REIT(2007年7月17日)
かなり前であったが、証券会社の営業マンのお進めもあり、IPOで「某EIT」銘柄が抽選で当たったことがある。当時は殆どのIPOの初値は購入価格を大幅に上昇して,数日で倍以上の儲けになると言う美味しい話を聞いていた。IPOは証券会社の顧客引き止め・誘引に利用されていた。最近は透明性が言われて、疑うことは失礼かも知れないが、応募者間の公平な抽選は実のところその真偽は分からない。資産額の大きい優良顧客・新規顧客には必ず値上がりするものを紹介し、「さいら」のようなどうでも良い顧客には、売れ残りのお鉢が回ってくるのが通常である。抽選に「当たった」と言えば、聞こえがよいが、抽選無しであったと思う。それは分かっていても、それなりに、大いに期待したものである。
ところで、その「某REIT銘柄」であるが、上場初日はご祝儀もあって、何とか売り出し価格を維持したが、その後、何と「下がる。下がる。」で、気分が良くなかった。ただ、痩せても枯れてもREITであるので、分配金は今の預金利子などに比較しても比べものにならない程良いのは確かである。それならと言うことで、3年程、ずっと持ち続けた。所謂「分配金期待」で、年二回の分配金支払い通知は妻のささやかな楽しみであった。
その後、「REIT組み込み投信」の流行に乗って、他のREIT銘柄は急上昇して行った。にもかかわらず、その後も肝心の「某REIT銘柄」だけは上がるどころか、買値を下回る状況が続いた。そのREIT銘柄は何処か大きな欠陥があるのか?と実は焦っていた。ところが、今年の春になってから、価格が上がりだした。漸く、他のREIT並みになってきた。REIT組み込み投信も、他の銘柄が高くなって、利回りの魅力は薄れてきていて、遂にその「某REIT銘柄」にまで手を出さざるを得ない状況になって来た様である。分配金の益回りは買値から見ると年4%を超えるので、魅力的であったが、今のキャピタルゲインを分配金のインカムゲインでペイするには10年以上掛かる。当面は市場金利がさらに上昇することも考えられた。これはREITにとっては当面好ましい状況ではない。何れ、家賃収入・地価の上昇等から、分配金は上がるにしても、タイムラグが有り過ぎる。通常の株のように何かの拍子で大きく上がることもない。とか何とか屁理屈を付けて、結局妻には申し訳ないが、売ることにした。
「さいら」にとっては、滅多にない「損をしなかった」事例であるので特記事項として記事にしてみた。
自分が恐ろしくなる時(2007年8月6日)
七月の後半、所有していた投資信託を全て売却した。と言っても額は微々たるものであることは勿論である。年始めから考えていたことであるが、証券会社の不祥事・昔の株屋から脱却しない営業マンの不正確な投信知識が遠因にあって、仕切直す時は証券会社を変えるつもりであった。その仕切直しのタイミングを考えていた。投信の場合融通が利かない。株・国債は新しい証券会社に移管が可能であるが、殆どの場合、投信はその証券会社の商品であるので、証券会社を変更することは売却しなければならないことになる。まあ、一度、現金化しておくのも悪くはない。そう言うことがあって、タイミングを考えていた。
ダウ平均は1万4千円を景気よく超えた直後から、急に不安定になってきた。為替レートも円高に触れてきた。乱高下している時の投信の売却は難しいが、丁度仕切直しの時であると考えた。勿論今回も一時的な調整であると巷では言われているが、今後数年間今までの上昇トレンドが続くかどうか、不明であり、「行け行けドンドン劇場」は終演にしたい。と言うことで、一時的に投信から手を引いた。その後も、株式はニューヨークダウ以外もヨーロッパでは下落傾向が続き、ロシア・インド・勿論日本も乱高下している。それに伴って債券市場も乱高下している。そして、円高基調は未だ続いている。一時的に待避してみると、今までとは全く違う自分がいるのに気付く。
「株は下がれ。もっと下がれ。」「円は上がれ。もっと上がれ。」と思ってしまう「さいら」がいた。恐ろしい自分がそこにいた。
資産成長型(2007年8月13日)
最近の投信の傾向として、一ヶ月とか、六ヶ月とかで決算をして成績がよい場合は
