
しばらく男の子の孫とは離れていた
3週間ぶりに接した彼は静かだった
女の子の孫と別れたばかりで一層強く感じた
彼は昨年の夏からカブトムシを飼育している
卵を産ませ何匹も増やしたようだ
産卵後に命尽きたメスを丁寧に葬った…
カブトムシの寿命は短いと言われているが
彼は半年近く生き延ばせた
夏に幼虫を採取して越冬もさせた
温度とエサが大事なんだと言う
学校から帰ると毎日のように「昆虫部屋」へ…
学校の宿題のことは忘れても観察は忘れなかった
この夏は暑すぎたせいか
新しい成虫は捕獲できなかったようだ
それでも関心意欲は衰えず
私と会うなりいきなりカブトムシの話
適当に聞き流していたところ
何やら黙ってダンボールをハサミで切り刻んでいた
そして完成したのがカブトムシの工作
いやいや実によく出来ている
全体の形や大きさや脚の向き
『好きこそ物の上手なれ』
好き勝手にやっているからこその作品だ
「ホンモノそっくりだよ! 自由研究にしたら⁉︎」
「いや それは他にやってるし!」
彼にとっては単なる遊びだ
マイブームが今カブトムシなのだ
-S.S-