだいたい超わがままかつ超個性的で、凡人の相棒をふりまわすタイプが多いですが、神津恭介はかなり性格的にはまともです。
 けっして相棒をからかったり、馬鹿にしたり、しかめっ面で膨大な蘊蓄を垂れ流したあげく、「君なんか友人じゃない、ただの知人だ」とか言ったりはしません。ましてや医者の相棒の忠告を無視してコカインを注射したり、依頼人を見るや、「あなたは~ですね。なぜなら、そのあなたのもっているなんとかが、なんとかだからです」とかわけのわからないことを言いだしたりはするわけもありません。
 かといって、明智小五郎のように、異常な行動力で犯人と戦うことを楽しむタイプ(あのひとぜったい楽しんでますよね。とくに相手が怪人二十面相のときは)でもありません。
 そういう意味では金田一耕助に近いかもしれません。
 かなり人当たりのいい、マイルドな探偵です。
 ただ見た目や肩書きが金田一耕助とは大違いです。
 超絶美男子で、東大卒、七カ国語を話せて、ピアノも得意。学生時代に「神津の定理」とかを発見しちゃう大天才。
 おまえ、いいかげんにしろよ!ってなもんです。
 いっつもよれよれの格好をしていて、プー同然のところをパトロンに拾われて、私立探偵になった金田一耕助とはえらい違いです。
 今、こんな設定の探偵を出したら、読者から袋だたきに遭うでしょうね。
 なんじゃ、その房設定は?って感じで。
 かつての本格ミステリーの大御所、高木彬光先生もキャラ作りはあまりうまくなかったようです。

 で、この探偵、どんな事件を解決したかって言うと、やはり最高傑作は「人形はなぜ殺される」でしょう。
 デビュー作の「刺青殺人事件」も名作と誉れ高いのですが、南野はやはり「人形」が上だと思います。
 全体に流れるオカルティックな雰囲気が好きです。
 人形という小道具の使い方や、魔術的な演出がいいのです。
 そしてあの有名なトリックでしょう。
 南野はあまりアリバイトリックは好きではないのですが(めんどくさい)、このトリックはまさに目から鱗。
 こんなど派手なアリバイトリックもあったんだ。
 思わず、うなってしまいます。

 この先生も亡くなってだいぶ経ちますけど、いつの間にか新刊があまり買えなくなっているのは、さびしいかぎりです。
 もっと読み継がれてもいい作家だと思います。

人形はなぜ殺される 新装版 高木彬光コレクション

光文社

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超絶名探偵は誰だ?(1)

2007-03-23 23:54:09 | 読書
 南野は子供のころからミステリーが大好きで、さまざまな作家の小説を読んできています。そして、ミステリーといえば、つきものなのが名探偵。
 べつに誰が一番とか言う気はないですが、南野を魅了した名探偵たちを何回かに分けて紹介していきたいと思います。

 え~と、とりあえず今回は、日本の二大名探偵。
 ミステリーマニアだけでなく、おじいちゃんもおばあちゃんも、子供だって知っている(最近の子供は知らないのかな、ひょっとして?)日本の一般常識。……と言えば、このふたりでしょう、やっぱり。

 金田一耕助と明智小五郎。

 もちろん、金田一耕助の方は横溝正史の小説、明智小五郎の方は江戸川乱歩の小説で大活する名探偵です。
 まあ、名探偵なんていう人種は、古今東西変人と相場は決まってますが、金田一耕助は比較的まともじゃないでしょうか、外見以外は。
 え? よれよれの袴姿で、興奮するとぼさぼさの髪を掻きむしってふけを飛ばすやつのどこが普通なんだって?
 まあ、そう言われればそうかもしれませんが、名探偵界にはもっと信じがたいやつらがぞろぞろいますから。
 それにこの人、言動に関してはかなりまともですよ。
 やたらえらそうだったり、助手を小馬鹿にしたり、蘊蓄を語りまくったりはしませんから。むしろ、名探偵の中では人当たりの良さはトップクラス。
 ただ、よく言われるのが、
 このひとほんとに名探偵?
 誰かが調べたデータでは、事件の防御率の悪さがトップクラスだったような。
 たしかに「八墓村」なんて、このひと、最初からいるのに何人も死にまくりですからね。
 この人の事件だと、たいていすくなくとも三人くらいは死にますから。挙げ句の果てに犯人自殺。
 おまえいったいなにしに来たんだ?ってなもんです。
 ただこの人を大嫌いという人にはあまりあったことがありません。
 やはり、知名度に加え、みんなに愛されているという点では、まちがいなく日本の名探偵ではトップではないでしょうか?
 この人が一番名探偵ぶりを発揮するのは、やっぱり「本陣殺人事件」でしょう。
 なにしろこの人が出てきてから、めずらしく誰も死にませんし。しかもあの変なトリックをあっという間に見やぶってしまう。まあ、おかげであんまり長い話じゃないんですけど。
 南野もこの話はかなり好きです。雪の密室のあのトリックに加え、三本指の男とか、殺人現場にひびく琴の音とか、怪奇趣味が満載。
 まあ、南野、もともと時刻表アリバイトリックとか、パズルみたいなやつよりこう、説明されると直感的に理解できるトリックが好きなんですよ。
 こういうのを実演してみたりすると、おお、すげえ!とみんな感動し、やっぱりこの人は名探偵だ。って思ってくれるわけです。

