川塵録

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「正体隠し」がどれくらい悪いのか

2023年09月04日 | 宗教
先日の、ネオ霊感弁連さんの会見を聞いていると、「関連団体が正体隠しをして…」と批判している(川井弁護士)。

うーん。

そもそも「正体隠し」ってなんだろう。この言葉が独り歩きしている。

ざっくり理解すれば、

正体(=ある宗教であること)を明かさずに伝道すること

だろう。

でも、どんな宗教でも、伝道ってのは、全人格的な行為だから、いきなり初対面から「○○教です、○○教に入りませんか」って伝道をすることはない(以下の『統一教会の検証』138頁)。

聖書でパウロが説いているように、相手に応じた、カメレオン的なコミュニケーションをする。伝道とはコミュニケーション。  過去の拙稿

また、敬虔な信者であればあるほど、全生活が、伝道。どこからが伝道で、どこまでは社会生活、って明確に切り分けることはできない。

たとえば、キリスト教では、聖書で、「世界中の全ての人に伝道して、洗礼を受けさせよ」って書いている(マタイ28:19、マルコ16:15)。

もう、「袖振り合うも他生の縁」どころか、「袖振り合うも伝道」なんですね。信じない者は「罪に定められます(滅びの宣告を受けるー新共同訳。whoever does not believe will be condemned)」とまでマルコは言い切っている。

だから、敬虔なクリスチャンで、福音書の教えを絶対視する人は、「隣のAさんにも、向かいのBさんにも伝道しなきゃ」ってプレッシャーを受けている。

その「伝道」の際に、「あのぅ、あたし隣のCですけど、私は○○教でして、、 ○○教に入りませんか」なんてコミュニケーションするバカはいない。

そう。伝道においては、みんな、適当に、「正体隠し」をするんです。

実際、判例でも、正体隠し的な伝道を違法ではないとした判例はいくつもあるんです。

今、判例を調査中ですが、「初対面の、第一声から、○○教ですって正体を明かさなければ、正体隠しとして違法」っていう考えが、判例として確定しているわけではないはずです。

ある程度のコミュニケーションを経て、実際に入信する段階では、正体すなわちどのような宗教かを明かす義務があるとしても。

ですから、ネオ霊感弁連さんが、「正体隠し」の定義を曖昧にしたまま、「関連団体が正体隠しをしている」というのは、不正確ですし、侮蔑的ですし、プロパガンダに過ぎない。

国際人権B規約(日本も1979年に批准)20条2項で禁じられている「差別や敵意をもたらす宗教的憎悪の主張」(宗教ヘイト)の一種です。

____________

【福音書で、全クリスチャンに、「世界に行って伝道して、世界中の人々に洗礼を受けさせよ」とイエスが説いている部分】

マタイ28:19

それゆえに、あなたがたは行って、すべての国民を弟子として、父と子と聖霊との名によって、彼らにバプテスマを施し、 

 Therefore go and make disciples of all nations, baptizing them in the name of the Father and of the Son and of the Holy Spirit

マルコ16:15-16

イエスは言われた。「全世界に行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えなさい。 信じて洗礼を受ける者は救われるが、信じない者は滅びの宣告を受ける。
 
He said to them, “Go into all the world and preach the gospel to all creation. Whoever believes and is baptized will be saved, but whoever does not believe will be condemned.

 
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