分配金を支払うものが多くなっている。債券が主たる投資対象は別にして決算をしても、分配金を出すのではなくて(目論見書では分配金を出せる仕様になっているが)、そのまま、運用を続けるものが多かったように思う。この場合は基準価格が上昇していく。
その最近の決算ごとの分配金支払いであるが、分配金受領の方法で分けることも出来る。一つは、その分配金を更に、その投信に投資して、口数を増やす再投資の方法ともう一つは分配金をキャッシュで受領する方法である。前者は、当然であるが再投資分は購入手数料が不要であるし、諸税負担は別にして、複利効果が生まれる。投資としてはその方が効率がよい。確かに、そうであるが、そこには落とし穴もある。基準価格が何らかの要因で下落した時には、その分、損失も複利的に膨らむ。口数が増加する点では確かに資産成長型であるのは間違いないが・・・。利益が出た時は、現金化しておくのも確実な方法である。どちらを選ぶかは購入する者の意思である。
なんぼなんでも(2007年8月16日)
未だ世界の株式は乱高下を繰り返している。今回はいつものような日柄調整だけで無さそうな雰囲気をアナリストは口にし始めた。投信愛好者は多分一年を棒に振った。絵に描いた餅を鑑賞出来たかも知れないが、餅は食べてこそ美味しい。今回はどうも餅がつき上がるのに一週間という訳にはいきそうにない。一番気になることであるが、一般投信のファンドマネージャーは今の状況にあってどうしているのであろうか?彼らは決してアナリスト的傍観者ではない。他人の大切なお金を運用している正に当事者だ。只じっと暫く我慢をして、雰囲気が好転するまでジタバタしないで見ているのであろうか?投信購入者に、「いつもの調整」とか「世界的な暴落」とか不可抗力の言い訳け言葉を探しているのだろうか?報酬が目減りするのを心配しているのだろうか?一過性であることを神仏にひたすら祈っているのであろうか?手持ち現金で、この時がチャンスだとして買いに走っているのであろうか?大量解約に備えて、売る算段をしているのであろうか?
そんな中でも個々の銘柄を見ると上がっている銘柄もある。キッと経験有る方はそれを見極めることが出来るのであろう。投信の恐ろしさは、購入者の意思表示は、じっと待つか、解約しかないことである。その結果として、見切りを付けると解約続出で、換金のために、意に反して売却せざるを得ないことになる。それが株価に拍車を掛ける。そして、モラトリアムの恐れもある。
このカテゴリの「自分が恐ろしくなる時」で最近の株価乱高下の記事を書いた。だから、今、株価指標は幾ら下がっても、幾ら円高になろうと部外者である。しかし、なんぼなんでも八月の株価の下げは一過性としては行き過ぎであろうと傍観者になっても素人は思ってしまう。予定している九月再開も難しいか?債券で一・二年耐えるか?「さいら」の思案の為所である。
公定歩合(2007年8月20日)
この記事は投信とは直接関係ないが、最近の金融不安定に対処するために、米国連銀はFF金利でなく「公定歩合」を0.5%下げた。久し振りに「公定歩合」なる言葉を聞いた。銀行の金利自由化以前は、中央銀行がマネーサプライ調整の政策金利として「公定歩合」が主に用いられていた。中央銀行が銀行に貸し出す時の金利である公定歩合が正面であった。短期金利が一時的に急激に上げ下げする時には、買いオペ・売りオペが行われたが、主流は「公定歩合」であった。景気が過熱気味になると公定歩合を上げ、投資を抑制し、逆の場合は逆に決め、投資を促した。最近は、翌日物のコール金利が政策金利に用いられている。今では公定歩合はその上限として意味を持つようになり、FF金利に対して自動的に一定の金利上乗せをした金利体系になっていて、そう言う意味で今も用いられている。
若い頃、制度融資で利子補給事業をしていたことがある。公定歩合が変更になると、基準金利が変更になり、利子補給率を変更する。バブル時期にはその変更が頻繁に行われた。それを見て、何処か金融に大きな混乱が生じていると思った。只、漁業金融の面ではその施策が有効に反映されたかどうかは分からない。漁業の場合は景気云々と言うよりは、対象資源の動向、それに基づく漁獲量のトレンド、さらに、後継者の有無等によって、投資動向は左右されることが多い。