 一方明智小五郎の方はどうでしょうか?
 じつはこの人、子供向け、大人向け通俗小説、マニア向け本格ミステリーと、いろいろな分野に登場するせいか、トータルで見るとそうとう変です。
 なにしろ初登場時には金田一耕助とたいして変わらない格好をしてたくせに、いつの間にか、スーツをぱりっと着こなす二枚目探偵になってました。
 しかも子供向けに出ていたせいか、拳銃は使うし、変装はするし、腹話術は使うし、格闘も得意。(だったですよね? 確認してないので、ひょっとしたらかんちがいがあるかも)
 おまけに捜査に、中学生や小学生を使うし、あぶない捜査の時は、浮浪児グループのチンピラ別働隊を使ったりします。
 しかも、良家の子女を危険な目に合わせるのはまずいという認識はあっても、浮浪児ならどんな危険な目に合わせてもだいじょうぶ、と思ってるふしがあります。

 いやあ、そうとうヤバいですよ、この人。

 そう言えば、この人、よくライバルの怪人二十面相の拳銃の弾をこっそり抜いておいて、二十面相が拳銃を向けたとき、大笑いして勝ちほこっていたような気がします。
 そうとう根性曲がりですね。

 そう言えば、金田一耕助はけっして犯人を笑い飛ばしたりはしなかったと思います。その分、「しまったぁ!」とか叫びながら、しょっちゅう走ってたような気がしますが。(いや、これは映画の影響か?)

 う~む。こうやって比べてみると、友達になるならまちがいなく金田一の方ですね。もっとも金田一耕助には事件を依頼したくない気もしますが。
 ……いや、だって心配でしょう? こいつが来ても、自分殺されるかもしれないし。
 犯人に罠をしかけて、馬鹿笑いする探偵の方がいいですよ。

本陣殺人事件 日本推理作家協会賞受賞作全集 (1)

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ジグザグランキングがきびしい!

2007-03-22 23:27:38 | 作家への道
 木曜日恒例のジグザグランキングの発表です。
 総合ランキングで9位。ただ読みNETで8位です。
 う~ん。ちょっときびしいですね。下から数えた方が早いです。エントリー作品、12作品の中ですからね。
 ただ前回の「正義の味方は三時から」と比べて得票数が落ちてるわけじゃありません。むしろ増えてます。
 ここ最近、エントリー数が減って、その結果、あまり得票できない作品がなくなった感じです。まあ、少数精鋭になったってことですね。
 そういうわけですので、
 みなさん、応援お願いします。

 今回「二挺拳銃お姫様」の第五章がアップされました。
 いよいよ、扉絵に載っているメインの四人が勢揃い。次週より、後半戦。
 今回、適役として名前の上がったサウスランド一家と、白虎との連合軍との死闘が開始します。
 4対5(プラス手下たち)のスーパーバトル開幕!

 ジグザグランキングキングはこちらから
 http://zigzagbooks.jp/novels/ranking.html

 電子書店パピレス内のただ読みNETからもいけます。
 http://www.tadayomi.net/light/

 いずれも無料で読めます。
 毎週、更新ごとにひとり一票だけ有効です。

 ちなみに次週は、いよいよ、敵の一人『役者』のジョニーが登場します。





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ガガガ、最終選考結果発表

2007-03-21 23:51:43 | 作家への道
 以前ちょっとだけ触れたガガガ(小学館ライトノベル大賞の少年向け部門)がついに最終選考結果を発表しました。
 http://www.gagaga-lululu.jp/gagaga/keika.html
 大賞「愛と殺意の境界人間」
 ガガガ賞「学園カゲキ!」
 佳作「携帯電話俺」
 佳作「RE:ALIVE~戦争のシカタ~」
 期待賞
「緑の闇」
「RIGHT×LIGHT」
「さちの世界は死んでも廻る」
「7/7のイチロと星喰いゾンビーズ」
「虚数の庭」
 だそうです。

