超能力(1)
大学一回生の時、体育会系の合宿の出来事。肉体疲労極限の就寝前の団らんで或る先輩が言いました。「超能力は信じないかも知れないが、有るんだ。」そして、その先輩は五円硬貨を糸に結んで指からぶら下げます。そして「右・左に動け」とみんな分かるように念じます。確かにその様に動きます。正確に右左です。次に前・後に動け」と念じます。確かにその様に動きます。正確に前後です。更に「まわるく、まわるく」と念じます。確かに吊した五円硬貨は円を描いて動きます。これは真円とは言い難いですが、回るく動きます。それを見て、みんな疑心暗鬼です。
勇気ある同輩が恐る恐る言いました。「先輩、それは先輩がワザと動かして居るんでしょう??」したり顔で先輩は「やってみ」と言いながら、用意した幾つもの五円硬貨を取り出して、糸を結んで私たちにくれます。
やってみると、確かに念じる通りに五円硬貨は動きます。「さいら」だけではありません。個人差はありますが、それは念の入れ方次第。「もっと、もっと、念を」そう、そう」と先輩が助言します。不思議なことにその内に、念の通りに動きます。「分かったやろ。」「これは、精神が肉体を制する証拠だよ。」と言う訳で、その先輩は何時も幾つかの五円硬貨と糸を持ち歩いていると言うことでした。超心理学研究会の「広報活動」と共に自らの「超能力開発」の道具としてです。
超能力(2)
学生時代の当時、超常現象と言うか、心霊現象と言うか、超能力者の科学的研究が思ったよりも多く、真剣に行われていました。特に、ソ連では対潜水艦の通信確保のために軍事的利用観点から超能力者の透視能力・予知能力を利用するための実験も行われていました。
その基礎的実験の中で、目隠しをして、出されたカードの種類とか数を念を入れて、「当てる」実験がありました。旨く行くと、正に潜水艦との通信に利用できる可能性が有ります。
国内から選抜された透視能力があると言われる超能力者がそれをすると結構当たるそうです。ところが、ある時、被験者の体調不良かどうか分かりませんが、全く当たらないことがありました。実験の主催者は「そんなことはない。」と「折角、苦労して探してきたのに。」「ただの人だったのか?」と嘆いたのです。
なかなかの知恵者が居て当たらないことを科学的に検証したそうです。そして超能力者が言うカードの種類とかが数枚ずれている。「ずらしてみると、何枚か先のカードの種類とか数を正しく言っている。」正に、この超能力者は間違いなく「予知能力を持っている。」と言う訳で益々その研究に拍車が掛かったそうです。
少々真面目に戻るとソ連がスプートニクを打ち上げた数年前から高速流体力学・ポンプの研究論文が非常に多くあったと言うこと。一方で、このような心霊的な実験が進められていたこと。更に、生物・政治の世界のルイセンコ問題。科学とは?科学者とは?悩んだ時代でもあります。
超能力(3)
話は戻って、その「超心理学研究会」の先輩の話です。「実はな、ワシも超能力保持者なんだ。」「それに気がついたのは・・・」とその五円硬貨実験の後、話を続けます。通学途中の電車の中で急に「おでこ」が前から押さえつけられる時があった。
と言いながらその先輩は握り拳を「おでこ」において首を後の方へ曲げます。不思議な気持ちになったそうです。その時何気なく後ろを振り返ったそうです。後には、若い・美人の女性が立っていたそうです。その時は特にその「おでこ現象」も気に留めなかったそうです。しかし、同じ様な「おでこ現象」が電車の中だけでなくその後も続いたそうです。
そして、その時は必ず後に「若い、美人の女性」が居たんだそうです。それで、その「超心理学研究会」の先輩は疑うこともなく、自らの超能力を自覚したそうです。
その話を聞いて「孫悟空じゃ有るまいし」とヤッカミ半分でした。しかし、です。「さいら」も電車に乗るたびに「おでこ現象」の発現を期待・願望して一生懸命、念じたのであります。しかし、一向にその気配さえ有りませんでした。やっぱり「さいら」はただの人であったのです。唯一の救いは先輩の「美人・若い」の範疇は非常に幅が広いであろうと勝手に想像して自分自身を納得させることが出来たことです。
これにて、「超能力」は一件落着です。
