ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

星新一:ライオンとタイプライター

2017-11-22 08:09:42 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「星新一」11月10日
 『あす明大駿河台キャンパス 日本ことわざ文化学会 お題は「理科」』という見出しの記事が掲載されました。同会の第8回大会開催を伝える記事です。会の内容ですが、『テーマは「理科とことわざ」。「暑さ寒さも彼岸まで」「三寒四温」など天気や気象に関するもの、水の浸食作用を示した「点滴石をうがつ」など、理科的な解釈と説明ができることわざは多数ある。シンポジウムでは「理科の視点からことわざを視る」「俗信『雷が多い年は豊作』に関する一考察」などのタイトルで発表がある』とのことです。
 面白い!と思いました。そして、「理科とことわざ」には、教材開発の基本をなす考え方が含まれているとも考えました。理科とことわざという一見すると無関係なもの、というよりも遠く離れたものと考えられているもの同士を結びつけることによって、子供の興味・関心を高め、発見の喜びを感じさせ、最終的に「異質なものを結びつける」という発想法を身に着けさせる、とても優れた効果が期待できると思います。
 特に、総合的な学習の時間や自由研究などに向いているでしょう。また、私は「社会科屋」ですので、この記事に触発され、「社会科とことわざ」という視点でも考えてみました。例えば、「暑さ寒さも彼岸まで」ということわざと日本各地の彼岸のときの気温を重ね合わせてみるのです。根室は既に炬燵が必要な気温なのに、鹿児島では夏日ということに気が付くはずです。そこからこのことわざが生まれたのは、本州中央部であり、当時は文化は本州中央部のものだった、というように展開していくのです。
 あるいは、「雷が多い年は豊作」を取り上げても面白いでしょう。豊作とは何の作物についてなのか、と問い、雷=稲妻と発展して稲=米、我が国が米作りを中心とした経済・文化体制の中で歴史を積み重ねてきたということが理解できるのです。
 私は、教員の頃から、この「異質なものを結びつける」を心掛けて教材開発を考えてきました。それは学生時代に読んだショ-ト・ショートの神様星新一氏が書かれていた小説の中で「舟とロケットというような共通点(乗り物)が誰でも分かるものではなく、ライオンとタイプライターのように、普通では頭に浮かばないような2つの言葉をくっつけてみる」という発想法の趣旨の記述が印象に残っていたからです。退職後、「ライオンとタイプライター」というタイトルで原稿を書き出版社に送ったことさえあるくらいです。この記事を見て、久しぶりにその頃のことを思い出しました。
 若い教員の皆さんには、頭が固くならないうちに、この発想法による教材開発法を身に着けてほしいものです。

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