 う~む。期待賞をふくめると、9作品入賞とは大盤振る舞いですね。
 佳作まではデビュー確約。期待賞も奨励金を一年出すそうですから、育てる気満々なんでしょう。
 なかなかいい賞じゃないですか。南野は一次で落ちたけど。

 タイトルとかんたんなあらすじだけじゃ、なんとも言えませんが、個人的には「携帯電話俺」っていうのをちょっと読んでみたいですね。なんか、アイデアが馬鹿馬鹿しくておもしろそう。
 大賞はダークでサイコっぽいミステリーのようですね。ライトノベルでそういうタイプの作品はあんまりないと思いますが(スーパーダッシュ文庫の「電波的な彼女」くらいしか知りません)、ガガガはそういうのも受け入れるようです。
 ガガガ賞は、逆にいかにもライトノベルらしい明るい学園ドラマって感じなんでしょうか?
 ライトノベルの新人賞としては、わりと懐が広そうな感じです。
 そういう意味じゃ、電撃文庫に近いんでしょうか?

 まあ、とりあえずはどんなものが出るか、ちょっと楽しみです。

 それからちょっと気づいたことと言えば、「学園カゲキ!」ってなんか聞き覚えがあると思ってたんですが、これってスーパーダッシュ新人賞に前に出してますね。
 南野もその回に出してますから、見覚えがあったんです。
(ちなみにその回に出したのが今ジグザグのサイトに載っけてる「二挺拳銃お姫様」です)
 ただやっぱりこういうことがあると、新人賞っていうのは出版社との相性とか、運とかもあるよなって思います。(もちろん、書き直すことによって、ぐんとレベルアップしたのかもしれませんが)
 だから、ついつい他でだめだったやつもすてきれないんですよ。
 で、たいていは何度も出して、何度も落ちる。
 この作者の山川進さんは、あきらめずにチャレンジして、見事栄冠を勝ち取ったわけですね。
 おめでとうございます。


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もうひとりのイタリアンホラーの巨匠ルチオ・フルチ

2007-03-20 22:02:22 | 映画
 二日にわたって、ダリオ・アルジェントを半分からかいつつも絶賛しましたが、イタリアンホラー界にはもうひとり変な監督がいます。
 その名もルチオ・フルチ。
 そう言えば、サンデーでやってた「ダンドー」の悪役が「ダリオ・アルジェント」のつぎが「ルチオ・フルチ」だったとき、南野は心の中で突っこんでました。

「いいのかよ、それ。実名でしかも悪役」

 まあ、きっと作者の万乗大智先生もイタリアンホラーの大ファンなんでしょう。
 で、その問題のルチオ・フルチってどんな監督?
 まあ、アルジェントもそうとうおかしい監督ですが、ルチオ・フルチはその斜め上を行きます。
 といっても、この人の映画は三本しか見てないんですが、いったいどんな頭をしていればこんな映画を撮れるのかって感じです。
 その三本とは、「サンゲリア」「サンゲリア2」「ビヨンド」です。

 まあ、簡単に言ってしまえば、どれもこれもゾンビ映画なんですが。

 まあ、ゾンビといえば、元祖ゾンビは青白い腐りかけの死体が、無表情のままゆっくりと歩いて人間を襲います。

 ええっと、サンゲリアのゾンビは腐りかけどころか完全にくさってます。どろどろのぐしゃぐしゃでわけのわからない虫がはいずり回ってます。そんなやつらが襲ってくるんです。
 ブードゥー教をイメージした不気味な音楽の中、土の中から死人がよみがえってくるシーンは圧巻。体中から変な虫が這い出てきます。
 この映画のもっとも印象に残るシーンは、美女惨殺シーン。
 腐ったゾンビが美女の顔をトゲに押しつけ、目をぐさり。
 そのあと、はらわたをかっさばいて、ゾンビがぐちゃぐちゃと喰いまくります。
 当時はレイティングなんていう概念がありませんでしたし、そもそも日本なので、ポルノ以外は子供といえど見放題。
 中学生なのに、こんなの見ていいのかな? と思いつつ、南野は大喜びで鑑賞してました。
 まあ、当時は「エマニエル夫人」が普通に夜九時からテレビでやってるような、よい時代でしたからね。