大学一回生の時、体育会系の合宿の出来事。肉体疲労極限の就寝前の団らんで或る先輩が言いました。「超能力は信じないかも知れないが、有るんだ。」そして、その先輩は五円硬貨を糸に結んで指からぶら下げます。そして「右・左に動け」とみんな分かるように念じます。確かにその様に動きます。正確に右左です。次に前・後に動け」と念じます。確かにその様に動きます。正確に前後です。更に「まわるく、まわるく」と念じます。確かに吊した五円硬貨は円を描いて動きます。これは真円とは言い難いですが、回るく動きます。それを見て、みんな疑心暗鬼です。
勇気ある同輩が恐る恐る言いました。「先輩、それは先輩がワザと動かして居るんでしょう??」したり顔で先輩は「やってみ」と言いながら、用意した幾つもの五円硬貨を取り出して、糸を結んで私たちにくれます。
やってみると、確かに念じる通りに五円硬貨は動きます。「さいら」だけではありません。個人差はありますが、それは念の入れ方次第。「もっと、もっと、念を」そう、そう」と先輩が助言します。不思議なことにその内に、念の通りに動きます。「分かったやろ。」「これは、精神が肉体を制する証拠だよ。」と言う訳で、その先輩は何時も幾つかの五円硬貨と糸を持ち歩いていると言うことでした。超心理学研究会の「広報活動」と共に自らの「超能力開発」の道具としてです。
超能力(2)
学生時代の当時、超常現象と言うか、心霊現象と言うか、超能力者の科学的研究が思ったよりも多く、真剣に行われていました。特に、ソ連では対潜水艦の通信確保のために軍事的利用観点から超能力者の透視能力・予知能力を利用するための実験も行われていました。
その基礎的実験の中で、目隠しをして、出されたカードの種類とか数を念を入れて、「当てる」実験がありました。旨く行くと、正に潜水艦との通信に利用できる可能性が有ります。
国内から選抜された透視能力があると言われる超能力者がそれをすると結構当たるそうです。ところが、ある時、被験者の体調不良かどうか分かりませんが、全く当たらないことがありました。実験の主催者は「そんなことはない。」と「折角、苦労して探してきたのに。」「ただの人だったのか?」と嘆いたのです。
なかなかの知恵者が居て当たらないことを科学的に検証したそうです。そして超能力者が言うカードの種類とかが数枚ずれている。「ずらしてみると、何枚か先のカードの種類とか数を正しく言っている。」正に、この超能力者は間違いなく「予知能力を持っている。」と言う訳で益々その研究に拍車が掛かったそうです。
少々真面目に戻るとソ連がスプートニクを打ち上げた数年前から高速流体力学・ポンプの研究論文が非常に多くあったと言うこと。一方で、このような心霊的な実験が進められていたこと。更に、生物・政治の世界のルイセンコ問題。科学とは?科学者とは?悩んだ時代でもあります。
超能力(3)
話は戻って、その「超心理学研究会」の先輩の話です。「実はな、ワシも超能力保持者なんだ。」「それに気がついたのは・・・」とその五円硬貨実験の後、話を続けます。通学途中の電車の中で急に「おでこ」が前から押さえつけられる時があった。
と言いながらその先輩は握り拳を「おでこ」において首を後の方へ曲げます。不思議な気持ちになったそうです。その時何気なく後ろを振り返ったそうです。後には、若い・美人の女性が立っていたそうです。その時は特にその「おでこ現象」も気に留めなかったそうです。しかし、同じ様な「おでこ現象」が電車の中だけでなくその後も続いたそうです。
そして、その時は必ず後に「若い、美人の女性」が居たんだそうです。それで、その「超心理学研究会」の先輩は疑うこともなく、自らの超能力を自覚したそうです。
その話を聞いて「孫悟空じゃ有るまいし」とヤッカミ半分でした。しかし、です。「さいら」も電車に乗るたびに「おでこ現象」の発現を期待・願望して一生懸命、念じたのであります。しかし、一向にその気配さえ有りませんでした。やっぱり「さいら」はただの人であったのです。唯一の救いは先輩の「美人・若い」の範疇は非常に幅が広いであろうと勝手に想像して自分自身を納得させることが出来たことです。
これにて、「超能力」は一件落着です。