私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

2017-03-21 21:44:39 | 映画鑑賞
1961年の夏に実際にあった男子中学生による殺人事件を描いた映画だが、同時に戦後中国から台湾にやってきた外省人家族の生活の様子、海外に憧れる若い中学生の思いも伝わってくる。

公務員の夫にもっといい職をと知り合いの伝を探す母は、その他に学費を工面しても高校卒業した姉をアメリカに留学させようとする。
公務員という安定した職業についているはずの夫は、職場でうまく立ち回ることが出来ずにスパイの容疑を掛けられたりする。

徒党を組み、エルビス・プレスリーに憧れコンサートを楽しむ中学生の彼らにも、台湾の生活に慣れようする両親世代の思いは伝わっているはずだ。

同級生の彼女が出来た少年は、彼女を守ろうとするものの、14歳の少年より14歳の少女はずっと大人だ。
誰に教わらずとも男女の機微を知り、永遠の思いなど無いことを肌で知っているのだ。
努力だけではどうすることも出来ない事が、生活の中でも心の中でも少年の心に重くのしかかっているようだ。


男子中学生と同年代だった監督が30年後の1991年にこの映画を撮る意味を考えてみる。
私が実感できるように日本に置き換えて時間軸を考えるなら、バブル時代の印象的な出来事を30年後の平成29年に改めて考え直すということだろうか?

今、1960年代の出来事として考えるとかなり昔のことのように思ってしまうが、監督にとっては多感な時期の30年前の出来事は、映画撮影当時はもっと鮮明に記憶に残っていたはず。心の中では印象的な出来事として残っているのに、世の中はあの当時をすっかり忘れ去ってしまったかのように、無かったかの様な姿を見せている・・・・忘れてしまっていいのかという思いもあったに違いないと勝手に想像しながら鑑賞・・・・

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今回は4時間バージョンを映画館で鑑賞したが、以前公開された188分バージョンはVHSをレンタルして鑑賞。

その時に感じた思いと、年月を重ね映画館でゆっくり見た今回の感想を比較しながら、改めてもう少し感想を書きたいと思う。



牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件〈上巻〉【字幕版】 [VHS]
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