 それから、この映画、なぜかゾンビが海の中で泳ぎながらサメと戦うシーンがあったような気がするんですが、いくらなんでも思い違いですよね。
 そんな馬鹿げたシーンがあるわけありませんもの。
 しかもゾンビが海でサメに勝つなんて、あるわけないですもん。

 もうひとつの「ビヨンド」の方は、けっこう最近、ビデオで見ました。
 え~っ、ひとによると、これこそルチオ・フルチの最高傑作とか。
 ほんとうですか、それ?
 いや、はっきりいって、わけのわからない映画です。
 ダリオ・アルジェントもけっこうわけのわからない部分はありますが、その比ではありません。
 サンゲリアはその設定自体は単純でした。なぜかゾンビが人間を襲いだし、そっから逃げるだけの話ですから。
 それに比べて、このビヨンド。
 あまりのわけのわからなさに、目眩がします。
 それでも無理してストーリーをまとめると、
 主人公の女性がホテルを買うんですが、なぜかそこの地下が地獄とつながっていて、
 正体不明の盲目の女が、主人公になぜかホテルを手放すように言い、
 しかもその盲目の女、悪魔の手先かと思えば、なぜかゾンビどもに殺され、
 クライマックスでは病院がゾンビにのっとられ、そこから逃げる主人公たちが、なぜか地獄に迷い込む。
 そんな話です。
 この映画で一番衝撃的なシーンは、ゾンビ化した少女の頭を拳銃で半分ふっとばすところでしょう。
 えぐすぎます。(南野大喜び)
 しかも他のゾンビは頭を撃っても額に穴が開いて倒れるだけなのに、この子だけまるでダムダム弾でも使ったかのような威力です。
 きっとこの監督、野郎どものゾンビはどうでもいいけど、少女ゾンビの頭だけはなにがなんでも吹き飛ばしたかったんでしょうね。
 南野その気持ち、よくわかります。(わかるのかよ?)
 記憶があまり定かではありませんが、他にもつっこみどころ満載だったような気が。
 う~ん。どういったらいいんでしょう、この映画?
 まあ、これを見たあとに、ダリオ・アルジェントの映画を見ると、まるで理路整然とした本格ミステリーに見えますね。

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ダッリオ! ダッリオ!

2007-03-19 23:27:01 | 映画
 前回に引き続き、ダリオ・アルジェントの記事を。

「サスペリア」とくれば次に語るべきはとうぜん「サスペリア2」。もっともこの作品、本家サスペリアよりも前に撮られた作品だとか。とうぜん原題にはサスペリアなんて付いてないし(たしか「紅い深淵」って意味のはず)、内容はまったくなんの関係もありません。
 それだけ、当時ダリオ・アルジェントはマイナーな存在だったんでしょうね。「サスペリア」のタイトルを付けないと売れないと判断されたってことです。
 さて、このサスペリア2なんですが、ある意味、サスペリア以上に、ダリオ・アルジェントの本領発揮した怪作です。
 もともとこの人、ダークで陰惨な殺人事件をテーマにした作品ばかり撮ってたような人で、この「サスペリア2」はまさにその手の話の集大成というか、最高傑作というか、そんな感じの話なのです。
 今回も冒頭から飛ばしてくれます。
 霊感のある女性が、講演会のとき、強烈な悪意に大げさに取り乱します。
 その直後、惨殺されます。主人公が偶然それを目撃し、事件に巻きこまれていくっていう話です。
 今回の相手は魔女じゃなくて、ただの殺人鬼。
 もっともある意味、魔女よりも怖いですが。

 風呂場の湯気で現れるダイイング・メッセージとか、
 主人公が現場で見たものはじつは絵ではなく……、
 とか、ミステリーっぽい雰囲気は「サスペリア」以上です。
 ただしこれはあくまでもホラーであり、ミステリーというには無理があるでしょう。だって、犯人があの人である論理的な必然性がありませんからね。
 とにかくこれはそういうめんどくさいことを考えるより、雰囲気を楽しむ映画。
 とくに不気味な音楽の中に、明るい子供の歌を入れて恐怖をあおるセンスは異常。
 他にも、主人公が忍びこんだ屋敷で、壁の中から古い絵を削りだし、主人公がいなくなったあとで、残りの半分が(そこが重要なポイント)崩れおちて露見するシーンとか、不気味な人形がしゃかしゃか歩いてくるシーンとか、(いまだにこのシーンの意味がわかりません)見所いっぱい。
 そして衝撃のあのラストシーン。
 「いやあ、血と暴力ってほんとにいいですねぇ」って映画です。