かなり前であったが、証券会社の営業マンのお進めもあり、IPOで「某EIT」銘柄が抽選で当たったことがある。当時は殆どのIPOの初値は購入価格を大幅に上昇して,数日で倍以上の儲けになると言う美味しい話を聞いていた。IPOは証券会社の顧客引き止め・誘引に利用されていた。最近は透明性が言われて、疑うことは失礼かも知れないが、応募者間の公平な抽選は実のところその真偽は分からない。資産額の大きい優良顧客・新規顧客には必ず値上がりするものを紹介し、「さいら」のようなどうでも良い顧客には、売れ残りのお鉢が回ってくるのが通常である。抽選に「当たった」と言えば、聞こえがよいが、抽選無しであったと思う。それは分かっていても、それなりに、大いに期待したものである。
ところで、その「某REIT銘柄」であるが、上場初日はご祝儀もあって、何とか売り出し価格を維持したが、その後、何と「下がる。下がる。」で、気分が良くなかった。ただ、痩せても枯れてもREITであるので、分配金は今の預金利子などに比較しても比べものにならない程良いのは確かである。それならと言うことで、3年程、ずっと持ち続けた。所謂「分配金期待」で、年二回の分配金支払い通知は妻のささやかな楽しみであった。
その後、「REIT組み込み投信」の流行に乗って、他のREIT銘柄は急上昇して行った。にもかかわらず、その後も肝心の「某REIT銘柄」だけは上がるどころか、買値を下回る状況が続いた。そのREIT銘柄は何処か大きな欠陥があるのか?と実は焦っていた。ところが、今年の春になってから、価格が上がりだした。漸く、他のREIT並みになってきた。REIT組み込み投信も、他の銘柄が高くなって、利回りの魅力は薄れてきていて、遂にその「某REIT銘柄」にまで手を出さざるを得ない状況になって来た様である。分配金の益回りは買値から見ると年4%を超えるので、魅力的であったが、今のキャピタルゲインを分配金のインカムゲインでペイするには10年以上掛かる。当面は市場金利がさらに上昇することも考えられた。これはREITにとっては当面好ましい状況ではない。何れ、家賃収入・地価の上昇等から、分配金は上がるにしても、タイムラグが有り過ぎる。通常の株のように何かの拍子で大きく上がることもない。とか何とか屁理屈を付けて、結局妻には申し訳ないが、売ることにした。
「さいら」にとっては、滅多にない「損をしなかった」事例であるので特記事項として記事にしてみた。
自分が恐ろしくなる時(2007年8月6日)
七月の後半、所有していた投資信託を全て売却した。と言っても額は微々たるものであることは勿論である。年始めから考えていたことであるが、証券会社の不祥事・昔の株屋から脱却しない営業マンの不正確な投信知識が遠因にあって、仕切直す時は証券会社を変えるつもりであった。その仕切直しのタイミングを考えていた。投信の場合融通が利かない。株・国債は新しい証券会社に移管が可能であるが、殆どの場合、投信はその証券会社の商品であるので、証券会社を変更することは売却しなければならないことになる。まあ、一度、現金化しておくのも悪くはない。そう言うことがあって、タイミングを考えていた。
ダウ平均は1万4千円を景気よく超えた直後から、急に不安定になってきた。為替レートも円高に触れてきた。乱高下している時の投信の売却は難しいが、丁度仕切直しの時であると考えた。勿論今回も一時的な調整であると巷では言われているが、今後数年間今までの上昇トレンドが続くかどうか、不明であり、「行け行けドンドン劇場」は終演にしたい。と言うことで、一時的に投信から手を引いた。その後も、株式はニューヨークダウ以外もヨーロッパでは下落傾向が続き、ロシア・インド・勿論日本も乱高下している。それに伴って債券市場も乱高下している。そして、円高基調は未だ続いている。一時的に待避してみると、今までとは全く違う自分がいるのに気付く。
「株は下がれ。もっと下がれ。」「円は上がれ。もっと上がれ。」と思ってしまう「さいら」がいた。恐ろしい自分がそこにいた。
資産成長型(2007年8月13日)
最近の投信の傾向として、一ヶ月とか、六ヶ月とかで決算をして成績がよい場合は
