南の海のワナビ

小説家を目指す「南野海」の野望ははたして達成されるのか?

現場監督ってなにやるの?

2007-04-10 01:05:35 | 南野監督の建築現場奮闘記
 ひさびさに、前職の現場監督の話を(ネタに困ったから)。
 建設現場の監督。この人たちっていったいどういう仕事をしてるんでしょう? 一般の人たちのイメージでは、現場でえらそうに作業員たちに指示している姿を思い浮かべるかもしれません。
「おらあ、そこなにもたもたやってるんだ? さっさと運べぇ!」
 図面を持ち、腕組みをしながらそんなことをどなりまくる人。それが現場監督。

 ぜんぜんちがいます。

 そんなことしてたら、職人さんにぶん殴られますよ、たぶん。

 そもそも職人さんは、監督のことえらいなんて思っちゃいませんから。
 金を払うやつがえらいという資本主義の原則が通用しません。
 それでも、相手が所長や主任クラスになると、権限もあるし、仕事もわかってますから、そうそう逆らったりしません。
 しかし若いやつ、とくに新入社員などの場合、もう完全になめてかかられますね。

 ちょっとはじめて現場に出たころのことを思い出してみましょう(遠い目)。

 現場で図面のことを聞かれます。まったくわかりません。
 事務所に走って先輩や所長に聞く(当時ケータイはありません)。
 ひとよんで、走るトランシーバー。

 大工さんに言われるがままにレベル(高さを測る機械)を見る。そして数字を読んだり、「ちょいあげ」とか「ちょいさげ」と叫ぶ。
 人間レベルマシン。

 生コン打ちの時、生乾きの内に、サッシアンカーを床に埋め込んでいく。
 田植え。

 他にもいろいろ言われます。
「墨が出てねえぞ。出せ」
「溶接アンカー埋まってねえじゃねえか。撃て」
「型枠がコンクリートの埋まって外せねえよ。はつれ」
「仮説材が足りねえぞ。足場、組めねえ」
 そう、新入社員は、作業員より下っ端。そんな世界です(それでも大手はそんなことないと思いますけど)。

 すこし仕事がわかってくると、施工図を書いたり、資材を発注したり、仕事の段取り(手配)をしたりするようになります。
 それでも、現場でなにか不都合があると、職人さんにこづき回されます。

 逆に言えば、現場で仕事がスムーズに回るように段取りできて一人前。そうなれば、職人さんも文句が付けれなくなり、ようするに舐められなくなります。

 ようは、先、先を読んで、起こるべく不都合をなくすのが仕事です。

 それと近隣の人の苦情引きうけ係ってこともありますね。

 そのころにようやくえらくなり、お施主さんや設計事務所の人と打ち合わせしたり、下請けの人を呼び出して契約の話をしたりできるようになるわけです。

 まあ、いろいろ大変なわけです。

 昔、友達になんかの時、言われたときがあります。
「人足にこれやっとけって、命令しとけばいいんだろ?」
 それはちがうと、声を大にして言いたい。


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歌舞伎町で工事

2007-03-31 19:20:37 | 南野監督の建築現場奮闘記
 このブログの方向性からずれるので、今まで触れずに来たのですが、たまにはこういう話を書くのもいいかと思って、ちょっと建築の話をします。
 前にも書いたかもしれませんが、南野、大学を卒業したあとは、ゼネコンで現場監督して働いてました。一級建築士じゃありませんが、一級建築施工管理技師という長ったらしい名前の資格は持ってます。
 それでいろんな建物の施工に携わってきたわけですが、きょうは興味を惹きやすい歌舞伎町での仕事を紹介してみましょう(もう、だいぶ前の話ですが)。
 いやあ、この現場いろんなことがありましたよ。
 場所としてはコマ劇場のすぐ近くなんですが、狭い敷地にけっこう背の高い店舗ビルを建てました。

 当時、この界隈には客引き連中がわんさかいました。

 まあ、そういった連中と本格的にもめることはありませんでしたけど、やっぱりやりづらかったですねぇ。

 この現場、最初の難関は山止めの杭を打ったときですね。
 要は地面を掘っても周囲がくずれないように、鉄骨を一メートルおきくらいに打ち込んでいくんです。あとは鉄骨と鉄骨の間に板を入れながら掘ってくわけですよ。
 それで、重機を入れて、ドリルのようなもので細長い穴を掘っていき、その中に鉄骨を入れて一メートル分くらいは打ち込むんですが、ちょうどそのとき、コマ劇場で某大物歌手が公演をやってまして、打ち込む音がうるさいと関係者が怒鳴り込んできました。
 それで公演時間を外して打ち込み作業をせざるを得ませんでした。

 さらにはその作業のあとさらなる大問題が。基礎工事のために掘削工事(根切りという)をしていると、なんととなりの敷地の基礎がこっちの敷地にはみ出してたんです。

 いや、冗談じゃないんです。ほんとのことなんですよ。

 しかも敷地ぎりぎりに建てる建物なもんで、そのままじゃこっちの躯体(コンクリート構造体)に入ってしまうんです。

 はつりましたよ、それ。

 いや、もちろん作業自体は作業員がやるんですが、基礎を機械でがんがん叩くわけですから、とうぜんとなりのビルは地震でも来たかのような振動がするわけです。
 当時、そこにあったのはファッションヘルス。

 とうぜん、そこのオーナーが怒鳴り込みにきます。

「知るか、ぼけ。建物はみ出してるそっちが悪いんじゃ」

 と、言いたいところですが、業種にかかわらず近隣には頭の上がらないのが、建築業者。まあ、その辺は所長がうまく話をつけたようですが、こちとら現場に張りつきっぱなしの下っ端でしたから、まっさきに文句を言われます。
 もっともその建物、もう壊すことが決まってたんで、その業者も早々と出て行きましたけど、出て行ったとき、ゴミを内の現場に投げすてて行きやがるんです。

 まあ、気持ちはわかりますけどね。Hなことしてるとき、壁ががんがん振動したんじゃ、商売あがったりです。
 他にもいろいろありましたよ。

 そう言えば、酔っぱらいが乱入してきたこともありましたね。

 もう歌舞伎町だからしかたないというか、もう、勘弁してほしいですよ。

 おまけにこのころは、日曜日にも仕事にかり出されることはしょっちゅうでしたし。いやあ、とんでもない仕事を選んだと後悔しましたね。

 この建物、今も建ってるんで、たまに新宿に行くとながめちゃいますよ。
 今にしてみれば、よくこんなところで仕事したなって、自分に感心してしまいます。


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