 ついでに一般的に知名度の高い作品をもう一本。
「フェノミナ」です。
 いまではお母さん役が似合う女優になってしまったジェニファー・コネリーの超絶美少女ぶりを堪能できます。
 今回もわけのわからない猟奇殺人に主人公が巻きこまれますが、彼女には虫と意志を通じることができるという超能力があります。
 美少女が蠅をアシスタントに探偵に乗り出します。
 蠅と美少女という組み合わせに、ダリオ・アルジェントの神髄を見ました。南野大絶賛。
 ダリオ・アルジェントは彼女をウジのプールに突き落とすなど、サディスティックな演出でいじめまくります。
 ストーリー展開は、「サスペリア」や「サスペリア2」と比べても破綻しまくりっていう感じですが、この人の映画に細かい整合性を求めてもしょうがありません。
 事件の残虐さと異常性を十分に堪能しましょう。

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ひとりで見た「サスペリア」

2007-03-18 17:08:44 | 映画
 けっしてひとりでは見ないでください。

 このコピーがなんなのかわかる人はすくなくとも若者ではないでしょう。
 これこそイタリアン・ホラーの巨匠「ダリオ・アルジェント」の日本デビュー作(だよね?)、「サスペリア」のコピーです。

 ようは怖すぎるから、ひとりでなんか見たらたいへんなことになっちゃうよ、ってことです。

 南野はひとりで見たんですが、行く前に映画館で電話で「ひとりでも入れてくれますよね?」って聞いた記憶があります。

 当時、ホラーといえば、「エクソシスト」「オーメン」などが怖い映画として名を残していましたが、これらはどちらかといえば、キリスト教徒でないとその怖さがピンとこないタイプのものでした。
 どちらも神に反逆する悪魔の話で、はじめは「なにか異常なことが起こっている」って感じで、すこしずつ観客を引き込んでいき、中盤からクライマックスにかけて、正体を現してきた悪魔と対決する、みたいなストーリーでした。
「エクソシスト」なんて、アメリカじゃ失神者続出とか話題になりましたが、日本で誰かが失神したなんて話は聞いたことがありません。

 日本人は悪魔よりも幽霊の方が怖いっていう民族ですから。

 悪魔憑きだの、黙示録の獣だの、「はあ?」ってなもんです。
「なんか知らんが、俺たちには関係ない」って感じでしょう。
 そういう意味では、日本人にはダリオ・アルジェントは衝撃的でした。

 いちおう、魔女だのなんだのという設定はあるのですが、基本的には猟奇殺人鬼の話ですから。

 血みどろ美女惨殺、不気味な音楽、ショッキングな映像。
 そんなものが次から次へと現れます。

「サスペリア」も冒頭から飛ばします。嵐の夜、何者かに追われて惨殺される美女。だいぶ前に見た映画なのでちょっと記憶がさだかじゃありませんが、たしかそういう出だしだったと思います。
 相手が悪魔だろうと魔女だろうと人間だろうと関係ありません。
 とにかくわけのわからんやつが追ってきて、美女を血まみれにする。
 見ている人たちは、なんか知らんけど、とにかくすげえ!ってなもんでしょう。
 そのあと、主人公の美女(ジェシカ・ハーパー)がバレエ学校の寄宿舎に入るのですが、そこは魔女が支配するバレエ学校って設定。
 南野のツボ、直撃です。
 ええっと、魔女がバレエ学校でいったいなにをしたいわけ?
 その謎は最後まで解き明かされません。
 たぶん、ダリオ・アルジェントもそんなこと考えつきもしなかったんでしょう。
 はっきりいって、そんなことはどうでもいいんです。
 とにかく、バレエ学校で不思議なこと、不気味なことが連発するのです。
 夜中に廊下を徘徊する謎の足音。
 失踪する親友。
 主人公はその謎を解こうと、足音を数えたり、「アイリスをまわせ」とかいう謎の言葉をもとに、秘密の部屋に侵入するなど、ミステリーっぽいところもありますが、本格的なミステリーを期待してはいけません。
 なにしろ、ストーリーは破綻してますから。
 魔女がなにをたくらんでたのか知りませんが、秘密でおこなっていたのなら、主人公のような一般生徒を受け入れなければいいのです。そうすれば探偵の真似事をされることもないのですから。

