い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

六拍

2022-03-11 | 心音
後ろから声がする
変わらないでいて
忘れないでいて

隣を歩く人がいる
ここまで来たね
頑張ってるね

一緒に行こう

天使の絵を描く時
ひとりじゃないことを知っている
出会いにも別れにも
嬉しさも悲しさも
小さな羽をふるわせて
大きな空だけ見つめてる

五拍

2022-03-10 | 心音
そこに理由が必要になった時
少し悲しくて少し寂しい

なんで一緒にいるんだろう
間隔の決められた挨拶みたいに
時間割通りの優等生を演じる

一日の中で
決められた時間配分が
当たり前のしあわせだと胸を張る

望んで始めたことだったかな
24時間より短い一日が
振り向きもせず追い抜いていく

ここに理由を付けた時
すごく痛くてすごく苦しい

四拍

2022-03-09 | 心音
遠くからでもわかる
人混みの中のたったひとり

近すぎたら目で追えないから
空の高さに感謝して
見上げる気持ちに翼を付ける

笑っていてほしいけど
元気でいてほしいけど

神頼みの心の声が
迷子の涙にぬれない様に
見慣れた空を蒼く染める

三拍

2022-03-08 | 心音
同じ顔で見つめてる
思い出す前の表情

一日大人になったけど
あの日の笑顔が泣いている

都合よくすり替えられた一場面
一個所だけのスポットライトが
闇の中で影を写す

一日たてば痛みも消える
一日たてば虚しさも消える

一日たっても思い出すのは
一日たっても忘れないから

一拍

2022-03-06 | 心音
カサカサと音を立てながら
同じ場所を廻り続ける
飛び立つための準備なのか
ただそこにいたいのか

冬を生きた枯れ葉が迷う
風に逆らい大地を目指せば
恵みの眠りにつけるだろうか
眩しい目覚めに会えるだろうか



百片

2022-03-05 | 雪花
花咲く音を聞いた

近付いてくる春のように
やわらかなペン先が
羽ばたく名前を記す

瞳に映る光を抱いて
明日のために
微笑みを照らす

足を踏み外さぬように
慎重に一歩を見つめ
次の一歩を望んでる

見守る陽射しを浴びながら
待ちわびるしずくを受けながら
花咲く季節はそこにある

九十九片

2022-03-04 | 雪花
二階の窓に届く風が
泣き声にしか聞こえないのは
ひとりぼっちの過ちに
気付いているから

言葉にしてしまえば
逃れられるかもしれない
見落とした過ちを
風がサラって行くかも知れない

目の前になくても
心の奥深く落ちて行く
始まりの掛け声に
目を覚ますこともある



九十八片

2022-03-03 | 雪花
たったひとつを見つけるために
消去法を用いていたら
本末転倒の判が押された

選べないもの
ひとつに絞れないもの
両極端の願望が渦巻く

比べてはいけないもの
天秤にかけても動かないもの
唯一無二の現実が構える

よれよれの頑固さと
ふわふわの根性を
抱きしめたまま突破する

九十七片

2022-03-02 | 雪花
頭の中はどちらかというとカラフルで
一貫性のない無鉄砲なヒラメキが飛び交う

行きつく先を望む前に
今どうしたいかが目の前に立ち
この先の景色を見せまいとする

冷静な自分に息を吹きかける
ぎこちないため息が
春の温度を忘れないように

花開くための太陽が
雨の日の暗さを
悪者にしないように