日本国内では返還を、ロシア国内では日本に渡すなという世論はあるものの、ロシアで強力な支持を取り付けるプーチンと日本では珍しく安定政権となっている安倍首相の間で、これまでにはないやり取りが行われている。
かつて故・橋本龍太郎元首相と故・エリツィン大統領の良好な関係から進展も期待されたが、橋本元首相が選挙で敗北したため政権を降りた事から頓挫した。
また橋本・エリツィンの際は東西冷戦の影響が色濃く残っており、アメリカはロシアが不凍の国後水道をロシアの領土と認めてはならないという軍事的な立場から、4島一括返還から一切の妥協をするなという圧力がかけられていた。
橋本元首相は選挙で敗北しあっさり降りたのは、アメリカからの圧力があった為に身動きが取れなくなった事が原因とも言われている。
では何故安倍・プーチンは橋本・エリツィンほどの親密さがない状態なのに進展が期待されているのか、その答えはアメリカと中国だ。
まずアメリカはオバマ大統領になってから「アメリカは世界の警察ではない」として恫喝的な圧力をかける事がめっきり減った。
また昨今大統領選への動きでオバマが進めようとしているTPPでも、ヒラリーとトランプが共に内向きな動きを打ち出しているなど国内問題で手一杯といったところだ。
またロシアは強力な覇権を目指す中国に対し疑心暗鬼となっており、中国と距離を置くためには日本が欠かせないという背景もある。
日本とロシアの2国間関係だけでなく、世界情勢を見ても今が絶好のチャンス、もしかすれば最後のチャンスという事になるのだ。