い・ち・に・ち

明日が今日になって昨日になるような毎日

十六拍

2022-03-21 | 心音
欲しいと思った時すぐに届くもの

取りに行かなくても
ポチッとすれば手に入るけど
便利さに置いて行かれた
手の届かないものに焦がれる

どんなに時代が変わっても
どんなに進歩の賞賛を得ても

見えないものがある
分からないものがある

だから人生は楽しいと人は言う
だから人生は面白いと人は言う

楽しさも面白さも
反対側がなくては知る事も無く
悲しみもつまらなさも
望まなくてもやってくる




十五拍

2022-03-20 | 心音
ふたつにひとつ

右か左か〇か✖か
どちらか一つを選ぶならば
自分で決めた答えならば
後悔するのも勿体ない

捨てた悔やみが夢を見せても
無限のタラレバがひしめき合うだけ
架空の物語のページを閉じて
目の前の今と向き合ってみる



十四拍

2022-03-19 | 心音
首を傾げたら涙を湛えた瞳を知る

こぼれないように上を見て
こぼさないように瞬きはしない

苦しみごと飲みこんで
震える言葉をなだめながら
泣きはしないと前を見て
次の言葉を見つめてる

いつでも強いわけじゃない
見えないところで弱さが頑張る
次の高さへ押し上げようと
両手を伸ばして天を見る


十三拍

2022-03-18 | 心音
思い出の長さを測ろうとした

脚本家になったつもりで場面をすり替える
いつでも自分だけの主人公だと信じていた

精巧に造られた背景の裏で
汚れ傷つきながらも支える手がある
その優しさも温かさも
当たり前の壁で隔てていた

道を間違えたら戻ればいい
戻れない道なら進むしかない

思い出の長さは測るたびに変わり
主人公の記憶さえ曖昧な重さで転がり続ける




十二拍

2022-03-17 | 心音
喜びから始まる心音

不安も打ち消す拍手の音が
笑顔と涙であふれてる

見えない今が突然来て
考える暇もなく答えを求める
予測不可能なこれからと
予期せぬ希望の答え合わせ

正解を導くための道のりと信じ
踏みしめ傷つきへこたれながら
それでも進んだ未知の先
これからに届きそうな心の音

十一拍

2022-03-16 | 心音
きっと何も言えない

手を止めず一連の流れのように
ありふれた挨拶をしても

この想いを見破られない様に
整えた表情を作ったとしても

何処にでもある
意味は無くても聞きなれた台詞
聞いていなくても避けてはいけない会話

通り過ぎた後に
追いかける風が哀しいと泣くから
今は振り返らず声もかけない

十拍

2022-03-15 | 心音
たまに窓の外を見たくなるような
何もない空の大きさを見上げるだけで
心がスーッと澄み渡るような

行き詰っても疲れ果てても
謝る言葉に悔しさが突き刺さっても
大丈夫だよ頑張れよの声がする





九拍

2022-03-14 | 心音
初めからやり直せないなら
このまま進むしかない

同じスタートラインに
繰り返し戻れたとしても
それでも
時は進み未来の今に立っている

過去を悔やみ
違う未来を目指そうとしても
この場所を変えられないなら
ここを始まりとする

未完成だから面白い
愚かだから逞しい
見つからないから探し続ける
何度でも笑顔と出会うまで



八拍

2022-03-13 | 心音
その言葉の後ろ側が見える

優しい響きで
柔らかな速さで
くちびるが音を奏でる

落ち着くような
夢を見ているような
心地よさの中にしみ込むように

言葉を拾うには穏やかすぎて
すべてをゆだねてしまいそうで

なのになぜか
子守歌には聞こえない
泣き疲れても眠れはしない

声にならない言葉の意味が
あふれる涙でおぼれてる


七拍

2022-03-12 | 心音
黙っていれば喧嘩にはならない
けれど
近くにいても何も見えない
何も見ていない

体温の距離で平穏を望んでも
心の隙間に冷たさが宿るなら
静けさは虚しさに変わり
寂しさは逃げ場を失う

ここにいるよと言われなくても
ここにおいでと呼ばれなくても

まばたきのその瞬間に
瞳に映るチャンスがあるなら
眩しさも痛みもこらえて
見つめていたいのに