goo blog サービス終了のお知らせ 

高齢者になっても、ヒマ・ひま・暇やはり暇

高齢者「さいら」ブログ。リタイヤーから、晴れて高齢者の仲間入り。店名をマイナーチェンジ。内容は以前と同様雑他。

*オリンピックに寄せて*再掲

2008年10月26日 | 外なる話題
オリンピック(1):選手(2008年8月21日)
オリンピックたけなわである。そんな時にオリンピックの話題も「さいら」ブログに一つや二つあってもよさそうだ。
勝ち負けは兎も角として、選手には本当に驚く。例えば、陸上の100メートル競走の選手になったとしよう。10代から始めて20代後半ぐらいまでの間に、どれだけ自分の記録が伸びるのであろうか?走っても、走っても、いくら努力しても、自分の限界がすぐ近くにある。精々3秒ほど縮まるだけだ。その間、長期の体調不良になることもあろう。そんな時は自分のベスト記録からも遠ざかる。悶々とした月日が続く。
また、資格試験と違って、順位で優劣をつけるのであるから、選手みんなが一番にはなれない。
そんな状態を考えると、「さいら」なら直ちに脱落になってしまう。とてもそれに耐えることはできない。長期間モチベーションを維持することは出来ない。そう思うと、単に記録だけでなくて、その精神力に頭が下がる。

オリンピックに寄せて(2):記録(2008年8月26日)
計測機器も記録に影響する。昔は手押し式のストプウオッチで計測した。その精度も精々0.1秒までであったし、測定者固有の誤差も入ってしまう。陸上競技では、ゴールラインには脚立に乗ったタイム計測員がいた。水泳競技では時間を測定する人と順位を判定する人が別々にいた。順位を判定する人が優先された。だから、タイムが遅くても1位になることも無きにもあらずであった。
その集計もすべて手作業であった。結果が出るのに時間もかかった。
今は測定も大きく変化して、全て自動で測定され、100分の1秒まで測定される。大概の場合、その結果は瞬間にボードに表示される。
陸上ではピストルの音が自動的に計測開始になり、微妙な順位判定には写真判定が用いられる。


オリンピックに寄せて(3):用具(2008年8月28日)

今回のオリンピックでは特に水泳では記録ラッシュであった。勿論オリンピック前に日本で問題となった某社の水着もその要因の一つであろう。このような事例は過去にもいくつかある。
昔、棒高跳びの棒は竹を使用していたが、グラスファイバー製品が出た。その時にも記録ラッシュになった。卓球では、日本選手が使い始めたラバーは禁止された。その時は
我が国の国際的な影響力の無さが話題になった。陸上選手では靴が問題になり、靴のメーカーは宣伝効果があるので、その選手の個人仕様の靴を採算を度外視して製作する。
今回のオリンピックでも、日本選手が走行中に靴が脱げてしまって散々な記録に終わった。しかし、靴ではアベベの事例もある。1960年のローマオリンピックではエチオピアの無名選手であったアベベがマラソンで優勝した。その時、アベベは裸足で走った。「裸足の王様」と言われた。しかし、アベベはいつも裸足で走っていた訳ではない。直前にたまたま使用していた靴が壊れたためであった。強い選手に取っては用具は関係ないのかも知れないが、これはあくまでも例外である。
そのアベベは次の東京オリンピックでも優勝した。勿論期待に反して、靴は履いていた。ローマ・東京、どちらも当時の世界最高記録であった。
全く逆のケースもある。陸上競技の槍投げでは、その投擲技術が非常に向上したために
飛距離が100メートルを超えるのが通常になった。そのために、トラック競技に支障をきたすようになった。それで、止むを得ず、槍の仕様変更が行われて、あまり飛ばない槍が今では用いられている。
このように見てくると、ごく少数の事例を除いて確かに運動用具は記録に大きく影響することが分かる。


オリンピックに寄せて(4):競技技術(2008年8月30日)
しかし記録が伸びたのは用具ばかりではなさそうである。技術的に見て、水泳は未完成なのであろうと思う。
これも昔、日本で発達した平泳ぎでの「潜水泳法」が禁止されたときには記録が大幅にダウンして日本の平泳ぎは低迷したた。そう言えば、水泳のバタフライは平泳ぎの泳法解釈から新しい競技種目となった。昔、長距離の自由形の推進力はキックが主であった。1500メートルでもシックスビートが日本流であった。それが、オーストラリア選手の手で掻く推進力をベースにした泳法は記録を大きく伸ばした。
水泳競技ではスタートの飛び込み、宿命であるターンも大きく様変わりした。
このような競技技術の進歩は挙げればきりがないほどである。
陸上でもある。走り高跳びでは、昔は非常にきれいなベリーロールが主であったが、いつの間にか、背面跳びになった。最初見た時は何でこんな跳び方をするのか不思議であった。しかし、背面跳びはその記録を大幅に伸ばした。
記録が伸びるのは技術的な側面もある。競技選手そのものの能力と用具と技術とが
記録を支えていることになるのかもしれない。

