祈る水鳥
川面に幾千幾万の銀貨を敷き詰め
朝日が輝きはじめる
小川には岩が頭を出している
岩の上には水鳥がのり
朝日に向かって
いくどもいくども頭を下げている
なぜか自分にないものを
グッと衝かれたようで
私は不安になる
肌に当たる飛沫は
刺されるばかりに冷たい
近づいて見ると
鳥はお辞儀をしているのではない
岩山から流れに嘴を入れて
水を飲んでいた
私はほっとし
水鳥が祈るようになったら
おしまいだ
と安堵の息をつく
だが かりそめにも
祈っているように見えたことが
痛みとなって
ずきずき我がうちに広がりはじめる
☆