 はっきりいって、ストーリーに破綻があったり、矛盾してたりするのは、アルジェントの味の内ですから。そういうことが許せない人は、アルジェント映画を見てはいけません。

 とにかくクライマックスで学校の正体を知った主人公が逃げ切るまでを、お化け屋敷さながらの展開でビビらせまくるのが、この映画です。

 頭を空っぽにして「うわー」「きゃー」と絶叫して楽しみましょう。

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南野の好きなアクション映画パート2

2007-03-17 17:07:54 | 映画
 前に、南野の好きなアクション映画という記事を書いたんですが、そのとき入れなかったもので、やはりこれを語らないわけにはいかないというのがあります。

 まあ、はっきり言って、前回のもの以上に南野の趣味全開です。

 いったいそれはなにか?
「KILL BILL(キル・ビル)」です。

 この映画、見事なまでに評価がまっぷたつに割れましたが、南野はとうぜん擁護派。というか、絶賛派です。
 なにしろこの映画の中には、南野の好きなものがつまってますから。
 1.ガールズアクション。
 2.日本刀。
 3.マカロニウエスタン。
 4.カンフーアクション。
 5.そして血みどろ、生首、めった切り。

 1のガールズアクションですが、美女が悪党を殺しまくるという殺伐とした話が大好きです。前回、「ニキータ」を押したのも、この嗜好があることば原因の一つであることを否定しません。とうぜん「チャーリーズエンジェル」なんていうものも大好きです。
 2の日本刀。これは忍者、侍を問わず、刀を使って相手をぶった切るアクションが好きっていうことです。とうぜん「座頭市」や「必殺シリーズ」もマイ・フェバレットってことです。
 3のマカロニウエスタン。これも大好き。ジョン・ウエインとかの西部劇よりもどこかインチキ臭いけど、その分ハッタリが効いてておもしろいんです。
 4のカンフーアクションに関しては、前にジャッキーチェンが大好きと言ったことでわかると思います。どっちかっていうと、正統派のカンフーアクションより、いかがわしい技を使う方が好き。
 そして5。やっぱりアクションには血がつきものです。最近の映画はレイティングとかの関係か、あまり残虐アクションをしていないような気がしますが、やはり生首飛ばして血がぴゅーっていうくらいのいきおいがほしいところ。

 いい年してこんなものがいいのか? もっと政治謀略ものとか、人間ドラマとか、そういう映画を語れ、とか言われても、好きなものは好きだからしょうがないんです。

 まあ、こんな趣味だから、「正義の味方は三時から」とか「二挺拳銃お姫様」とかのような小説を書くのはしょうがないんです。

 ちなみに日本刀を霊剣と魔剣にして、この要素に世界平和をもくろむ秘密結社とサイボーグを加えると、「正義の味方は三時から」。
 忍者と宇宙人を加えると「二挺拳銃お姫様」になります。

 ええっと、話がすこしわきにそれたので戻しますと、キル・ビルでも、とくに好きなのはパート1の方です。パート1のアクションシーンはどれこれも最高の出来です。とくに栗山千明演じるゴーゴー夕張ルーシー・リュー演じるオーレン石井とのバトルは最高。
 なにせ最高のアクションとギャグが同居してますから。
 とくにオーレン石井の最後は爆笑もの。
 それまでの雪の庭園での死闘という美しくもすさまじいバトルのあとだけに強烈です。いやあ、まじめな話、映画史に残るアクションですね。
 どうして二階の外に庭があるんだとか、いつ雪が降ったんだとか、なんで警察やってこないんだとか、突っこむのは野暮ってもんです。
 もちろんゴーゴーも負けちゃいません。ゴーゴーボールはただふりまわすだけじゃなくて、脚で蹴ったり、体に巻いたりしてタイミングをずらす芸の細かさぶり。
 栗山千明も、ミニスカートをふわっとさせながらも、ジャンプして回転する熱演ぶり。(まったくこの中年は……)
 さらに投げたゴーゴーボールから刃がしゃきーんと出るところなんて、もう最高。
 そして最後の血の涙。
 あれは栗山千明のアイデアだって、なんかの記事で読んだ覚えがあるんですが、栗山さん、あなたぜったいマンガの見過ぎです。

 いやあ、この映画ってほんと楽しいですね。こういうのもっとたくさんやらないんですかね?

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