タクシー業界ではこれまでの主流であるコンフォート・クラウンコンフォート(TOYOTA)等のセダンがいよいよ終焉となり、TOYOTAでは新たに「JPNタクシー」(ジャパンタクシーと読む) がこの秋に発売開始となる。
この度自身の勤めている会社にJPNタクシーのデモカーが来て構内を運転したので、本業タクシードライバー目線により画像を交えながら紹介していく次第です。
今回は上級グレードタイプで標準グレードはボディが白でバンパーやグリル部分は黒とコンフォート等に倣っているが、機能面では日産やねNV200で消えたフロント部分のフェンダーミラーが残った点は大きいポイントだろう。
そしてリアはハッチバックとなった関係で後ずさりが問題となるが、上が絞られているため開け閉めするための幅が少なく済んでいる。
コンフォート系のヒンジ式から、スーツケースや車いすが乗せられる開口部の広いスライド式に変わった自動ドア。
厳密に言えばコンフォートの自動ドアはテコ式か圧縮空気式の「自動式ドア」であったが、JPNタクシーでは完全な自動ドアとなる。
ただボタンワンプッシュ式だと開閉事故が考えられるため、開閉が終わるまでドアボタンの操作が必要である。
なお開閉時は後ろから確認しやすいようドアが開くと青く光るようになっている。
反対側はスライドドアではなくヒンジ式の手動となっている。
反対側がヒンジ式となったのは、通常車道となるため乗降時の事故に繋がる可能性があるため開閉の確認に有用であるとの事。
なお自動式ドアの整備は1台10万円ほどかかるが、JPNタクシーではスライドドアが標準装備なのでこの負担がなくなる。
運転席は全てAT式となるためインパネシフトとなっており、サイドブレーキも踏み込み式となっている。
また装置が運転廻りに集約されている点に加え、コンソールが客席から見えない配置であるため旅客目線では非常にスッキリした仕上がりであろう。
更に空調もつまみ式から温度設定式となっていて時代を感じる。
いよいよ旅客から見える部分。
スライドドアを開けるとこれまでのコンフォートより格段に広く段差がない。
コンフォートはFRでリアタイヤに動力を伝えるため中央部分が盛り上がっていたのだが、JPNタクシーではFFにする事でフラットな床に仕上げられた。
後述の車いすもそうだが、1~2人ならば大きいスーツケースもトランクに入れず車内へ収納しやすくなる。
なお握り棒が独特の形をしているのは、捕まりやすさを訴求した事からこの形になったとの事。
最大の特徴とも言えるのは、リア座席と助手席を畳みスロープにより車いすのまま乗り降りが可能になる点だろう。
これまで通常のタクシーでは付添人が必須であるが、JPNタクシーでは移動だけであれば付添人が不要となる。
とは言えセットに手間がかかるため、通常は車いすから降りて乗車してもらう事となるが、それでもリア部分に車いすを搭載しやすくなる点は大きい。
なおスロープ搭載で60万円の補助金が出るとの事。
最後に乗車した時に見える光景がこちら。
運転と後ろに乗った際の感想は、とてもハンドルが軽いという事とLPGハイブリッドであるため走行音がとても静かである事であろうか。
《結び》
最近トヨタ車は仕上がりがカッコ悪いという評をよく耳にするが、タクシーのような営業車は機能性や快適性が最優先となるため、業界各社では概ね前評判は良いとの事。
そしてコンフォートよりも120万円程高いが、自動ドア整備コスト10万円がなくなり、スロープ付き車いす対応で60万円の補助金が出れば差し引き70万円、更にハイブリッドによる燃費で消化できると見られるため、コストパフォーマンスも良いという事である。
しかし最後にこう言うのもアレだが、マニュアルトランスミッション(MT)を設定が廃止になってしまうのはMT車乗りとしては時代の流れとは言え悲しい事である。