分配金を支払うものが多くなっている。債券が主たる投資対象は別にして決算をしても、分配金を出すのではなくて(目論見書では分配金を出せる仕様になっているが)、そのまま、運用を続けるものが多かったように思う。この場合は基準価格が上昇していく。
その最近の決算ごとの分配金支払いであるが、分配金受領の方法で分けることも出来る。一つは、その分配金を更に、その投信に投資して、口数を増やす再投資の方法ともう一つは分配金をキャッシュで受領する方法である。前者は、当然であるが再投資分は購入手数料が不要であるし、諸税負担は別にして、複利効果が生まれる。投資としてはその方が効率がよい。確かに、そうであるが、そこには落とし穴もある。基準価格が何らかの要因で下落した時には、その分、損失も複利的に膨らむ。口数が増加する点では確かに資産成長型であるのは間違いないが・・・。利益が出た時は、現金化しておくのも確実な方法である。どちらを選ぶかは購入する者の意思である。
なんぼなんでも(2007年8月16日)
未だ世界の株式は乱高下を繰り返している。今回はいつものような日柄調整だけで無さそうな雰囲気をアナリストは口にし始めた。投信愛好者は多分一年を棒に振った。絵に描いた餅を鑑賞出来たかも知れないが、餅は食べてこそ美味しい。今回はどうも餅がつき上がるのに一週間という訳にはいきそうにない。一番気になることであるが、一般投信のファンドマネージャーは今の状況にあってどうしているのであろうか?彼らは決してアナリスト的傍観者ではない。他人の大切なお金を運用している正に当事者だ。只じっと暫く我慢をして、雰囲気が好転するまでジタバタしないで見ているのであろうか?投信購入者に、「いつもの調整」とか「世界的な暴落」とか不可抗力の言い訳け言葉を探しているのだろうか?報酬が目減りするのを心配しているのだろうか?一過性であることを神仏にひたすら祈っているのであろうか?手持ち現金で、この時がチャンスだとして買いに走っているのであろうか?大量解約に備えて、売る算段をしているのであろうか?
そんな中でも個々の銘柄を見ると上がっている銘柄もある。キッと経験有る方はそれを見極めることが出来るのであろう。投信の恐ろしさは、購入者の意思表示は、じっと待つか、解約しかないことである。その結果として、見切りを付けると解約続出で、換金のために、意に反して売却せざるを得ないことになる。それが株価に拍車を掛ける。そして、モラトリアムの恐れもある。
このカテゴリの「自分が恐ろしくなる時」で最近の株価乱高下の記事を書いた。だから、今、株価指標は幾ら下がっても、幾ら円高になろうと部外者である。しかし、なんぼなんでも八月の株価の下げは一過性としては行き過ぎであろうと傍観者になっても素人は思ってしまう。予定している九月再開も難しいか?債券で一・二年耐えるか?「さいら」の思案の為所である。
公定歩合(2007年8月20日)
この記事は投信とは直接関係ないが、最近の金融不安定に対処するために、米国連銀はFF金利でなく「公定歩合」を0.5%下げた。久し振りに「公定歩合」なる言葉を聞いた。銀行の金利自由化以前は、中央銀行がマネーサプライ調整の政策金利として「公定歩合」が主に用いられていた。中央銀行が銀行に貸し出す時の金利である公定歩合が正面であった。短期金利が一時的に急激に上げ下げする時には、買いオペ・売りオペが行われたが、主流は「公定歩合」であった。景気が過熱気味になると公定歩合を上げ、投資を抑制し、逆の場合は逆に決め、投資を促した。最近は、翌日物のコール金利が政策金利に用いられている。今では公定歩合はその上限として意味を持つようになり、FF金利に対して自動的に一定の金利上乗せをした金利体系になっていて、そう言う意味で今も用いられている。
若い頃、制度融資で利子補給事業をしていたことがある。公定歩合が変更になると、基準金利が変更になり、利子補給率を変更する。バブル時期にはその変更が頻繁に行われた。それを見て、何処か金融に大きな混乱が生じていると思った。只、漁業金融の面ではその施策が有効に反映されたかどうかは分からない。漁業の場合は景気云々と言うよりは、対象資源の動向、それに基づく漁獲量のトレンド、さらに、後継者の有無等によって、投資動向は左右されることが多い。