オリンピックに寄せて(5):スポーツ科学・医学(2008年9月12日)
水泳の水着もそうであるが、その用具を開発するには現代科学の粋を集めて行われる。
スキー競技のジャンプでは昔の映像を見ていると腕をぐるぐる回している選手が多かった。腕をプロペラ代わりにして推進力を得ようとしていたのだろうか?最近では橇を八の字に開いて、前傾しては斜め後ろである。これはまさに空気抵抗を少なくして、出来るだけ揚力を発生するための流体力学の成果である。
練習方法も高地トレーニングや、その競技に必要な特別メニューの筋力トレーニングが行われる。それにしても、そのようなドクターがついていながら、今回の男女マラソン競技で棄権者が出たのは信じられないことではある。この事例はスポーツだけの医学だなくて「主治医的医者」が必要でもあることを示している。
ただ、スポーツ医学・科学の発展は困った問題も発生することになった。「ドーピング問題」である。今回のオリンピックでもドーピングで失格の結果になった選手も散見された。ドーピングと言えるかどうか分からないが、今、大相撲力士の大麻吸引が話題になっている。
それやこれやを考えるとスポーツ選手は大変である。意図的なドーピングの誘惑に負けることもあるであろう。そうでなくても、うっかりと市販の薬や栄養剤を飲むことも問題となる。専門のスポーツ医にお伺いを立てて、ドーピングにかからない処方が必要となる。
科学の発展と言うものはいつも・どこでも、両刃の刃であることは注意が必要であろう。

オリンピックに寄せて(6):社会的要因(2008年9月14日)
昔オリンピックは「アマチュアリズム」がベースで有った。プロとは違うところが「売り」であった。プロ選手は当然ながら会社とかから報酬をもらうことや専属契約を結ぶことも参加資格で論議された。そこに近代オリンピックの崇高な意志が感じられた。
その内に、オリンピックでの選手の好成績、特にメダルを獲ることは「国家発揚」になることが分かった。確かに金メダルを取って、国歌演奏と国旗掲揚は時の政府にとっては「国家発揚」の大きな要因になる。金メダルとか国家発揚に余り深入りしない「さいら」であるがそれでも、君が代と日の丸は格別な味わいがある。
その結果、スポーツのプロ化が進んでいなかった旧社会主義国家では国家の手厚い保護と育成手段が取られた。メダルの色によって報奨金も支払われた。「英雄」としての名誉も与えられた。「ステートアマ」なる言葉が生まれた。実際のところ、ステートアマはプロと違いがない。
さらに、色んなスポーツがプロ化していった。オリンピックを興行的に捉えるといわゆるプロ的な選手を除外することは興味半減になる。この事情は例えば、サッカーを見るとよく分かる。オリンピックのサッカーは年齢制限があり、他方、サッカー選手権は本当に各国のプロのリーグ戦の一流選手を集めて行われる。その熱気はオリンピックに比較できないほどである。
考えると、IOCそのものが、4年に一回の世界のショーを企画するところであり、それぞれの分野での一流選手を集めて、最大のショーを企画するためには、アマチュア精神に自ら捉われることは大きな損失であり、徐々にアマチュア精神は横に置いておかれることになった。

オリンピックに寄せて(7):陸上男子100メートル記録(2008年9月16日)
陸上男子100メートル競走で世界新記録が出た。9.7秒を切る信じられない記録である。走り方を見ていると、まだまだ記録は伸びそうである。
ところで、この記録はどこまで伸びるのであろうか?「さいら」が若かりし頃は、10秒を切ることは出来ないと言われていた。実は2004年の9月までのオリンピック陸上男子100メートル記録を解析した研究レポートがNatureに掲載されていた。それによると今から100年以上昔の1900年のオリンピックの優勝タイムは11.0秒とある。今なら、日本の選手もトップ間違いがない。オリンピックで10秒を切ったのは1992年であった。約100年間で1秒縮めたことになる。
その解析によると、と言っても、過去の記録を線形回帰して、外挿したもので、解析と言うほどのものではないが、今回の北京オリンピックの予測タイムは9.73±0.144秒となっている。単純な予測とは言え、95%信頼区間の中に今回の世界記録は収まっている。驚くべき記録と言うが、統計上は必ずしもそうではないことに気づいた。

オリンピックに寄せて(終章):陸上100m競争女性の場合(2008年9月17日)
前の記事で記載した解析は女性陸上100メートル競争についても行われている。その結果に興味ある記述がある。女性の同じ100メートルの記録も併せて掲載されていて、現在の記録のトレンドが、そのまま続くと言う仮定の下であるが、それはそれは驚くべき結果になっている。
男子の西暦2156年(なんと今から約150年ほど先の話であるが)のオリンピック陸上男子100メートル予測記録は8.098秒と現在よりも0.5秒ほど早くなっている。
問題は女性の予測値だ。女性のそれは8.079秒となり、95%信頼区間で、女性の方が男性よりも良い記録になると予測されている。西暦2156年の陸上100m競争では
女性の記録が男性の記録を上回る。
その原因は線形単純回帰したときの男性と女性との勾配の差である。一年当り女性は0.017秒記録が伸びるのに対して、男性では0.011秒しか伸びない。その差はわずか0.006秒であるがそれが毎回蓄積される結果である。そんなことはあり得ないと考えるのも自由であるが、そして「さいら」もそう思ってはいるが、そういう時代がひたひたと歩み寄っているのは事実かも知れない。
社会への女性進出は確実に多くなっている。心肺能力も女性の方が本当は良いのかもしれない。実は酸素呼吸に深く関係しているミトコンドリアは片親遺伝するのが基本である。男性のミトコンドリアDNAは排除されている。この事実は単にヒトだけではなくて性がある生き物に共通した現象である。(ミトコンドリアでついてはその内に記事にすることもあろう。)
従って、今我々が思うほど、男女間の格差はないのかも知れないし、本当は逆なのかもしれない。スポーツ界で騒がれたことがあるセックスチェックと全く逆のセックスチェックが必要となる時代が到達するかもしれない。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。